|
まるたろ 好きなことは、何もしないこと |
20200223
![]() |
13坪の本屋の奇跡
地域に根ざした小さな本屋が お客さんの望む商品を用意できない苦しさは察するに余りある やはりここでもランク配本と見計らい配本の問題に直面する だからといって、取次を通さない書店が生き残れるという保証はどこにもない 解決策が見出せない問題提起の本 |
![]() |
ベネズエラー溶解する民主主義、破綻する経済
ベネズエラというのは未熟な国家が多い南米においては民主主義国家として成功していて産油国でもあり他の資源も多くて生活水準の高い良い国、というイメージだったのだがいつの間にかシリアに次ぐ難民を出している殆ど破綻国家だということ知り何故そうなったのかを知りたくて手にとってみた。問題の所在はチャベス、マドゥロという二代続いた大統領の政策にある、ということで何よりも凄まじいのはこの二人が国を率いた二十年で戦争も自然災害もなかったのにGDPがほぼ半減、世界一の埋蔵量を誇る油田のある国が汲み出す原油は中国やロシアへの返済で外貨収入にはならず、ということでもはやどう建て直して良いのか誰にもわからないくらいの破綻国家に成り果てているのだ、ということがその理由も含めて説明されている。二人の政治指導者も元はと言えば原油価格の下落で貧困層が増えているのに何も有効な手を打とうとしない既存のエリート層への不満から国の舵取りを任されたわけで、結果として尽く打つ手を誤った挙げ句、犯罪的な国家運営に陥っていった様が分かりやすく説明されている。恐ろしいのはチャベスが権力を握った背景が格差解消を謳った彼を教育程度の低い貧困層が強く支持したから、ということでほぼトランプが大統領になった経緯とかぶるという…一歩間違えるとアメリカもこうなっていたかもしれない、という点。ディストピアみたいな話ってフィクションでしかありえないと思っていたのだが国家というものが割と簡単に崩壊するのだ、ということがわかって非常に興味深い作品。 |
![]() |
新しい世界 世界の賢人16人が語る未来
先日、iPhoneの修理に行った時に予期せず1時間の待ち時間ができてしまったために購入した作品。どれだけ意識高いんだって感じしますけども(笑) フランスの雑誌なのかな新聞なのか...クーリエが記事にしたいわばアカデミック世界のスター達のインタビュー抜粋集。収録されているのは、ユヴァル・ノア・ハラリ、エマニュエル・トッド、ジャレド・ダイアモンド、フランシス・フクヤマ、ジョゼフ・スティグリッツ、ナシーム・ニコラス・タレブ、エフゲニー・モロゾフ、ナオミ・クライン、ダニエル・コーエン、トマ・ピケティ、エステル・デュフロ、マルクス・ガブリエル、マイケル・サンデル、スラヴォイ・ジジェク、ボリス・シリュルニク、アラン・ド・ボトンといった面々。対談とかインタビューって難解なところは相手が「つっこみ」を入れてくれるからかなり読みやすく、長くても10ページくらいの抜粋だから個別にはとても読む気もせずよしんば読んでもちんぷんかんぷん、みたいな人たちの思考の一端に気軽に触れることができて良かった。表現が悪くて申し訳ないけれど待合室とかトイレとかにあるとちょっと良い感じかもしれない(笑)
|
![]() |
戦地の図書館
アメリカ軍は前線の兵士に本を届けるということを組織だって実行していたらしくその記録。もともとはナチスが自分たちの意に沿わない本を燃やしたことへの抗議から図書館を中心に既存の本を届けるというプロジェクトだったものが前線でも兵士が持ち歩きやすいようにコンパクトな「兵隊文庫」として整備され実に一億4千冊が配布されたのだという。とにかく精神論で飢餓状態で弾もないのに闘え、といった我が国の軍隊とは違って、兵士が良いコンディションで闘えるように、ということを追求する米軍らしい話かなと思いました。戦地に届けられる備品の中で、もちろん飢餓などには無縁だからというのもあるけど本が一番人気があった、というのも興味深い。よりよい状態で人殺しができるように、という目的である、ということさえ気にならなければかなり面白い作品だと思います。面白かった。 |