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コメント

日本とブラジルを繋ぐトンネルを開発する会社の広報課の物語。

突拍子もない計画のすぐそばで発表することのない原稿を書き続ける、広報課、鈴木一夫。

穴を掘った副産物の温泉に浸かりながら、彼はいつか来る計画の完成を待っている。

そして深い穴がトンネルになったとき、彼は物語の表舞台へと登場する。

いつか深い穴に落ちるまでの軌跡がこの物語であり、鈴木一夫の仕事なんだ。

鈴木の意志を継いだ後輩、大森が語る鈴木の最後の様子。語り手を大森にするなんて、洒落た演出じゃないか、ほんとに。

もしほんとうにこんな事業が秘密裏に行われていたのなら、そしてどこかに鈴木がいたのなら、いや、やめておこう。

この計画を表沙汰にするにはまだ早い。
ぼくたちの社会がもう少しゆとりとユーモアを取り戻すことができたなら、大森よ、存分にプレスリリースを発表してくれ。

ぼくたちはまだ深い穴に落ちる準備ができていないのだから。

日本とブラジルをトンネルでつなぐ極秘プロジェクト広報に配属された新卒男性。

数十年働き、ついに貫通。ラストがまさかの。

読者

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文芸

狙撃手のゲーム(上)

狙撃手のゲーム(上)

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Toru Omae

欧米ミステリを中心に読んでいます…

邦訳されると必ず手に取る作家の一人。狙撃手が主人公のシリーズなので血腥い話が苦手な方には向かない~銃や狙撃のスペックや技術論がけっこう長々と嬉しそうに書かれたりするし~とは思うのですがはまりだすと抜け出せない魅力があるシリーズだと思っていまる。元々はトレーラーハウスで暮らすうらぶれた退役軍人として登場した主人公もいろいろあった結果、裕福な牧場主となって引退生活を楽しんでいる。それでここ近年ちょっと勢いがなかったので脇役にまわってみたり、と作家も試行錯誤していたのだけど本作はかなり良かった。ある日主人公のもとを一人の女性が訪れる。海兵隊の狙撃手としてイラクに派遣されていた息子が狙撃されて命を落としたのだがどういう敵にどのように殺されたかわからないので全財産をつぎこみレイプや暴力にあったにも関わらず何度も中東に渡って調査を行ったのだという。その調査の結果、敵側にもかなり強力な狙撃手がいることが分かったのでその情報をなんとかうまく活かせないかというのだ。女性の行動に感銘を受けたものの自身はもう高齢なためその情報をイスラエルの情報機関に持ち込む。イスラエルがその狙撃手を急襲し取り逃がしたのだがそこで得た情報からアメリカ本土でなんらかの長距離狙撃が計画されていることがわかり…という話。老境の主人公なのでスーパーマンめいた動きをせず追跡チームの一員として描かれているところがよかったのでは、という気がした。敵役の描かれ方もよく緊張感のある追跡劇になっていると思う。全米ライフル協会みたいな人たちが好みそうな作品ではあるのだけど面白いことは確か。面白いアクションものを読みたい方にはおすすめできます

約11時間前