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Tom 読みたい本がいっぱい |
持っている本の中で、一番装丁が可愛らしい。
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某
訳あって久々の読書となったが、あぁこれぞ川上弘美という読後感。この物語でないと語られない、人間が人間になるとはどういうことなのかを深く掘り下げた作品。そしてさすがと思ったのは、男⇄女の恋愛が取り払われて、人⇄人の物語になっているということ。見事としかいいようがない。 |
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三度目の恋
読後、本を閉じ表紙のタイトルを見て、思わずため息が出た。 昔昔の安らかな恋も、昔の燃える恋も、何故こんなに違うのに等しく愛(かな)しいのでしょうか。 怒りという感情からは無縁な、落ち着いた川上さんの文は居心地が良く、安心します。 |
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甘い罠―8つの短篇小説集
小川洋子さんと、桐野夏生さんと、高樹のぶ子さんの話が特に気に入った。 恋愛ものの罠ばかりかと勘違いしていた。 男を老人が恐怖に包む罠もあれば、書道家を過去の因縁で陥れる罠もあれば、男女の渦巻く罠もあれば、囀るような心清らかな作家が出てくる話もある。 ジャンルの違う料理を1度に食べたような、不思議な気持ちです。
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森へ行きましょう
同じ日に生まれた「留津」とルツ、平行世界に生きるふたりはあったかもしれないもう一ついや数多くの可能性を秘めた人生という名の森を歩む。 「無数の岐路があり、無数の選択がなされる。そのことを「運命」というらしいけれど、果たして「運命」は、一本道なのか。左を選んだ時の「運命」と、右を選んだ時の「運命」は、当然異なるはずで、だとするならば「運命」は選択肢の数だけ増え続けていくのではないか」p.106 この運命の奇妙さとはいかに。 そして奇妙な運命というやつに翻弄されながらも「みんな、森に行っちゃうんだな。ルツは思う。森で、迷って、帰れなくなって、でもそれでも、いつの間にかどうしても森に行っちゃうんだな。」p.548 人生という森は怖くもあるけどおかしいこともある。 「すあま、食べたかい。ピンクのすあまが、おいしいよ」p.410
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