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本格ミステリ作家、有栖川有栖の書く、ジュブナイル小説「空閑 純」シリーズ第3弾!
母親の失踪の謎を追い訪れた村で、発生する殺人事件!
しかし忽然と消え失せる被害者の遺体、当惑する純を他所に第2、第3の事件が…果たして純はこの謎を解き明かせるのか!?
ジュブナイル小説らしく、シリーズが進むにつれ、徐々にその姿を見せる巨大な陰謀、母親の失踪の手掛かり。
有栖川有栖の描く登場人物は、実に存在感があり、ともすれば荒唐無稽にな架空の設定の中で、実にリアリティを持って行動しており、敵味方問わず魅力的だ。
さて、今作、漸く「私立探偵」として一歩を踏み出した純だが、まだまだ半人前未満、殺人事件を前にしても、思うように調査が進まない。
きっと読み手も、推理のピースがなかなか集まらず、やきもきするだろう。
しかし、それこそが、本作に仕掛けられた「作者からの挑戦」なのだ!(と勝手に私は思う)
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以下は、今作を「推理小説」として楽しむための個人的な意見です。
ネタバレは極力避けますが、閲覧は自己責任で!
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前述の通り、空閑純は半人前未満の探偵で、情報の収集も絞り込みも、行いきれていない。
その為、「本文中に描かれていない人物による犯人説」を払拭する事は出来ず、普通に読むと犯人を絞りこむ事は不可能である。
しかし、安心?して欲しい。
エラリークイーン式の「読者に対する公平性」は今作でも健在だ。
一歩視点を変えれば、本書で空閑純が遭遇した事件の推理は可能である。
ぜひ、皆様には本作に仕掛けられた挑戦に打ち勝って欲しい。
それが1回目の読書で、挑戦に破れてしまった私の願いである。
打ち勝った際には、何故本作が一見、本格推理小説としては不完全に見えるのか、きっと明らかになっているはずだ!