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GDP(国内総生産)を拡大し続ければ、我々は幸福になれるのか?『日本‐喪失と再起の物語』で話題を呼んだ《フィナンシャル・タイムズ》の元東京支局長が、日本の... 続き

コメント

FTの編集者がGDPという概念の不完全さと代替となりうる指標について説明した本。東京支局にいたこともあるということで、ちょいちょい日本についての言及もある。
簡単に要約すると、GDPは1920年代の世界恐慌下、クズネッツが初めて概念として確立させたもの。単純な値段の総計なので、単純化して言えば、渋滞でタクシー代が余計にかかったらそれはGDPを押し上げる一方で、ネット通信料が値下げされたらそれはGDPを引き下げる。創始者のクズネッツもその欠陥には気付いており、GDPはあくまで経済活動の近似値でしかないと考えていた。
近年環境問題がより深刻になる中、GDPの「誤差」はより大きくなってきているにもかかわらず、それがあまりにも強力な(単純で分かりやすい)指標であるがゆえに、政治家も皆GDPを成長させることを政策目標にしている。しかし経済成長の是非を語るために環境破壊とのトレードオフを語ることは避けては通れず、GDPはそのトレードオフをうまく可視化できているとは言いがたいため改良の余地がある。代替となりうる指標について色々な人の取組み、研究を紹介する。著者自身、完全な指標はない(特に、環境破壊によって失われる「価値」を数字にすることは極めて難しい)としつつも、何もしないより、他の指標をトライしてみる方がマシだ、という結論。

言っていることはしごく真っ当で、理解できる。何もしないより環境の「価値」を可視化する努力をする方がまだマシだ、というのもその通り。ただ、GDPに関する議論は環境問題という視点からのものだけではなくて、サービス業やIT産業の価値を正しく測れているのかという論点もあるはず。戦間期に作られたという経緯からも分かる通り、経済のほとんどが製造業だった時代の産物であるGDPによって、GAFAやBATなどの企業のもたらす経済効果は正しく測れているのだろうか?もちろん広告収入とかは計上されているんだろうけど、GoogleやFacebookが世界にもたらした途方もない利便性は正しく捉えられているのか?環境問題よりもむしろそっちが自分の問題意識だったので、今度はもう少しそこを掘り下げている本を探したい。

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長女。魚座。空想好きの読書好き。

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