9784065197660

発行元から

坂道と石段と石垣が多い町、夏流に転校してきたミチル。六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城―夏流城での林間学校への招待状が残されていた。ミチルは五人の少女とともに、濃い緑色のツタで覆われた古城で共同生活を開始する。城には三つの不思議なルールがあった。鐘が一度鳴ったら、食堂に集合すること。三度鳴ったら、お地蔵様にお参りすること。水路に花が流れたら色と数を報告すること。少女はなぜ城に招かれたのか。長く奇妙な「夏」が始まる。(「七月に流れる花」)

夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加する光彦(てるひこ)。毎年子どもたちが城に行かされる理由を知ってはいたが、「大人は真実を隠しているのではないか」という疑惑を拭えずにいた。ともに城を訪れたのは、二年ぶりに再会した幼馴染みの卓也(たくや)、大柄でおっとりと話す耕介(こうすけ)、唯一、かつて城を訪れたことがある勝ち気な幸正(ゆきまさ)だ。到着した彼らを迎えたのは、カウンターに並んだ、首から折られた四つのひまわりの花だった。少年たちの人数と同じ数――不穏な空気が漂うなか、三回鐘が鳴るのを聞きお地蔵様のもとへ向かった光彦は、茂みの奥に鎌を持って立つ誰かの影を目撃する。閉ざされた城で、互いに疑心暗鬼をつのらせる卑劣な事件が続き……? 彼らは夏の城から無事に帰還できるのか。短くせつない「夏」が終わる。(「八月は冷たい城」)

恩田陸の本

スキマワラシ

スキマワラシ

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にじます

目標月5冊

つきつめる兄と忘れやすい弟は、モノの気持ちを読みとりながら伝えていく。恋愛要素がない分さわやかさがいい後味に。

約1時間前

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文庫 錆びた太陽

文庫 錆びた太陽

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HSSISOLATED

人生で何度目かの読書熱

恩田陸製『GenerationZ』或いは『Walking dead』と言うと怒られるだろうか。 SF、ゾンビもの、アイザックアシモフ的ロボットもの、ゆるやかディストピア。 国土の3割が汚染され住めなくなった日本において、除染作業に携わるアンドロイド、そして立ち入り制限区域にはゾンビやらクリーチャーがごそごそしている世界だ。 物語の前提として、文明世界は健在であり、日本国とか政府・行政府も通常通り仕事をしている。 ユーモアと皮肉に溢れているのは、忘年会や省庁間のいざこざ、利権団体誘導的政治(家)といった「日本文化」までご丁寧に健在なところがゆるやかディストピアたらしめている。 登場主体は人間の女性、ロボットたち7体(ウルトラセブンと言うと商標登録に引っかかるのでウルトラエイトらしい)、そしてゾンビだ。 ところが不思議なことに、感情移入してしまう対象はロボットたちである。 このロボットたちは上司の指示と職務規定に従って毎日労働に勤しむ。 決まった時間に起床し、神棚に手を合わせ、p.14『「安全第一!」』とスローガンを唱え、指差し確認もする。 これらは現在の人間が行なっている仕事、営みそのものであり、「日常」である。 そこへ突然、国税庁から来たという女性、即ち「非日常」が入り込んでくる。 非日常を体験するうちに彼らはこう思う。P.162『もはや、ニッポンはダメかもしれない。そんなことを考えたのは初めてのことだった。』 つまり、非日常が人間(ボケ)で日常がロボットたち(ツッコミ)というこれまた日本的な構図が皮肉を帯びて見出される。 ポスト3.11に生きていて、そして(生き残る事ができれば)アフターコロナの世界でいかにより善く過ごせるだろうか。 p.493『その時その時で生きていかなければならないのも分かる。家族を養い、従業員を養い、食べていかなければならないという事情もわかる。自分がその立場に立った時、止むを得ない選択だというのも理解できる。だが、それでもなお、問わずにはいられない。ご先祖の皆様方。どうしてあなた方は「やめる」という選択肢を選ばなかったのか』 この台詞が突き刺さる。 その場その場を凌ぐため、その時その時の場当たり的な、内省・洞察なき即物的・即効的対応は最善と言えるだろうか。 そうではなく、在り方についての理想があり、そのために具体的方策を見出すべきではないか。 従って、具体的よりもまず抽象的から。木を見て森を見ず、上部概念から下位構造へ、戦略を策定して戦術を繰り出す云々。 この物語のロボットたちにはあるべき理想が策定されている。 それはロボット三原則、本作ではモラル三原則だ。 どうすればこれに抵触せず、最善を尽くせるかを彼らは考えられる。 まず理想とする姿があって、個別具体的行動をとる。 これこそ、人類が発展させてきた文明の善なる部分の姿であって、目先の欲求を留め、より大きな最大化された幸福、大義を獲得することが社会の正義、公共性ではなかったか。 この緩いディストピアの時代、緩やかに地獄へ落ちてゆく世界においてもう一度原理原則に立ち戻って理想の社会、世界について思わずにいられない。 それはそうと、物語として非常に面白く、あっという間の一気読みをしてしまった。

7か月前

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禁じられた楽園

禁じられた楽園

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こんこ

ホラー映画苦手なのに、スティーヴ…

★★★★☆ 恩田陸さんらしい、ファンタジーホラー小説。 次は何が起こるんだ!?とどきどきしながらどんどん読めました。 最後の30ページで大どんでん返し。 そこで好みが大きく分かれるかな?

9か月前

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