文芸

少年は死になさい…美しく

少年は死になさい…美しく 新堂冬樹

残虐極まりない少年犯罪で 妻と子供と胎児を殺された主人公 だが彼のやったことは復讐ではなく「作品」を作ることだった 黒新堂 やっぱりえげつない

シティ・マラソンズ

シティ・マラソンズ 三浦しをん

電子書籍で購入したので一篇ずつの分冊版。東京マラソン、ニューヨークマラソン、パリマラソンにて、競技からは離れた、あるいは競技としては走ることに触れてこなかった人たちが走る。彼らが走る中でそれぞれ見るものとは。 市民に開かれたマラソン大会に向き合う三篇は三篇とも自己に向き合う人たちの話でもある。しかし、自分に、そうでなくとも誰かに向き合わない物語が存在するだろうか?走るという単純でいて奥深い行為が、それぞれの物語を進めていく。 近藤史恵「金色の風」の、バレエから離れた主人公にもたらされる「だから、あなたもバレエという芸術の一部なのよ」という言葉が眩しい。

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謎の毒親

謎の毒親 姫野カオルコ

これを読むことは、毒親の真の意味を、じわりじわりと、知っていく作業だった。 一見、問題のない親に見えて、子ども自身もそれを疑わず、だけど、ゆっくり少しずつ、死なない程度に毒を浴びてゆく。親も子も、毒し毒されているとは、露ほども思わない。 親にとって我が子が課題であり、子にとっても親が課題。それから聞き手の姿勢として、自分の物差しで人を計ってはいけない。 私としては頭皮臭い事件について、父親自身の蓄膿症が原因と見ている。最初にたまたま頭の近くで臭ったが為に、父は頭皮の臭いと思い込んでいる説である。

Blue

Blue 葉真中顕

「青」=「ブルー」と呼ばれた男の子の一生を、時代の流れと共に追う。 平成元年に生まれ、平成の最後に死んだ。平成の社会問題を一身に背負った人生だった。 時代の流れと共にというのが趣旨なので仕方ないけれど、流行の説明はちょっと空々しいかな。

初恋温泉

初恋温泉 吉田修一

男性と女性の考え方の相違を突きつけられました。 男女はどうして惹かれあい互いを求めるのか。違うからこそ魅力があるのか。 男性脳と女性脳は違うといいますが、物語で読むとまた違った感想を持ちました。

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蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷 恩田陸

クラシックの知識がないので文中に出てくる曲名だけだと、どんな曲か分からないけど、音楽が聞こえてくるようだった。

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山の音

山の音 川端康成

「そうして、ふと信吾に山の音が聞こえた。」死の告知かと恐れながら、息子の嫁に恋心を抱いたり、昔憧れた女性を忘れられない葛藤や、出戻りの娘や家族を描いているが、僕も歳をとったか、感銘してしまった。

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新・魔法のコンパス

新・魔法のコンパス 西野亮廣

「1滴かけても起きない。5滴かけても起きない。10滴、20滴かけたら、もう頭がビチョビチョになって、そこで、ようやくあのバカがバッと飛び上がって起きて、濡れている自分の頭を押さえて、呟きやがったんです。「やってもうた…」」(180ページより)

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私たちの星で

私たちの星で 梨木香歩

梨木香歩と師岡カリーマ・エルサムニーの往復書簡をまとめた一冊。 梨木さんは知っていたが師岡さんの方は知らなかったけど、エジプト人と日本人のハーフであり自身もムスリムで、NHKラジオでアラビア語放送アナウンサーもしている文筆家であるらしい。 そんな2人が、世界の動きや人々について、丁寧に言葉を交わしているのがこの本。 グローバル化やそれに反発するナショナリズムについて、イスラム教や信仰についてなど、割と堅めな話題について話が進む。 2人の教養や人生経験が滲むような穏やかなやりとりに、普段使わない脳細胞が刺激される。 異文化との交流や世界との付き合い方など、広い目線で生きていきたい人への指針となる、と思う。 少し注意としては日本の政治に対する意見などもあるので、もし対立する意見であっても「自分とは異なる意見」への寛容をもって望んでほしい。

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殺人鬼

殺人鬼 綾辻行人

グロいとは聞いていたけどまさか文章でなぁ〜と思ってた。舐めていた。吐き気を感じながら休み休み中盤まで読むと後は夢中になって最後まで読んだ。ミステリーとしてはそんなにかもしれないけど中々楽しい読書体験でした。

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花ひいらぎの街角 紅雲町珈琲屋こよみ

花ひいらぎの街角 紅雲町珈琲屋こよみ 吉永南央

登場人物もほぼ同じで、事件と言っても主人公の住まいの近辺で完結してしまうご近所ミステリでありながら、マンネリにも陥らず人の善意と悪意がきっちりと書き込まれている本シリーズ。 久しぶりに再会した昔の仲間のために本を作ろうとする主筋に、すでに過去のこととなった事件を絡めて一気に読み終えた。 今回も安易なハッピーエンドとは言えないラストだったけど、主人公たちの抱えた老いの寂しさとそれでも遺った者たちで生き続ける決意に、自分の行く末を考えさせられた。

中原中也との愛―ゆきてかへらぬ

中原中也との愛―ゆきてかへらぬ 長谷川泰子

小林かいちが装丁に使われてるので手に取りました。 古今東西を問わず画家や音楽家、作家なんかにはこういうファム・ファタール的な人がいるの面白いよな~と思ったけど、誰にでもそういう人はいて作品として残るから特別なように感じてしまうだけなのかもしれない。 長谷川泰子さん本人に悪気はないんだろうけど女に嫌われる女って感じがする~~ 小林秀雄サイドの文書も読んでみたいけどあんまり残ってないっぽいんだよなー

はてしない物語

はてしない物語 ミヒャエル・エンデ

長編ファンタジー小説。大変長いが、それ以上の名作。 主人公のバスチアン・バルタザール・ブックスは、運動も勉強もダメないじめられっ子。お話を考える事だけが唯一得意な彼が、ある日古本屋で出会った『はてしない物語』という本に魅了され、思わず盗んでしまう所から物語が始まる。 この本を初めて読んだのは小学生の時。何も予備知識もないままにこの作品が読めたのは幸運だった。 魅力的すぎる登場人物たちや世界観、ストーリーの展開、『物語』に対する作者の想い、さまざまな要素が素晴らしく、20年近く経った今読み返しても一切色褪せていなかった。 物語に入り込み、没頭し、現実に戻る。そこから多くのものを貰い、生きていくことが出来る。 いつかお返しができる日が来るのだろうか?

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連続殺人鬼カエル男ふたたび

連続殺人鬼カエル男ふたたび 中山七里

刑法三十九条について、このシリーズでは考えさせられる。 その答えは、とてもじゃないけど簡単に答えは出ない。 そして被害者は加害者だけでなく、心無い世論の声とも戦わなくてはいけない。マスコミ含め。 「世の中で本当に残虐無比なのは実際に手を下した犯人よりも、こうした有象無象の匿名者ではないのか。被害者側に多大な心痛を与えた名無しの卑怯者たちには何の罰も科せられないのだから、見方によってはこちらの方が数段悪質とも言える」 そんな文章が印象的だった。 これは、イジメにも通じるものがあると思った。 傍観者は時に罪だ。 …それはさておき。 勝雄の事を思うと、切なく感じました。 あと、さゆりさん…何者なんだ、一体⁉︎ ラストがもう絶対続編決定で、「何だ、この終わり方っ!」と思いました。 勿論、続きも読みます。

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