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砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこ... 続き

コメント

祖母がよく庭で育てた春菊を摘んで、おひたしにしてくれた。田舎の田舎の娘が作った小鉢だ。根元を水でさらっと流した程度の鮮やかな緑には細やかな岩石が混じっている。

あの音。右の奥歯にあってはいけないものを噛み砕こうとしたときの音。ガァリ、ガァリーー。決してあの小ささから想像できないほどの存在感を発揮する。あの無機的な存在は決して私のうぶで柔らかい有機的な身体とは相容れないと思わせてくれるには十分だった。

10年ぶりに手にとった『砂の女』は携える風貌を変えていた。かつて、やたらと逃げることのできない絶望感に気を取られていたが、むしろ今は逃げることそのものの、いきいきとした喜びしか、脳の襞に絡めとられない。

「逃げるな」は「逃げろ」に、「逃げろ」は「逃げるな」に内的に変換される世界。それは常に私たちが無意識的に行なっていることだとはゆめゆめ気づかない。

縄梯子を登りきったときの納得感。私は残るべきなのだと感じさせた濾過装置という《希望》はベクトルを反転させ、砂の世界へと向けられる。

砂という無機質な世界において初めて、私として必要とされ、生実感を感じ、有機的な人生を営めるという期待が彼を砂の世界に引き留めるのだ。

その他のコメント

砂で今にも埋まりそうな村に閉じ込められてしまった男。
外部の目の届かないど田舎の村って、今でもこんな因習が残ってそうな、都市伝説的な怖さがある。
あり得ないような状況なのに、読んでいる内にぐいぐい物語に惹き込まれる。とにかく面白い。

読んだら気分が悪くなって次の日学校休んだっていう、思い出のずる休みな一冊。

読者

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安部公房の本

飢餓同盟

飢餓同盟

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

かつての温泉街花園を舞台に土着の支配者とひもじいと称されるよそ者が結成したアナーキスト同盟たる「飢餓同盟」戦後民主主義を象徴する「読書会」3すくみのわちゃわちゃした対立を哀しくもどこかユーモラスに描く。 招致された医師である森が町につくも一向に病院にたどり着くことができない阿部公房的な不条理たらい回しぐるぐる地獄や人間をいかなる機械よりも精密な機械と化してしまう!ドイツ製の怪しげな薬「ヘクザン」の実験台となった地下探査技師織木、飢餓同盟員に対し「たとえばソロバンを盗んでこい、財務部長らしくなるために、明日までに割り算の九九をおぼえろ。電球を三つ盗んでこい。将来キャラメル工場の煙突塗り替えるために、毎日電柱にのぼる練習をしろ。姉さんの指紋をとってこい。電気コンロを盗んでこい。そして昨日は姉からヴァイオリンを盗んでこいというわけだ」P185と無茶ぶりをするリーダーの花井(ヒロポン中毒)等々奇妙奇天烈な登場人物が繰り広げる人間喜劇。

1年前

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