村上春樹作品の英訳で知られる日本文学研究者ジェイ・ルービン。夏目漱石や芥川龍之介なども翻訳しているらしい…がイギリスの老舗出版社(だと思うんだよな。昔ペーパーバックってここのオレンジのやつしか無かったような気もする。なんかイメージ的には岩波?)から出した日本の作家の短編アンソロジー。序文を村上春樹が書いてて、自作も二つ収録されているが、なんでこれ?みたいなこと書いてて面白かった。正直なところ日本文学はそんなに得意ではないのだけどかなり面白く読めた。収録はテーマ毎で特に時系列というわけではなくこういう形式も面白いかな、と思った。列記するとこんな感じ。知らない作家も何人かいたけどどれもクオリティ高く選者の力量を感じた。小説好きの方にはおすすめです。
(日本と西洋)
監獄署の裏 永井荷風
(忠実なる戦士)
興津弥五右衛門の遺書 森鷗外
憂国 三島由紀夫
(男と女 )
焔 津島佑子
箱の中 河野多惠子
残りの花 中上健次
ハチハニー 吉本ばなな
山姥の微笑 大庭みな子
二世の縁 拾遺 円地文子
(自然と記憶)
桃 阿部昭
『物理の館物語』 小川洋子
忘れえぬ人々 国木田独歩
1963/1982のイパネマ娘 村上春樹
ケンブリッジ・サーカス 柴田元幸
(近代的生活、その他のナンセンス)
屋根裏の法学士 宇野浩二
工場のある街 別役実
愛の夢とか 川上未映子
肩の上の秘書 星新一
(恐怖)
砂糖で満ちてゆく 澤西祐典
件 内田百閒
(災厄 天災及び人災)
大地震・金将軍 芥川龍之介
虫 青来有一
ピンク 星野智幸
UFOが釧路に降りる 村上春樹
日和山 佐伯一麦
マーガレットは植える 松田青子
今まで通り 佐藤友哉