本でたどる新しい衣食住・二子玉川「蔦屋家電」

フロアをつなぐ本棚
2011年のオープン以来、代官山の定番スポットとなった蔦屋書店。それに続き、函館、湘南、梅田にも蔦屋書店ができています。本だけでなく、文具、カフェやレストラン、生活用品を合わせた新しい場所づくりが特徴ですが、この5月に二子玉川にできたのは、本とともに家電も扱う「蔦屋家電」。
本と家電。蔦屋が手がけると、どんな場所になるのか。オープン2か月の新しい店舗に行ってきました。

「蔦屋家電」があるのは、新しい複合商業施設「二子玉川ライズ」の中。駅の下から多摩川に並行して延びる、全長一キロの歩行者道の中ほどにあります。
入ると、本棚、ソファ、緑、広い吹き抜け。そのまわりに、Appleのストアやカメラ、オーディオ機器、自転車やドローンなどの売り場が配置されています。
オーディオ機器のまわりにはCDやDVD、カメラのまわりには写真集と、電機製品の売り場と本棚が同期していて、思ったよりも異和感ありません。ところどころ、見たいこともない珍しい商品がガラスケースに入っていたりします。


本棚のある通路がフロアを一周していて、気になったものを眺めて何時間でも歩いていられそうです。さまざまな商品が並ぶ見本市に来たような感覚があります。
1階には蔦屋書店でおなじみのスターバックスコーヒーがあり、飲み物を持って店内の好きな場所で本を読むことができます。フロアの各所にソファや椅子があり、ゆっくりPCや本を開ける図書室のようなエリアも。

2階へ上がると、料理や絵本、芸術など、より家庭的な雰囲気に。対して1階に並ぶのは、旅行や仕事など外向きのテーマです。おもちゃ屋やエステサロン、園芸ショップなども入っており、様々な楽しみ方もあります。休日には、夫婦・孫・シニアの三代で遊びに来る方などもいるとのこと。


インスピレーションが湧く場を作る
2000坪の売場を作っているのは、70名のコンシェルジュ。本の中でも、衣・食・住・文学・デザイン・ワークスタイル・旅行・遊びといった専任スタッフがいて、売場の本を選んで発注しているそうです。
店内にはコンシェルジュの立つブースがあり、いつでも買い物の相談ができるようになっています。
スムージーでダイエットしたいという人がいたら、ジューサーとレシピの本を併せておすすめするといったことができるのは、「蔦屋家電」ならでは。会話が広がって、最初に探していたものとは別のものを買っていくようなケースもあるそうです。

店全体のコンセプトは「アート&テクノロジー」。両者をかけ合わせて、インスピレーションが湧く、よいものが発見できる場を作っていきたいとのこと。

コンゴのファッショニスタ集団、サプールの写真集が並べられた棚にはパナマ帽のコレクションがありました。

コンシェルジュが共同で作るフェアも、3週に1度企画されています。7月のテーマは闇。「闇への誘い」というタイトルで、様々なジャンルの本が2階回廊に集められていました。
「フェアのPOPやディスプレイは、社内のデザイナーさんと相談して作っています」と、フェアを担当されたコンシェルジュの花田さん。「それぞれ専門が違うコンシェルジュが本を持ち寄るので、切り口は様々。例えば、こちらのナショナルジオグラフィックの写真集『究極の洞窟』。すごいスケールですよね。『いるの、いないの』、この怖そうな絵本は、京極夏彦さんによるものです。『BLACK AND WHITE』、これはモノクロ限定の図案集です」
ほかにも漱石の『夢十夜』や深海魚の図鑑など、多彩な本が並びます。

それぞれの本には、コンシェルジュからのおすすめコメントつき。平台のわきには、本の一節を抜き書きした短冊のツリーもありました。


二子玉川 蔦屋家電
東京都世田谷区玉川1丁目14番1号二子玉川ライズ
9:00 - 23:00 (1F本売場およびスターバックスコーヒーは7:00から)