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寄り道するなら本を片手に一杯 西荻窪「古本バル 月よみ堂」

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ひとり飲みしたい大人が気軽に寄れる店を

「アンティークの街」として知られる西荻窪は、隣の吉祥寺、荻窪と比べるとやや地味な印象を受けますが、近年はその穴場感からかユニークな店が増えています。中央線西荻窪駅南口から五日市街道に向かってのびる道は「乙女ロード」とも呼ばれ、おしゃれな雑貨店やカフェ、甘味の老舗などが並びます。この道沿いに2015年4月にオープンした「古本バル月よみ堂」を訪ねました。

月を描いたのれん代わりの手ぬぐいをくぐると、店の半分は古本屋になっています。それほど広くない売り場に小説、エッセイ、ノンフィクション、詩集などの各ジャンルの本が並べられていますが、よく見ると個性が感じられます。

左の棚は一面、料理や酒、食文化にまつわる本ばかりです。ほかにも村上春樹の著作を並べた棚、絵本だけの棚があったり、目立たない一角にはジェンダーや性をテーマにした本が集められていたりします。

「本の仕入れや買取は勉強中ですが、厳選して置いています。棚の並びやテーマの関連性にもこだわっています」と店主の首藤七緒さんは夜の料理の仕込みをしながら言います。

店の奥半分はバーになっていて、カウンターで古本をつまみにしながらビールやウィスキーが飲めるという趣向です(本当のつまみも各種あります)。店のコンセプトは「お酒と古本、ときどき珈琲」。

「もともと私自身がお酒好き、本好きでした。仕事帰り、ひとりでバーや居酒屋に入って本を読むんです。軽くお酒を飲み、食事もとる。そんな風にひとり飲みしたい大人が気軽に寄れる店、日常使いできる店をつくりたかった。もちろんコーヒーだけ、古本だけの方も歓迎です」と首藤さんは言います。

好きな街で自分の店を開く

秋田県出身の首藤さんは、動物専門学校進学のため上京し、動物病院と一般企業に勤めた後に古本屋で修行、この店を開きました。企業勤めの頃、独立は決めていたものの、どんな店にするのかは8年前に西荻窪に引っ越してきてから、街の影響を受けながら具体化していったそうです。

「すてきな古本屋、飲み屋、骨董品店、好きな物に囲まれた暮らしやすい街。店をやるなら、この街にしようと思いました」と首藤さん。

出版関係の客も多く、ある著者がバーに飲みに来ていた時に、たまたまその著者の古本を買いにきた人がいて紹介したところ、客同士で盛り上がり、杯を交わしたという「古本バル」らしいエピソードもあるそうです。

近くに住むデザイナーの常連客が「家とオフィスを往復する毎日。その間に、寄り道できるこういう店が一軒あるとホント助かるよね」とグラスを傾けながら口にしていたのも印象深いです。

首藤さんにおすすめの本を聞くと、吉田健一『舌鼓ところどころ』、吉行淳之介編『酔っぱらい読本』、『酒と酒場のベストエッセイ サントリークォータリー傑作選』の3冊を「大好きな本」として持ってきてくれました。

「アルコールが入っている時は、お酒や食のエッセイ本のほうが頭に入ってきやすいです。この時代の男性は、人前でちゃんと格好をつけるんです。飲む時も誰かに見られていることを意識して気を抜かない。品も芯もあってダンディです。お酒好きの方はぜひ参考にしてほしいですね」

かくいう首藤さんは店を始めてからは外飲みの機会が減り、閉店後のカウンターの中で、アイラモルトをストレートかロックで飲みながら、お気に入りの本を読むそう。その姿はたしかに格好いいです。

古本バル 月よみ堂

東京都杉並区西荻南2-6-4

www.facebook.com/tsukiyomidou/

14:00 - 24:00・不定休(休みや営業時間変更はfacebook・twitterで)