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本を乗せたオンバがゆく 瀬戸内の「男木島図書館」

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アートと猫で注目される瀬戸内の小さな島

香川からフェリーで約40分の瀬戸内海に浮かぶ男木島は、人口約180人程の小さな島です。2010年よりはじまった瀬戸内国際芸術祭で世界中から観光客が訪れ、賑わいを見せています。

港にある白い屋根の交流館は、様々な文化圏の文字が組み合わさった屋根をもつアート作品です。ここは島民の交流の場やフェリーの待合所として利用されています。他にも島のあちこちに作品が点在しており、歩いていると島の生活にアートが溶け込んでいるのを感じることができます。

最近では、島内に住む猫の数が増え、その猫たちを目当てに訪れる観光客も増えています。人懐こくあとを追いかけてくる猫や、じゃれあっている猫の姿がみられます。

賑わいを取り戻し始めた島へ昨年はUIターンで26名の方が移住されたり、休校していた小学校も再開されたりと、男木島は高齢の世代から若い世代へと受け継がれようとしています。

地域が創り上げる図書館プロジェクト

そんな小さな島で、昨年から「本を通じて人と人がつながれる図書館」をつくるプロジェクトがはじまっています。プロジェクトの運営は、ウェブデザイナーやイラストレーター、カメラマン、建築家、古本屋など幅広い分野の専門家が中心となって行っています。

現在は、図書館の建物として古民家を改築中で、島の漁師をはじめとする島民や、島外からいらっしゃるボランティアの方々と協力して作業を進めています。完成予定の図書館の2階は、海を眺めながら本を読むことのできる造りになるそうです。今後、島の人を交えた蔵書の選定も予定されており、図書館の運営が本格的にはじまっていくようです。

移動図書館オンバ

図書館完成までの期間は、週に1回移動図書館の活動をメインに行っています。

男木島の道は細い坂道が多く、自動車はほとんど使われていません。島民は徒歩での移動が主で、オンバ(乳母車)に荷物をのせて運ぶ光景が日常の風景となっています。2010年の瀬戸内国際芸術祭でオンバファクトリーというアートプロジェクトチームによって島民のオリジナルオンバが制作されました。

そのオンバファクトリーによって作られた移動図書館オンバが毎週木曜日には港の交流館に現れます。

図書館オンバは、移動中には本を収納できる仕組みで、交流館などの目的の場所で展開し、本をディスプレイできるように設計されています。本が並べられたオンバは一般的な移動図書のイメージとは異なり、そのコンパクトさとデザイン性から可愛らしい印象を受けます。

蔵書のジャンルは、図書館おすすめのものや島の方々の要望などから成り、偏りがないように選書がなされています。

本の返却や貸し出しは、“交流館で気になる本を見かけて”、“移動中に声をかけ呼びとめて”、など島民の生活に馴染むかたちで行われています。移動図書館ができたことであまり本に関心のなかった島民たちも本に触れる機会が増え、島の中で東野圭吾が人気になったり、「シイタケ栽培の本はない?」と好みの本を求める声も出てきているようです。

境内から臨む瀬戸内、灯台のある砂浜

島を散策すると、本を読むのに気持ち良さそうな場所がたくさん見つかります。

港からすぐに見える鳥居をくぐり、坂道や階段を登って行きつく豊玉姫神社からの眺めは、眼下に男木島の集落と穏やかな瀬戸内の海景が広がります。境内にある樹々のつくる木陰の下は時折猫もやってきます。静かな境内の階段で読書というのもいいかもしれません。

港からレンタサイクルで約10分の、山を越えた先にある砂浜には男木島のシンボルである灯台があります。

総御影石造りの重厚な雰囲気の灯台は訪れた人をどこかノスタルジックな気分にさせてくれます。また、この砂浜では瀬戸内海に沈んでゆく夕日を眺めることもでき、一日中のんびりと本を読んで過ごせそうです。

男木島図書館

香川県高松市男木町148−3

ogijima-library.or.jp

この記事を書いたのは

ひなた文庫

日本一長い駅名の駅舎にある古本屋。新入荷の本やおすすめの本を紹介していきます。 http://www.hinatabunko.jp