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『さよなら妖精』から十年のときを経て、高校生だった太刀洗万智は、異邦でふたたび大事件に遭遇する。絶賛を浴びた『満願』をも超える、現在最注目の著者の最新最高傑作! 続き

コメント

一度解けた謎が、振り返ると面白くなくなっている、というのは正しい。むしろ、この小説が言っているのは、私たちの人生に稀に訪れる謎解きは、一度解けてしまえば、最初の高揚はあっけなく去り、砂を噛むような風景が広がり、ただ巻き込まれるしかなかった無力感ばかりが襲うような、そんなものだと。けれども、この小説の主人公 太刀洗は考え続ける。ある区切られた範囲でしか生きられない自分と世界の関係を。拒否と非難を、自分に正面から告げてくれたひとの「親切」に感謝しながら。ああ、いい小説だった、もう一度読もう。

その他のコメント

情報が溢れかえる現代。一昔前なら受け取る媒体は主に新聞やテレビ程度で受け身であっただろうが、今はキュレーションやネット媒体が主になっていて、自分の興味のある、気になるタイトルの記事を能動的に取捨選択して見聞するコトが多いだろう。そうやって次から次へと流速で消費してゆく。そうしなければ余りにも多種多様な情報の渦に揉まれて溺れてしまう。中には消費するだけのモノもあるし、中には自分以外のヒトの目にも見て貰いたくなり拡散する。そう、簡単に拡散出来てしまうのだ。
それは、間接的に誰でも情報を発信してしまうコトに他ならない。また、少し積極的なヒトならば、その情報を元にSNSやブログで自分の意見を書いて発信するかもしれない。こうなるともう直接的な発信だ。
特別な(例えば記者などの)肩書きがない一般市民でも、特別な手続きを踏まなくとも、容易に情報は発信出来てしまうのが現代だ。
さて、間接的直接的どちらの場合においてでも、発信者として、その情報の内容の真偽を深く吟味しているだろうか? その情報を発信拡散するコトによって起こりうる先を見据えているだろうか?
現代社会において、ヒトは誰でも容易にサーカスを呼んでしまうコトが可能になった。
それに対する警鐘と戒めのものがたりのように感じた。

記者であり続ける主人公の思いは、物語を書き続けていく作者の思いでもあるのでは。優しさ、憎しみ、悪意、祈り、様々な感情に心を揺さぶられました。

読者

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米澤穂信の本

追想五断章

追想五断章

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暇人

本の感想を書く場を求めて

見逃していた米澤穂信の作品。 古書店の店員である主人公の元に、ある日寄せられた奇妙な依頼。それは、今は亡き無名の作家が残した5つの短編を集めて欲しい、というものだった。 報酬に釣られて引き受けた主人公だったが、集め始めた短編にはある家族に纏わる秘密が隠されていた。 といったあらすじ。 メインの推理は中々の面白さ。作中作として5つの短編もしっかり書かれる所が面白く、その分作者の苦労が偲ばれる。 そして「追想五断章」という名の通り、5つの断章についての追想、といった趣のある作品だった。作品を探す主人公はたしかに主人公なのだが、過去の事件と今の自分には何も関係が無い。それを思う主人公は、きっと羨望すら感じていただろう。 劇的じゃ無くても人生は続く。毎度の事ながら、今回もほろ苦さを噛み締めつつ読了。

3か月前

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ふたりの距離の概算

ふたりの距離の概算

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ぬぬに

非ワカモノです

古典部シリーズ五作目。 ここからは非アニメ化部分かな。 せっかく古典部に入部してくれそうだったのに、誤解が誤解を招いて、退部してしまいそうな一年生をなんとかする話。 さんざん省エネ主義を標榜しておきながら、こと千反田案件となると俄然本気出してくる折木君がステキ。マラソン大会中に事件を解決してしまうとか神業に近い。 米澤穂信作品らしく、タイトルには複数の意味合いが込められており、物理的な距離以外に、多くの人々の心の距離も推し量っていく進行が上手い。

5か月前

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リカーシブル

リカーシブル

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暇人

本の感想を書く場を求めて

本の帯に「ボトルネックの感動ふたたび」とあったので警戒しながら読んだ一冊。 主人公はまだ中学一年生という若さで苦難に直面し、小学三年生の弟は弱虫で生意気で、引っ越してきた町は不気味。 読み進めるほどに曖昧だった不安の正体がはっきりとし、ついで主人公の現実にも危機が迫る。しかしボトルネックの時と違う最大のポイントは、「生きる意志の強さ」とでもいうべき力が今作の主人公にちゃんと備わっていたということ。 未来は不透明だし不安要素ばかりだけれど、作中の謎を解き明かす頭脳と根性と優しさがあるから、主人公はきっと大丈夫だ。強く生きてくれ。

6か月前

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遠まわりする雛

遠まわりする雛

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ぬぬに

非ワカモノです

古典部シリーズ四作目。 過去三作と違って、本作に「連作ミステリ」の要素は無いのだけど、「連作小説」であることの工夫は凝らされている。 収録されている七編は、古典部の春夏秋冬、一年間の出来事をつづっていく。時間の流れと共にキャラクターたちの関係性も変化していく。 「省エネ主義」を標榜し続けていた、主人公奉太郎の変貌に注目かな。 ラストの「遠まわりする雛」は古典部シリーズでもっとも美しい物語の一つだろう。

7か月前

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