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非ワカモノです |
2017年に新装版が出てた!今年はコミカライズもされるみたいでビックリ。
澁澤龍彦、最後の作品。
主人公の高丘親王は、平城天皇の第三子で、叔父の嵯峨天皇の皇太子となるも、薬子の変に連座させられて廃太子に。その後仏門に入り空海の高弟に。晩年は仏教を極めんと唐に渡り、更には天竺を目指して旅立つも、志半ばで客死した人物。
数奇な生涯にも程がある!
本書は、天竺入りを目指す高丘親王一行が、さまざまな怪異に見舞われつつ、古代の東南アジアを旅する幻想的な旅行誌となっている。
既に喉頭癌という死病に苦しんでいた、澁澤龍彦の葛藤が主人公の高丘親王に多分に投影されていて切ない。
父の愛人であった薬子への仄かな思慕。次第に病み衰えて行く肉体と、反比例するかのように自由闊達に世界を駆けて行く精神。
死を描く物語だか、読後感は至って爽やか。
老境にあっては、こんな感じで恬淡と生きられたらと思う。