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富豪を乗せた旅客機が墜落。原因はテロか? 陰謀か? 加熱する報道は生存者に疑惑の目を向け始め……。巧みに構成されたサスペンス 続き

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上下を読んで。
晩夏のある日、年齢も境遇もばらばらな11人の乗客を乗せたプライベートジェットが、海に墜落した。
その事故で奇跡の生還を果たした主人公と4歳の少年を巡り、事故の真相を探るため、好奇心を満たすため、あるいは野心を実現させるため、人々はそれぞれ思惑を抱いて彼らに接近する。
本書は、事件後この生還者2人をめぐるドラマと並行し、死者たちも加えた「その時まで」の人生を交互に描く。
それによって分かるのは、主人公も死者たちも、誰もが理由なく、善悪や貧富、年齢とも関係なく、理不尽に「生」と「死」のどちらかに一刀両断されたということ。
そのことは、多くの犠牲者を生み出す大規模な天災や事故の残酷さと、それらが起こるたびに感じる「なぜ私ではなくこの人たちだったんだろう」という気持ちを思い起こさせる。

「神は人間を、賢愚において不平等に生み、善悪において不公平に殺す」
とは山田風太郎さんの言葉。
本書を読んでこの言葉を思い出した。
こんな理不尽な神の選別に対して、人間は何ができるのか?
主人公の行動と選択は、この問いに対する答えの一つと言えるかもしれない。

読者

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ノア・ホーリーの本

晩夏の墜落

晩夏の墜落

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Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます…

極力読むようにしているアメリカ探偵作家クラブ最優秀賞受賞作だったので。大西洋墜落にプライベート・ジェットが墜落、たまたま乗り合わせていた売れない画家がチャーター主の息子を救って、という幕開け。一躍ヒーローになる画家だが飛行機をチャーターしたメディア王と同乗していた富豪、それぞれが死にたい又は殺されても仕方ない問題を抱えていたことから雲行きが怪しくなって、というお話。ミステリとかサスペンスに分類されている作品なんだけど主人公が何か犯罪捜査したりアクションしたり、という事は無くて、墜落の真相も事故調査委員会みたいなのが明かしていく展開。登場人物それぞれの背景や生き残った者を取り巻く騒ぎ、それへの対処が描かれていて…思い返すと全然ミステリでは無いな(笑) だから面白くなかったか、と言うとこれがめちゃくちゃ面白かった。作者はテレビドラマの製作者として有名な人らしい。そう言われてみると登場人物の視点を変えて短いエピソードを繋ぎ合わせていくこの感じはテレビドラマ的なのかも知れない。これはおすすめ。

9か月前