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本と人との出会いを考える トークイベント@EDITORY神保町

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11月19日、EDITORY神保町で本と人との出会いをテーマにしたイベントが開催されました。

ゲストはホンシェルジュの東海林真之さん、BOOK TRUCKの三田修平さん、そしてStandの井上隆行の3名、モデレーターは編集者の江口晋太朗さんです。互いの活動について、本をめぐる環境について、2時間意見を交わし、その後懇親会も行われました。

当日のダイジェストをお送りします。

本の選び方

江口  みなさん本のメディア・移動式本屋・アプリなどを運営されていて、本との出会い方について意識されているところがあると思って、そのあたりお聞きしたいと思います。

東海林  幸福な出会いとそうでない出会いと分けて考えると、分かりやすいと思います。読んでみて外れだったっていう体験はありますよね。不幸な出会いを、どう減らすか。例えば、読んでない人が書いているようなレビューは見ないとか。匿名のレビューも、相手がわからないから信頼できない。自分がそういうサイトをやっているんですが、信頼できる人がその人の文脈でおすすめしているって本だったら、まず間違いないと思います。その文脈で面白くなかったら、その人と自分の文脈が合ってないだけなので、他の人を選べばいい。

江口  三田さんは、行く先々で、出会わせる側じゃないですか。普段本を選ぶときに意識していることってありますか。

三田  難しいですが、けっこう思ってるのは、同じ本でも、タイミングや心持ちによって楽しめ方が違うと思っていて。シチュエーションやタイミングが大事だと思っています。昔は、厳密なセレクト書店にいたので、そこはお店なりに「いい本」の定義があって、それを選んでいくっていうやり方をしていたんですけど、あるときから、移動本屋をやっているっていうのもそれが大きな理由だと思うんですけども、いろいろなところに行けるので、ある人にとってはそんなによくない本でも、ある人にとっては意味のある本だったりするので、本を選ぶだけで完結ではなくて、どこへ持っていくかの掛け算で決まると思っていて。選ぶところだけに気張りすぎないようにしています。

機械で選べないもの

三田  かつては出会った本たちに「泣ける」とか「60年代」とかキーワードをタグ付けしておいて、それらを特集によって引き出し、肉付けして本棚を作るっていうやり方をしていたんですけど、そういうことってウェブ上でシステムを組んでやった方がうまくいくんだろうなって。
で、自分で選ぶときは、人が選ぶ意味というか、言語化もできないようなニュアンスの部分、印象の部分、これとこれが一緒にあったらいい感じとか、なんか言葉にするとすごく適当な感じになっちゃうんですけど、わりとそれを意識的に持つようにしています。雑多さみたいなものが予期せぬ出会いを生んだり、気づきがあったりするかなと思ってやってます。

江口  井上さんは、Standを使ってどういう出会い方をしてほしいとか、ありますか?

井上  アプリは機械のサービスなんですけど、でも人が参加している場でもあって、両方なんですが、あまり機械に偏ると面白くないかなっていうのは感じてます。Amazonのおすすめがあまり好きじゃなくて。買うと出てくるやつですね。関連度は高いんですけど、見て面白くない。

江口  これを買ったらこれを買うっていう、たしかに関連はあるんでしょうけど、いわゆる大きい文脈、東海林さんの言う、あるいは三田さんの言う、あえて違うものを並べることで、雑多さとか気づきみたいなものは、Amazonのおすすめには出づらいかもですね。

井上  ちょっと飛躍してたり、意外性があるともっと楽しいと思うんですよね。

江口  Standも、ビジネス書の隣に小説が並んだり、マンガが並んだり、変化つけてるじゃないですか。

井上  カテゴリがないので一緒くたになってるんですが、それはそれで面白いかなと。

抽象度を上げたおすすめ

江口  本のプレゼントはしますか?

三田  わりと親しい人であれば。やるようにしてます、僕は。

江口  この人だったらこれとか、考えたりしますか。

三田  考えますね…。でもあんまりよく分からないですよ。抽象度を上げると受け手の解釈で、いろんな楽しみ方してくれるので、あとは自分でなかなか見つけられないものがいいかなという感じです。たとえば靴が好きな人だったら、アンディ・ウォーホルの靴のイラストだけ集めた古本とか。

江口  選び手のリテラシーもすごく問われますね、それ。

三田  抽象度を上げていくっていうのは、そんなに外さないためのテクニックで。たとえば絵本とか詩集とか、受け手が補完して楽しむ系のもの。解釈によって楽しんでくれるかなっていう気はするんで。店頭に立っていると、友達へのプレゼントですっていうのもあるんですが、ちょっと聞いただけじゃやっぱりパーソナルな部分は分からなかったりするので、外さない核の部分だけ抽出したら、それをベースになるべく抽象的なもの、という感じでやるようにしています。

江口  でも意外とそれが刺さったりってことも。

三田  そうですね。まわりの人へのプレゼントっていうのは、けっこう本屋の人も悩みっていうか、自分で本をあげる派とあげない派に分かれるんですが、僕はもう、試練として、自分に課してます。

江口  井上さんはどうですか。Standは本をおすすめするサービスですが。

井上  Standで本をすすめるのは、相手が目の前にいないので気は楽です。プレゼントであげるってのは、なかなかないですね…。
紹介でいうと、大学の時の同級生にすごい失礼な奴がいて。大学行ったら、そいつが本読んでて、トーマス・マンの『魔の山』だったんですけど、面白い?って聞いたら、いやー、それ読んでないのは死んだ方がいいねって言われて。死ねと言うんですよ。その後読んで、実際面白かったんですけど。

江口  三田さんのBOOK TRUCKは、色んなところで展開されていますけど、行き先は呼ばれるんですか、それとも行きたいところを探して行ってるんですか?

三田  呼ばれます。声をかけていただいて、条件考えて、可能な限り行くという感じ。逆に行きたいところでいうと、大学ですね。もともと大学の構内に出店したら、人もそこそこいるし、コマ空いたりして、時間ある学生が来てくれるんじゃないかと。週に2-3日やればやっていけんじゃないかなーと思っていたんですが、実際はすごいハードル高くて。やっぱり商売するっていうのと、生協と図書館があるしで。でも今年、専修大学に行きました。経営学の三宅先生という方がいるんですが、中小企業論の授業の一環で呼んでいただいて、出店できたんですが、すごい楽しかったです。

井上  ホンシェルジュは企画はどのように立ててるんですか?

東海林  これから取り組もうと思っているのは、雑誌みたいに企画を立てる形。企画を考えて、あてはまる人を選んで、その人に本を紹介していただくという形をやっていきたいですね。

江口  それは文脈作りを多様にできるかが勝負ですね。

井上  Standは、今後やりたいことでいうと、自分も本屋さん好きでよく行くので、本屋さんとの取り組みとかやりたいですね。

江口  本屋さんのアカウントを作って使ってもらうとか。

井上  それもありますし、ネットとリアルを横断した企画とかやってみたいですね。

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