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なつかしいのにあたらしい 荻窪「Title」

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棚のテーマは「生活の本」

JR荻窪駅をおりて車が行き交う青梅街道沿いをしばらく歩くと、「本屋Title BOOK CAFÉ」と書かれた黒板風の看板を見つけました。お店は店舗を併設した古民家をリノベーションした物件で、高い天井と時代を感じさせる木の柱が印象的です。この場所に店を開いた理由を、辻山さんは「駅前の喧騒から離れてゆっくりと本に向き合う時間を楽しんでほしいから」と言います。この古民家を見つけたことをきっかけに荻窪の町での開店を決めたそうです。

店内を歩くと「BRUTUS」や「Pen」、「美術手帖」などの雑誌から、今話題の小説やノンフィクション書籍、新書、絵本、児童書、料理の本までそろっています。いつも通っていた町の本屋さん、どこの町の駅前にあって誰もが定期的に通って本を手にしていたような昔ながらの書店を思い出させるラインナップです。どこか懐かしい雰囲気の品揃えがある一方で、リチャード・パワーズ「オルフェオ」などこのサイズの書店としては珍しい海外文学や柳田國男らの民俗学の本、哲学思想やデザインに関する本、各種リトルプレスといった個性的な品を見つけることもできます。

まるで大型書店の本棚を圧縮したかのような本棚の構成は店主の辻山さんの言う「生活の本」というキーワードによって紐付けされています。辻山さんは以前、大型書店にお勤めでした。その時の経験を活かしそれぞれのジャンルに必要だと感じる本を置いているそうです。本を選ぶ基準は「取次の売り上げデータが6割、自分の経験が4割」で、文学や哲学思想など得意なジャンルは自分の読書体験から、専門ではないジャンルについてはデータを見ながらお店の雰囲気に合うものを選んでいるそうです。

「生活の本」という特定の本棚を設けているわけではありません。 「料理の本も哲学の本も、誰かの生活に何かしらの影響を与えます。Titleの本棚には『その人自身になるための本』を置いているのです」と辻山さんは言います。訪れた人それぞれの生活に必要な本が、デザインの本棚、あるいは文学の本棚、すべての本棚に隠れているようです。

レジに立つ経験豊富な店主が、アドバイザーの役割も担っています。 レジの前に立ったお客さんとの何気ない会話の中に最近の本についての話題が上がったり、お客さんが手に取った一冊に対する関連本やおすすめ本について会話が弾んだりすることもあるそうです。 店員との交流が、面白い本との出会いのきっかけになるかもしれません。

本と向き合うためのカフェとギャラリー 

店内には微かにコーヒーの香りが漂っています。店の奥を覗くとカフェスペースがあり、買った本をカフェのカウンターで広げ、フレンチトーストなどの軽食やオリジナルブレンドのコーヒー、国産ワインとともに楽しむことができます。

「説明できるものを出しています。それはコーヒーも本も同じですね」 店主の辻山さんは、自分の言葉で生産地や特徴を説明できる商品だけを出しているそうです。特に、普段の生活から気に入っていたものをセレクトしていることを語ってくれました。カフェを併設している理由は「静かで落ち着いた時間を過ごしてほしい」というねらいからだそうです。

2階にギャラリースペースもあり、切り絵や挿絵版画作品などの展示会を開催しています。昔の古い家にあったような、ちょっとだけ怖い急階段を上ると展示作品が迎えてくれます。挿絵版画の展示会ではテーマとなった文学作品の朗読もおこない、また、新訳の古典短編作品集について編集者が語るイベントなど、文学の世界を広げるイベントを企画しています。

なじみ深い本屋という空間に、「生活」とカフェとギャラリーが重なり合った「Title」は、これからさらに、本に関する新しい活動を行っていくそうです。

本屋Title

東京都杉並区桃井1-5-2

http://www.title-books.com/

11:00 - 21:00 (CAFEのL.O. 20:00) 定休日 毎週水曜・第3火曜