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戦慄のバラバラ殺人-汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡... 続き

コメント

20170121
コメントはまたゆっくり。

仕事関係で知り合った方(かなりたくさん本を読まれている様子)のオススメで読みました。BSの番組でも著者が本作品について語っていたのを(本来私は小説家や、映画監督などが、自作について語ることを好みません、作品で勝負して欲しいので)ちょっと見たせいもあるかも知れません。またその事で少し先入観を持ってしまったかも。しかし、私にとって初めての作家さんでもありますし、興味ありましたし、良い縁かも知れないとも思いまして。

舞台は2002年の日本、普通の家庭を築いた平凡な(もちろん様々な悩みもあり、兄に対する憧れとコンプレックスや、仕事の悩みも抱えている)弟と、能力が高く人から一目置かれる(しかし、心の中は醒めていて、人を愛したり、信頼したり出来ない男)兄、兄弟の両親(ふさぎ込んだ父と、普通の母)、弟の妻(弟を愛してはいるが、兄を頼り信頼もしている)、兄弟とは全く何の関係もない虐められ易い中学生、その特異な(でも確かにいそうな)母親、中学生の子が想いを寄せる同級生の女の子、など、様々な登場人物が織り成す物語です。

それぞれの葛藤や現代の悩み、問題、構造を同時に扱いながらも、より大きな謎と暴力と悪意に巻き込まれていく 人々を神の目線で捉えたドラマです。ネットや少年犯罪、倫理や格差、犯罪被害者や死刑の問題、マスメディアの問題や親子関係の問題等々、たくさんのものを扱いながらも読みやすく、また上手い表現ですし、読者を引き付けるチカラも強いです、例えるなら、村上 龍さんの小説が一番近いでしょうか?大きな謎を追いかけるうちに付随する日常的な様々な問題も同時に一つの作品に乗せるそのテクニックは凄いものがあります。初めて読む作家さんでしたが、なかなか上手いと思いました。今読むに値するテーマですし、読ませるチカラも、カタルシスもあってエンターテイメントとしても(作者の方はエンターテイメントとして扱われたくないと考えているのではないか?と私には感じられましたが)素晴らしいです。読み終わった方と作品について話してみたくなります。

村上 龍さんの作品を好きな方、現代の様々な問題に興味のある方にオススメ致します。

と、私の普通の感想はココまでなのですが、ネタバレありで、読み終わった方にもう少しだけ感想を(読むつもりが無い方や結末が分かってしまっても構わない方であればどうぞ)。

ちょっとたくさんのテーマを扱い過ぎてしまったのか?とも思いますし、作者の沢野 崇に対する思いいれが少し漏れてきているように感じられました。キャラクターとして彼が分からないではなく、1番近しく感じられますし、主人公である事に間違いないのですが、最初からクールな、合理的な男のように見せるつもりが、弟との会話や、不倫相手の彼女たち、また親しい友人との会話であったとしても、すぐに自分の意見の底まで話してしまう会話の成り立ち方に、どうしても私は作者の言いたいことの代弁に聞こえてしまう部分を(勝手に)感じてしまい、ここまで広い様々なテーマを扱って同時代性に訴えようとしているのであるならば、もう少し(3人称を使っているわけですし)作者の代弁感をそぎ落としても良かったのではないか?と私個人は感じました。どうしてもヒロイックな状態に置く事を(当然作者なのですから、どのような状態にでも動かせるわかですから)意図して、崇に酔ってしまっているかのような感覚を持ちました。

また、登場人物の心の動きや葛藤は確かに描けているのですが、どれもそう大きく私個人の予想を裏切らなかったという意味でも、手に汗握るまで行かなかったように思います。もちろんグイグイ読ませる、続きが気になる展開なのですが、そこは大きな「謎」というフックがある以上当然といえば当然のように思いますし。「謎」を背負わせる男の凄まじいまでの説得力『遺伝と環境の不公平』は確かにどうにもならないけれど、それは昔から当たり前の事であって、耐えられにくくなったのだと思います、より社会が成熟しても、基本的に不公平は残りますし、完全なる公平な社会はそれはすでに社会ではないはずです。

「悪魔」の存在が起こすグロテスクな犯罪に関しても確かにセンセーショナルではありますが、想像の範囲のような気がしました。酷い、どうしようもない悪意ではありますし、共感も出来ませんが、そんな人がいるであろうという想像は、出てきて欲しくないけれど、場合によっては、というような予想を外れる程のものではなかったのではないか?と。「離脱者」は一時(サカキバラ事件の時の事です)テレビに出て発言していた宮台さんの言う「脱社会的存在」と同義だと思いますし、たくさんのテーマの落としどころも斬新な何かはなかったように感じました。

小説であれば、架空の物語なわけですから、そこに同時代性をもって語ることの意義を求めることに特に反論はありませんし、技術の一つです。が、それならば私にとっては社会学者の話しや、心理学者や、識者、評論家の語る現代批評や評論や時事論壇でよかったのでは?と感じてしまいました。多分この作者が文章のテクニックを持ち、主題に関しても、それに付随する細かな事柄に対するものにしても同意できるので、余計に期待し過ぎたのかも知れません。小説として面白く読んだのですから特に不満を書く事は求めすぎなのかもしれませんけれど、ここまでやるなら(もちろん書く、何かを作ることは非常に難しく、素晴らしい事で、私の書く感想はただの感想です、創る方が素晴らしい行為に決まっていますが)もっと新しい視点、立場、考え方があったらよかったのに!と思ってしまったのです。

