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食材を届けるデザイン 「東北食べる通信」

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食べる情報誌

2013年7月に創刊した、東北の食材を消費者に届ける「東北食べる通信」。毎月、生産者を訪れその収穫の過程や食材の背景・文化・料理方法を取材し、宅急便で食材とともに届けられる、「食べる情報誌」です。

個人の生産者からの食材を届けるため、最大の配信数は1500部まで。現在ではその上限に達し、数か月の順番待ちができているという人気です。2014年にはグッドデザイン金賞を受賞しています。

合言葉は、「世直しは、食直し」。制作スタッフは毎月東北の各地に取材をし、誌面作りを行っています。今回の取材では、毎号の写真とデザインを担当する玉利康延さんに話を伺いました。

「通信」を手にしてまず目に飛び込んでくるのは、表紙に印刷された、活き活きとした食材の写真です。山菜や海産物など、どれも色鮮やか。実際に作業に同伴して、取材をしたものを掲載しています。東北の豊かな自然を切り取った写真の数々が並びます。

さらにページをめくると、食材の背景を伝えるイラストがいっぱいに広がります。例えば、様々なぶどうの見分け方、鰰(はたはた)の禁漁前後の漁獲量の変化、漁船の航路の歴史などです。イラストで表現されたページでは、クレヨンなどによる色鮮やかなものから、日本画のような幻想的なものまで、まるで絵本のようです。

最後にレシピページ。その月に届く食材を活かして、なるべく家庭でも挑戦できるような料理のアイディアを提供しています。豪華なレストランや旅館で食べるのとは違う、旬の食材の楽しみ方です。

「おばちゃんたちが昔から食べているもの」の生活感にこそ食の感動がある、玉利さんはそう話します。

自然との協働作業

毎月の発送に向けた「通信」制作チームの作業方針は、食材の新鮮さや季節の変化に対応することが求められます。食材を届けるサービスならではの特徴です。

たとえば牡蠣。産卵前の大きなサイズを配送するために、8月より前に特集する必要があります。ちょうどこの取材をさせていただいた9月下旬は、海鞘(ほや)を新鮮な状態で配送するため、いつもより早く発送したところでした。

毎月取材に行くのは、編集長の高橋さん、ライターの保田さん、写真の玉利さんの3人。現地の生産者のもとで、数日間の取材をします。帰ると紙面づくりが始まります。記事を書き、イラストを準備し、レイアウトしていきます。中旬に食材で料理を作ってレシピの撮影。そして出来あがった通信が、月末に食材と共に届けられます。

ちなみに、レシピ写真に使われている器は玉利さんの私物。もともと器が好きで、各地で買って集めたものを使っているそうです。

写真を撮るとき玉利さんが特に意識するのは、季節の移り変わりと共に景色が変化し、食材が育っていく過程を描き出すこと。景色の写真を通して、その食感や暮らしの雰囲気まで伝えています。良い写真のためには、現地まで撮り直しに行くこともあります。

生産者と消費者をつなぐ

「東北食べる通信」には、購読者が参加するFacebookグループがあります。月初になると、食材が届いた購読者から、最新号の食材をどのように料理して食べたか、写真つきのコメントがポストされます。このグループには、東北の生産者の方も参加していて、自分たちの食材がどのように使われたのか、直に消費者とやりとりすることができます。

「メディア、配送、そしてコミュニティが重要。Facebookグループでのやりとりは生々しいですよ」と玉利さん。農家や漁師の年配の方は、ネットに慣れていない人も多いのですが、最近スマートフォン買ったばかりの人などには、スタッフの方がFacebookの使い方を教えることもあります。

昨年、秋田の農家さんが悪天候でコンバインが使用できないトラブルに見舞われたときは、グループから支援したいという読者が次々出て、のべ100人にも上る読者が現地で稲刈りを手作業で手伝ったそうです。

創刊から2年、「東北食べる通信」の枠組みは他の地域にも広まり、全国21地域で「食べる通信」が運営中です。当初は、本当に月刊でやれるかも危ぶまれたそうですが、号を重ねるうちにチームが作業に慣れて、今では問題無く回るようになってきたとのこと。

全国展開の他にも、過去の食材を「海」と「山」の2つに編成してまた購入できるバックナンバー販売、「おかわりストア」という再版など、利用方法もさまざまに広がり続けていて、今後の展開も楽しみです。

東北食べる通信

月に1回刊行の「食べる情報誌」・食材つきで毎号2580円

Web taberu.me/tohoku

Facebook facebook.com/tohokukaikon

デザイナー 玉利康延さん

Web tamalog.me