パリに行ったら訪れたい本屋

ブキニストと蚤の市
パリの街を歩くと、よく古本に出会います。
パリ市内を横断するセーヌ川。その川沿い、東はエッフェル塔の足元にかかるイエナ橋から、西はパリ発祥の地と呼ばれるシテ島にかかるシュリー橋までの区間は、世界遺産に登録されています。
この河岸には、「ブキニスト」と呼ばれる小さな古本屋が並んでいます。
緑色の小さなボックスの中には年代を感じさせる本の他、ポスターやポストカード、お土産用の雑貨などがたくさん。


ブキニストの並ぶこの界隈は、ルーブル美術館やオルセー美術館、ノートルダム大聖堂、パリ市庁舎などの主要観光名所が目白押しです。観光ついでに、気軽にパリらしい古本屋に出会うことができます。
また、パリと言えば蚤の市も有名です。
今回はパリの三大蚤の市のひとつで、駅からのアクセスが良いヴァンヴの蚤の市を覗いてみました。古い食器や雑貨、宝飾品、絵画、古着、中古レコード等を扱う露店が連なっています。

三大蚤の市の中では最も小規模とはいえ、あれこれ物色しながら巡るには小一時間程度欲しくなるほどの出店数です。
中にはもちろん、古本を扱う店がいくつもあります。驚くぐらい年季の入った本も商品として置く店も。


実は、パリでは古本限定の市も開かれています。
ヴァンヴの蚤の市の会場から徒歩10分程度にあるジョルジュ・ブラッサン公園では、毎週末古本市が開催されています。
こちらに並ぶ本はヴァンヴの蚤の市で出品されているものより保存状態がよい印象。絵本や雑誌、小説等、品揃えも充実しているので、古本だけを探したいという方にはおすすめです。

ちなみに、こちらの会場のすぐ側に「マックス ポワラーヌ」というおいしいパン屋さんがあります(パン好きには有名なパン屋「ポワラーヌ」の経営者のご兄弟によるお店のようです)。古本市を訪れた後にパンを買い、公園で食べるのもいいかもしれません。

ブキニスト
セーヌ川河岸、右岸はPont Marie からQuai du Louvre、左岸はQuai de la Tournelle から Quai Voltaireまで。
ヴァンヴ蚤の市
パリ14区 Marc Sangnier通りとGeorges Lafenestre通り
pucesdevanves.typepad.com仏訳マンガ店 アルバム・コミックス
パリにはコレージュ・ド・フランスと呼ばれるユニークな学校があります。試験や卒業制度は無く、一般市民が自由に公開講座を無料で受講できる学校です。
その影響もあるのか、コレージュ・ド・フランスがある5区カルチェラタン付近には、大小様々な書店が軒を連ねています。
哲学・芸術・新書・古本...多様なジャンルの店があり、それぞれ魅力的ではありますが、フランス語が堪能でない限りこれらの書店に並ぶ本を読むのは骨が折れそうです。
そんな中、恐らく多くの日本人にとって親しみやすい書店が「アルバム・コミックス」です。

こちらのメインの商品は、店名の通り「マンガ」。日本でお馴染みのマンガがフランス語に訳されて買うことができます。
少女マンガから青年マンガまで、日本の書店と比べても遜色ない品揃えとなっています。
価格は5ユーロから10ユーロ程度と日本よりも高い様子ですが、ナルトやワンピースはやはり人気なのか、売れて欠品している巻がちらほらと見られました。


日本では大抵の新品マンガはパッケージングされていますが、ここではされていません。そのため、全て内容を確認してから購入することができます。しかし意外にも立ち読みをする人は少なく、日本との違いを感じました。
日本マンガの他、その影響を受けたフランス人による同人誌の販売もされていました。カラフルな色使いが目を引きます。

アルバム・コミックス
67 BOULEVARD SAINT-GERMAIN - 75005 PARIS
10時から20時、日曜は12時から19時
日本人作家も並ぶ大型店 ジベート・ジェーン
カルチェラタンの待ち合わせ場所として便利なのがサンミッシェル広場。この広場を囲んで「ジベート・ジェーン」という書店が複数店舗存在しています。日本で言うとジュンク堂のような大型書店で、黄色い看板が目をひきます。
今回はソルド(セールの意。フランスでは年2回、国が定めた期間にソルドが開催されています)の時期ということもあり、店頭には値引きされた書籍が並んでいました。


アイテム数が多いこちらでは日本人作家の本も売られています。アジア文学コーナーの中心となっていたのは村上春樹作品。フランスでも人気のようです。
ちなみに、パリで手書きポップを見かけたのはここだけだったように思います。それでも日本のものに比べて非常にシンプル。フランス人が日本の書店を訪れたら、手書きポップの豊富さに驚くかもしれません。


歴史ある英文学専門店 シェイクスピア&カンパニー
シェイクスピア&カンパニー書店の歴史は古く、初代の店舗が開店したのは1919年。英文学専門書店として開かれたこちらには、スコット・フィッツジェラルド、アーネスト・ヘミングウェイら作家たちも通っていました。
また、ジェイムス・ジョイス「ユリシーズ」の版元となったのもこちらです。今では名作と言われているユリシーズですが、当時は内容が風俗を乱すという理由で発禁処分を受けていました。

このような歴史背景を持つお店は、残念ながら第二次世界大戦の影響で1941年に閉店しています。
しかし初代オーナーのシルヴィア・ビーチと交友があり、同じくパリで書店を切り盛りしていたジョージ・ウィットマンがその意思を引き継ぎ、1962年にシェイクスピア・アンド・カンパニーの名を襲名しました。
セーヌ川左岸にあるこの二代目の店舗もまた、多くの人に愛され、今でも客足が絶えません。
決して広いとは言えない店内ですが、見渡す限り本、本、本...。その所蔵数には思わず舌を巻いてしまいます。

2階には本棚の他、ベッド・椅子・ピアノが置かれた小部屋がありました。かつて作家志望の若者達が寝泊まりしたという部屋なのかもしれません。
今でも、トークショーや朗読会等のイベントが頻繁に行われています。本を介した新たな繋がりを生む場所としての役割も果たしているようです。