「決壊」するに至る敷居の低さとネットの安易な繋がりに、用意周到な悪意と覚悟が連なる時、今ならどこででもありえそうな話しです。が、犯人の爆死と携帯の郵送は、少し都合良過ぎてしまった為に私には残念に感じました。センセーショナルですが、ちょっと難しいですよね、時事系列でその連動を起こすのは。また、そこまで崇の物語にする根拠が私には分からなかったですし、そこを想像してしまうと、作者と崇をダブらせたかっているのでは?という邪推が起こってしまったのかもしれません。だからこそ私が「崇」=「作者」感を嫌なモノとして感じてしまったのかも知れません。

と、いろいろ感想を書かせてもらいましたが、読ませるという意味においてなかなかの秀作だと思います。

2008年 9月

読者

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平野啓一郎の本

マチネの終わりに

マチネの終わりに

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しずか

本、読む人の横顔も好きです

喜怒哀楽 全てを見せられた様な感覚。 切ない。それだけでは無いのだけど。 恋愛小説でありながら人生観について考えさせられる。 過去は変えられる。その言葉が胸に刺さりました。 過去を変えながら未来を変えずに居られるのか。 それは最後の2人へのメッセージだと思います。

4か月前

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ある男

ある男

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渡辺洋介

神田村経由専門書版元

亡くなった夫は全くの別人であった。夫はどこの誰なのか。物語はその謎に迫るべく進んでいく それがあくまでも軸となっているが夫婦とは何か?一緒に暮らしていても実は解らないことだらけであり、そもそもわかり合うことは不可能であるということを突き付けてくる。 また中年男性の都合の良い願望(あくまでプラトニックなのが肝)を通してエンターテイメントの枠内で反差別を唱えている。ストレートに語っても通じにくいこともあるが物語というフィルターを通すことで伝わりやすくする手腕にうまさが光る。 「そう、そういうのが強調されると、その人の持っている他の色んな面が無視されちゃうでしょう?人間は、本来多面的なのに、在日って出自がスティグマ化されると、もう何でもかんでもそれですよ。悪い意味だけじゃなくて、正直僕は、在日の同胞に、俺たち在日だしなって肩を組まれるのも好きじゃないんです。それは、俺たち石川県人だもんな、でも同じですよ。”加賀乞食”なんて自虐ネタをフラれても、そういうところがある気がしないでもないけど、何かにつけて言われるとね。 ………弁護士だろう、とか、日本人だろう、とか、何でもそうですよ。アイデンティティを一つの何かに括りつけられて、そこを他人に握りしめられるってのは、堪らないですよ。」P.146

約1年前

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日蝕・一月物語

日蝕・一月物語

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cobo

昔の記録に

「決壊」を読んだので、上手いとは思うのですが、もう少し痒いところに手が届くように、私が好きな作家さんになりうるのかどうなのか?を判断するために処女作を読む事にしました。私はたいてい最初の作品にその作家さんの何かが出ていて、それを読む事で好みや傾向が分かる気がするのです。これ以上追いかけるに値(もちろん私の嗜好にとって、という事ですが)するか否か?という点を判断するのには1番売れた作品よりも、最初の作品なのではないか?と考えます。 で、感想と致しましてはこれ以上強く追いかけたいとは思いませんでした。またオススメではないのですが、私の感想を。 15世紀のフランスを舞台にある一人のカトリックの僧がフィレンツェを目指す途中で立ち寄った村で錬金術師と出会うのですが...という滑り出しなのですが、古い漢字か、当て字なのか分かりませんが全編古い字を使ったことで情緒は出ていますが、読みにくい。時代感溢れる演出ですが、もう少し上手く出来ないものか?とも思います、読みにくいことだけが良くないのではなく、読みにくさがあったとしても得られる何かの方が大きければ何の問題もないのですが、私にはデメリットの方が多く感じました。また、どうしても「薔薇の名前」が頭をよぎる構成といいますか、展開でして、「なんかどこかでみた」とか「似たような展開を何かで憶えてる」とかを感じさせます。意図したものではないかも知れませんが、そんなちょっとした違和感や演出がどうしても「読ませたい物語」よりも「びっくりしてくれた?けっこう上手いでしょ、私」的なる自己顕示欲に見えてしまう(もちろん私にとって、です)のです。これは技術的問題で、最初から上手い人はいないのでしょうけれど、その加減が私には鼻につく作家さんである、という傾向を感じ取れたので、しばらくはもう良いかと。でも、誰かからススメられると読んでしまいそうではあります。特別毛嫌いする程、耐えられない程ではありませんが、2作品だけで私の中の平野さん桶の中には水がいっぱい溜まってしまった感じです。 なんとなくこうして自分の文章にしてみると、「決壊」で感じた違和感がここでも感じられるのは自分でもびっくりです。引き寄せるチカラ、読ませるチカラは間違いなく上手になっていますし、文体もまるで違うにも関わらず。でも、もしかすると、ただの私の好きな幅が狭いだけなのかも知れませんけれど。そうだと嫌なので、できるだけいろいろなモノを読んで行きたいと考えていますし、せめて読んでから批判したいとは考えていますが。 特にオススメではないのですが、「薔薇の名前」の世界が(映画でも、本でも)お好きな方に、ヤヤスメ(ヤヤ、オススメの略ということで)します。 ところで、帯に『三島由紀夫の再来』って形容されているのですが、それって凄いですよね、やるな、新潮社!と思いました。売りたいぜ!って鼻息が感じられます、ストレートで凄い。 2008年 10月

約3年前

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ウェブ人間論

ウェブ人間論

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marz

漱石→三島→小林→聖書

「生まれた時に放り込まれたコミュニティ」で交わされる言葉や価値観と同時に、ネットの世界のあらゆる場所の人々と交流する言葉や価値観に影響されながら、成長してゆくことになる。どこに住んでいても考え方が均一化されていくのは怖い。突き抜けるチカラを磨き続けなければ〜

約3年前