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スピノザの思想的系譜につらなるドルバック、エルヴェシウス、コンドルセ、ミラボーなどの「ラディカルな啓蒙主義者」たちの思想が、実はフランス革命の真の原因であ... 続き

コメント

現代に生きる我々にとってごく普通な概念である人権、思想や信教の自由、また人種間の平等など、いわゆる人類の普遍的価値と呼ばれるものが定着してきたのは、つい最近の話であって、まだまだ定着したとはいえない国や地域もある。日本だってアメリカだってそうした価値観が100パーセント浸透してるとは言い難いところがある。ではそういう普遍的価値観はどこからきたのだろうか。
本書の著者であるジョナサン・イスラエルによれば、哲学者スピノザに始まる急進的啓蒙主義がそうした価値観を見出し、広めてきたのである。急進的な啓蒙主義者が声高な主張により、思想的素地を固めてきたからこそ普遍的価値観が根付くことができたのだという。急進的? 啓蒙主義はそもそも急進的だったのでは?と思ったりしたが、そんなことはなかったようだ。穏健な啓蒙主義者はあくまでも王権やキリスト教的価値観に立脚しながら、つまりは身分制度などはそのままに限定的な改革を志向していたという。
イスラエルの論旨は明快で、普遍的価値観を広めた啓蒙主義者は急進的なそれであって、そうでない主義者は負けたのだ、というのである。
その意味ではとても論争的で結論ありきのプロパガンダみたいなものだが、あまりにも博覧強記なものだからふむふむと頷きながら読むしかなく、気づけばなるほどなあと唸らされることしばしばであった。こうした姿勢に対しては批判も多いそうだ(事実、訳者も批判的)。
それでもこれだけの説得力はすごい。ディドロと、ダランベール、ヴォルテールは百科全書派って習ったけれども、ディドロの急進性に比べて後の2人はそうでなく、どちらかと言えば対立していたなんてちょっと信じられん。

読者

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人文

行商列車:を追いかけて

行商列車:を追いかけて

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Shun

普段は帰宅後に、休みの日は散歩し…

冒頭の、カメラを構えようとした著者に間髪入れず飛ぶ「写真なんか、撮るな!」の言葉。部外者に対するこのような苛立ちの理由は読んでいるうち分かってきます。そして、部外者に対する苛立ちは別に行商人に限らず、この社会の限りなく細分化された各業界がそれぞれ抱えているだろうとも思います。最後の方、食卓が団欒の場なのはさほど古いことではなく、昭和30年代まではしつけの時間であった、というのは深くうなづける指摘でした。子どもの頃、祖父母との食事はとても緊張する沈黙の時間だったことを思い出しました。

1日前

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宮本常一と写真

宮本常一と写真

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Shun

普段は帰宅後に、休みの日は散歩し…

昔の日本人の瞳は貧しくても輝いていた、というような言説には疑いをもって接するようにしていますが、この本に収められた写真の中の人々の表情は確かに輝いています。撮影時期はほぼ1960年代。ほとんどの写真は明らかに同意を得た上で撮影されており、宮本常一と、被写体となった人々との関係性が人々の表情に反映されているのかなと感じました。山口県浮島や佐賀県呼子での、船上で過ごす子ども達の写真が特によいです。風土記と万葉集を鞄に入れて旅をするというスタイル、いつか出張の時に真似してみたいな。

1日前

見世物小屋の文化誌

見世物小屋の文化誌

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Shun

普段は帰宅後に、休みの日は散歩し…

1998年に早大文学部主催で行われたシンポジウムをもとに構成された本。『見世物大博覧会』の会場で平積みになってましたが、あの博覧会とは異なり、この本は近現代の見世物小屋に焦点を絞っています。福祉が発達して子どもや障害者が出演出来なくなったから見世物が衰退したと荷主さんが繰り返し発言されていて、読んでて非常にひっかかりを感じます。これは廃れていくのが当然だろうなと福祉的な観点からは思います。ただ一方で、非常に生き生きとした生活史でもあり、現代の価値観を相対化してくれる記録でもあると思います。

1日前

思考と論理

思考と論理

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Shun

普段は帰宅後に、休みの日は散歩し…

思考とは大げさなものではなく日常で我々が思うことが全て思考である。論理的であるとは言語規則に従っているということ。そう述べられた後中盤まではコツコツと証明が行われます。残りのページでは、論理的という言葉には論理学的な意味と審美的な意味の二種類あること、「脳が計算する」という言い方がナンセンスなこと(養老孟司との全く噛み合ってない対談を思い出しました)、宇宙の始まり以降に人間が生まれ、言語により行ってきたこととは、というところまで話が広がります。計200ページに満たない分量ながら、かなり歯ごたえあります。

1日前