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1人の死刑囚がギロチンにかけられるまでの様子を描いた一冊。ユゴーの死刑撤廃を望む思いが伝わってきます。

その他のコメント

p116 メモ
”おお、もう父でもなくなった。子供の言葉のあの一語、おとなの言葉のなかに残ることができないほどやさしいあの一語、パパというあの一語、それをももう聞かれないように私は定められてしまったのだ。”

読者

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ヴィクトル・ユーゴーの本

レ・ミゼラブル〈1〉

レ・ミゼラブル〈1〉

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昔の記録に

18世紀末のフランスで一人の貧しい男が一片のパンを生きる為に盗み、牢獄に繋がれ、脱獄を繰り返したために19年もの間牢獄に繋がれた。その男、ジャン・ヴァルジャンの生涯を追う物語です。 みなさんが知っている有名なストーリーですが、私はあまり詳しく知らなかったので、物語自体はとても楽しめました。ただ、18世紀末から19世紀にかけてのフランスの歴史を知らなかったので、時代背景がわからずネットでいろいろ調べながらだったので、作者の時代に対する、あるいは政治、文化等の考察部分を読み取るのに時間がかかりました。しかし、さすが古典という素晴らしさを十分堪能致しました。 あらすじはみなさんご存知ですから省略致しますが、かなり重厚な、密度の濃い物語です。そして、革命の物語なのです。 以外だったのはコゼットという少女は私にとってはただの脇役なのでは?という印象が残った事です。コゼットを主役にしての物語としても存在している様ですが、コゼットはあまり重要な人物ではありません。またコゼットの恋人マリウスもまた枝葉の登場人物に感じられました(なにしろ親友クールフェーラックや共和革命の志を共にする友人アンジョーラたちを自身も参加した内乱で亡くしているにも係わらず、最後はコゼットとの結婚で頭がイッパイなのです、ちょっと情けないです)。二人は最終的に幸せになるのですが、それはあまり重要な事柄ではなく、いかに二人の為にジャン・ヴァルジャンが苦悩したか(それも自ら進んで、いや、自分の信念の為に!)?という事がこの物語の重要な部分と感じました。つまり、ジャン・ヴァルジャンの生きた事による波がどのような作用を周りの人達に影響を与えたか、を詳しく語る為の人物なのです。 服役後も(もちろん服役前の貧しさからくる辛さ、服役中の人として扱われない苦しみも)人々から蔑まれ、差別を受け、その結果全ての事から心を閉ざしてしまったジャン・ヴァルジャンに、偶然知り合う慈悲深い神父ミリエルからの温かい親切と導きを得て、その神父の行動を理解できずになお悩み、そして悩みながらも繰り返して起こしてしまった些細な悪事を振り返った時、その時初めて、ジャン・ヴァルジャンの心に善なる事への強い衝動が起こってきます。この時のジャン・ヴァルジャンの葛藤の描写には素晴らしい説得力がありました。ただ盗んだ銀食器を神父がジャン・ヴァルジャンに与えた、という事だけでは起こりえない葛藤があるのです。あらすじだけでは当たり前ですが物語を楽しめるわけないです。ジャン・ヴァルジャンはここから生まれ変わって善なる人として生きて行く道を自身の手で決め、そして徹底させていきます。最初から上手くいく訳ではなく、この後も更なる葛藤が待っています。しかしその度に非常に厳しい選択を自身で決定する際にも、公正さ、善とはという基準でのみ選び、自己保身へは傾きません。自己保身への欲望は認めつつもジャン・ヴァルジャンは正しき道を必ず選びます。ただ、その葛藤を克明に描写する事によってジャン・ヴァルジャンをヒーローにしない部分が現実味を持たせ、説得力があり、だからこその感動がありました。 正しき事、正論、善は結局のところそのままでは何の意味もありません、それを行うのは人であるし、完全に正しい人は存在しないからです。だからこそ、誰が言っているのか、どのような生き方をしてきた人がその行為を行っているのかが重要なのだと思いました。それによって重みが違います。ある意味この「レ・ミゼラブル」は宗教書と言っても良いと思います。神(それがどんな神様であれ)を信じる人の生き方を指し示しています。 この時代には(今もキリスト教圏ではそうなのかもしれませんが)神様が生きていたのだと思います。神様は私個人は存在しないと思っていますし、また神の存在を認める人がこの世界にいる事も理解できますし、話し合えるとも思っています、理解し合える限界はあるにしろ。しかしもし神が存在しなくても、仮に100人しかいない小さな生活集団(その中でほぼ一生を終える場合)の全員が神の存在を信じて疑わなければ、そこに神は存在するに等しい状態になると思います。そして恐らく18世紀末から19世紀始めのヨーロッパでは神は存在していたに等しい状態であったのではないかと思いました。また、神が必要とされていたからこそ、なのかも知れません。 ジャン・ヴァルジャンに対抗する存在の、警視ジャベル(法の番人、そして信念の男)と、コゼットの育ての親で悪人テナルディエ一家(この中の娘、エポニーヌの悲しい結末、エポニーヌの変節と恋もまた、素晴らしい描写なのです!ここは泣けます!)の存在が物語に厚みを増します。ジャン・ヴァルジャンは彼らを許します、許せるに至る心の軌跡がまた素晴らしかったです。ただの悪人ではなく、人間とは悪に染まりやすい存在だからこその許しが私でなく、ジャン・ヴァルジャンに言われるからこそ、重みを持つのです。 ジャン・ヴァルジャンの生き様、その残した足跡(小説の本当の最後に、ジャン・ヴァルジャンが自身の一生を振る帰りながらの告白はまさに胸に迫ります、美しい文章です!)をたどりながらフランスの革命期の空気を感じられる、そんな小説です。長くて、濃くて、王道です!そんな物語が好きな方にオススメ致します。 そして心惹かれるもう一人の人物がアンジョルラスです。日本にもこんな人がいれば… 2007年 3月

9か月前