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焼きたてパンの読書会 下北沢「クラリスブックス」

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町にあわせて

下北沢一番街を歩いていくと、カフェや古着屋の店が連なる中に、ビルの二階に古い雑誌や映画ポスターと並べてひつじの看板を掲げた「クラリスブックス」があります。神保町の古書店で勤めた店主が3年前にオープンしたお店で、人文・映画・カルチャー系の本が充実、また月に一度開催される読書会も人気です。

久しぶりに訪れると、店内は本棚の数が増え、1年前とは別のお店のようになっていました。お客さんの本によって変わっていくのが古本屋だと店主の高松さん。お店について、読書会について話をお聞きしました。

高松さんがクラリスブックスを始めたのは2013年の冬。神保町の古書店で働き、様々な店を見ていた高松さんは、「自分のお店を持ちたい」と書店員仲間3人でお店をスタートしました。自宅に近く、古書店が多いということで、場所を下北沢に決めたそうです。

「本の見せ方については考えるようになりました」と高松さん。

「神保町には本が大好きな人たちが集まるから、ぎっしり詰まった本棚から、それぞれ自分たちでほしい本を探して買っていきます。しかし、下北沢の町ではそうはいきません。本の表紙を見せてアピールするなど、見せ方を工夫しなければいけない。試行錯誤でやってます」

町によって本屋さんの在り方は変わるそうです。古書店はお客さんや市場から本を買い、お店に並べているため、その町に住む人の趣味や関心によって店に持ち込まれる本に変化があります。

「売っていただいているお客さんの本を上手に料理することで棚を作っています。持ち込まれた本によってどんどん棚が変化しています。クラリスブックスの本棚にデザインや映画に関する本が充実しているのは、この町がそのような文化に親しんでいるからこそです」

取材時にはカルチャー雑誌「エクス・ポ」やチリ出身の映画監督ホドロフスキーの本などが並んでいました。

「クラリスブックス」という一見かわいらしい店名の由来は、サスペンス映画「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスター演じる主人公クラリス・スターリングから取り、店のロゴもそれに合わせて羊の絵を使用。映画好きという高松さんの思いが表れています。

読書会の面白さ

クラリスブックスでは、月に一回程度読書会を開催しています。課題本は夏目漱石やカミュ、バルザックなど古典文学を中心に、中谷宇吉郎「雪」や井筒俊彦「イスラーム文化」など学術系の本も。スタッフが話し合い、長く愛された作品を中心に作品を選んでいるそうです。

「古典作品はおもしろい。本の価値は作者が亡くなってから決まるのではないでしょうか。長い時代読まれている本はやはり魅力があります」と高松さん。

わりと硬めの本が多いにも関わらず、Webで募集をするとすぐ定員になることも多いという人気の会です。

10人程度の参加者が店内で、近所のおいしいパン屋さんが焼いたパンをつまみながら和やかに作品の話をします。全員がひとりずつ感想を言う時間を設けて、様々な意見が聞けるように工夫しているそうです。

高松さんに読書会の面白さを尋ねたところ次のように話してくれました。

「ドストエフスキーの『悪霊』を10回読んだという若い方が来たりします。ある地方在住の作家が好きで、連絡をとり会いに行ったというような人も来ます。年齢性別問わず様々な方が来てくれて、神保町の書店で従業員として働いていた時には出会えない人と出会っています。
初めての方も大歓迎。本を読んできて、話に参加してもらいたい。たまには映画の話に脱線し、いろんな道すじで作品に近づいていきます。怖い人はいないから大丈夫ですよ」と高松さん。

読み継がれる名著を囲んで様々な人と話すクラリスブックスの読書会。気になるテーマを見つけて参加してみてはいかがでしょう。

クラリスブックス

世田谷区北沢3-26-2-2F

clarisbooks.com

平日12:00-20:00、日曜祝日は19:00まで。定休日は月曜日。(月曜日が祝日の場合は営業)