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本とひとのぬくもりを感じる家 兵庫「BOOKS+kotobanoie」

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すまいをそのまま本屋さんに

BOOKS+kotobanoieに訪れたキッカケはwebサイトを検索したことでした。ページを開くなり、ショートムービーが始まります。まるで映画のようなそのムービーに映し出されるのは、明らかに都会にはない木造一軒家に、本が所狭しと並べられた空間。ここは、本屋なのか?

沢山のひとの興味をひくBOOKS+kotobanoie。取材当日の開放日にも、近場は大阪から果ては東京まで、様々なところから訪れに来ていました。そんなBOOKS+kotobanoieは、実はオーナー・加藤さんご家族の御住まい。約10年前このkotobanoieへ引っ越されてきたそうです。

ただ普通に家族でくらすためのホームとして建てられたkotobanoieだったため、見た目は本屋というより一軒の住宅。入るのに少し遠慮してしまうかもしれませんが、すぐに加藤さんご家族があたたかくお出迎えをしてくれます。

木の床に自然の温かみをも感じながら中へ進むと、左手に壁のようにして本棚が現れます。玄関から真っ直ぐ進めばテレビとソファーのある居間が広がります。そのまま左手の壁づたいに進み続けると玄関まで一周してくるようになっています。完全に仕切られた空間はなく、キッチン、脱衣所、寝室までもが一般公開の状態になっています。

訪れる人々に個人のスペースまで見られることに対し、「友達が遊びにくるのとあまり変わりない」と何の抵抗も感じていない加藤さん。部屋と部屋の間には壁代わりの棚があるのみ。そしてそのほとんどが、本で埋め尽くされています。

この特別な空間創造を手掛けたのは、大阪の建築家・矢部達也さん。「kotobanoie」という名前は、いわば矢部さんが名付けた作品名なのです。突然「家をつくりましょう!」という“ことば”を契機に始まったプロジェクトで、そのまま家の名前になったそうです。

実際にBOOKS+kotobanoieを訪れる人々はみんな自由な時間をすごしていきます。天井まで棚いっぱいに並べられた本たちをただただ眺めてみたり、気になるものを片っ端から広げてみたり、その場でじっくり読んでみたり。気さくな加藤さん家族と会話を楽しむ人や、オーナーの奥さまが出してくださるコーヒーやお菓子をいただいてゆっくりするだけ、という人もいます。

kotobanoieに移り住んできてまだ間もない頃は大きな本棚もまだガラガラの状態でしたが、その後本は順調に増え続けつづけます。本が詰まった棚を毎日眺めているうちに、ある日ふと「ここで本屋をしよう」と思い立ちます。それが今から8年前、BOOKS+kotobanoieの始まりです。

プライベートな空間での本屋のアイデアは、イギリスにある完全予約制の家具屋と、自宅をそのまま店として開いていた大阪の焼き物屋から得たものだそうです。当時はBOOKS+kotobanoieも完全予約制で、あとはネットでの販売だけでした。

ほぼ同時期、カフェや美容室などの本のコーディネーションも手掛けていた加藤さんは、自分の興味がある分野以外の本にも触れることで、本屋として真剣に本と向き合うようになったそうです。月2回の開放日を設けられるようにもなったのは、今から3年ほど前のはなしでした。

本を買うことで生まれるストーリー

BOOKS+kotobanoieにある全ての本に思い入れがあり、買われていくことが惜しいのだと告白してくれた加藤さん。しかしそのことに決して悲観的ではありません。

「顔が見えるひとにものを売ることで、あの本はあの人のところへ行ったんだと分かる。その本無くなるわけじゃなくて、ここの本棚からその人の本棚に移っただけのことであって、もしかしたらその本にとっては、その人の方が大事にしてくれて、幸せかもしれないでしょ」プライベート本屋を選んだ理由はここにもありました。常に思い入れを重視している加藤さんは、本とひと、また訪れたひと同士のストーリーがうまれるような場をつくっていきたいのだと語ってくれました。

仕入れる本の冊数は月に100~150冊ほど。本を買うこと自体も好きだという加藤さんは、本は読まなくても、「その本があるかないか」ということが大事なのだと言います。

「本は買ったからといって、読まなければいけないと思う必要は全く無いんです。その本が家にあるか無いかで違うからね。」一体どういう意味でちがうのでしょう?「読みたくなって読むとして、それであなたの人生変わるかもしれないでしょ。時限爆弾みたいなもんですよ。一生爆発しないかもしれないし、明日爆発するかもしれないけど、爆弾がなければ爆発はしないからね。」

興味を持った本は、たとえ読めそうにないと思ったとしても、手に入れることが大切なのだと語ってくれました。

books+kotobanoie

兵庫県川西市東畦野山手1-16-18

kotobanoie.com

予約制・月2回開放日有り

この記事を書いたのは

小川舞愛

神戸の大学生