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2冊のお気に入りを1冊と交換 山形ではじまった「kitokito BOOKS」

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マルシェからスタートしたあたらしい本屋

山形県新庄市は人口4万人に満たない小都市。そこで月1回行われる「kitokito marche」。県内のほか宮城・秋田から約1200人が集まり、多いときは2000人を動員するマルシェです。出店者の半分くらいが地元の農家で、クラフトや飲食店なども並びます。

「kitokito」とは新庄市の方言で「のそのそ」という意味。「青虫が葉っぱをもとめてゆったりと歩くさま」をイメージしたと主催の吉野敏充さんが教えてくれました。

会場の新庄市エコロジーガーデンにはレトロな木造建築が並びます。ここは昭和9年から平成12年まで養蚕試験場として使われてきた施設。現在は登録有形文化財に指定され、市民交流活動の場として活用されています。

「kitokito BOOKS」はエコロジーガーデン内の施設「commune AOMUSHI」2階で2015年8月から始まりました。建物内には地元の野菜がふんだんに使われたフードを味わうカフェ、新庄最上中心の工芸品が購入できるセレクトショップが併設され、BOOKSを含むすべてのお店が毎週土・日だけオープンしています。

「この場所でkitokito marcheを4年間開催し、次のフェーズとして文化的な活動を継続していく場を作りたいと考えたんです。マルシェは月1回ですが、毎週土日は同じ場所でカフェやショップ、本屋さんが開いている。みんながゆるっと通えるところがあればいいなと思いました」と吉野さん。

誰かに読んでもらいたい本 2冊を持って1冊と交換

この本屋ではお金が使えません。自分が「ほかの人にも読んでもらいたい」と思った2冊を持ってBOOKSに行くと、ほかの人が持ち込んだ本のなかから1冊だけ持ち帰ることができるのです。

吉野さんは新庄市近郊に住む仲間たちと話したとき、地元におもしろい本屋さんが少ないと残念がる人が多いことに気がついたのだそうです。

「個性や文化、誰かの思いが入っていないと本屋って面白くないんじゃないかな? と思ったんです。だったら、お気に入りの本だけを置いたらいいんじゃないかって。不要な本だとゴミ捨て場ですが、読んで欲しいという思いが詰まった本が集まれば、そこは楽しい本屋になります」

つぎ読む人のためにひとこと添える

「kitokito BOOKS」ではもうひとつルールがあります。それは付箋のサイズのカードに感想や面白かったところなど、つぎ手に取る人へのメッセージを書き込んでもらうこと。書けたらポケットの中に差し込み表紙に貼り付けます。

「手にとったときにやさしい感じがするから」と提案者の高橋一枝さん。目に止まったのは、育児書に添えられた「お子さんの指しゃぶりに悩むお父さん・お母さんへ」というメッセージ。「経験や感想がつぎに選ぶための指針になるかも」と長時間かけて記入したり、色ペンなどを使いカラフルに仕上げたり。熱が入る人が多いようです。

初回に集まったのは200冊ほど。2冊と1冊を交換というシステムが認知されていないこともあり「本を持ってくればよかった」という声も多く聞こえたそう。「目標の1000冊が集まるまではこのルールで。集まったらまた新しい活用法を考えていきます。まずはBOOKSを知ってもらうところから」と吉野さん。

「kitokito BOOKS」は毎週土日開催ですが、遠方から足を伸ばすなら「kitokito marche」に合わせて来るのがおすすめ。次回は10月18日(日)。マルシェのテーマは「お米」。収穫したての新米がずらりと並びます。

kitokito BOOKS (commune AOMUSHI)

山形県新庄市十日町6000−1

毎週土日 10:00-15:00

communeaomushi.tumblr.com

この記事を書いたのは

岡﨑彩

山形在住のエディター&ライター。ヨミウリウェイ編集長やってます。

www.yway.jp/way