人文

人生を狂わす名著50 京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著を選んでみた。

人生を狂わす名著50 京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著を選んでみた。 三宅香帆

みずみずしい文章が眩しい。 著者の方は大学院生ながら、もの凄い量の本を読んできた方です。信頼できない語り手は本当に信頼してないし、作者に鋭いツッコミを入れたりもする。 書評は中立的で作家の世界に容易には引き込まれず、一歩引いた形で書かれています。すごいなぁ。私なんか何も考えず作品にもたれかかっちゃうのに、彼女はぴしっ!っと背筋を伸ばして作品を分析しているのです。 コロコロと表情が変わる文体は若さを体現していました。同じ世代の方がこうして本を出版されていることを、とても嬉しく思います。

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儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間

儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間 菊地章太

難しそうな表紙ですがとても読みやすい! この本のコアは「はじめに」に書かれている “(東アジアでは)儒教と仏教と道教がごたごたまぜまぜになっている。純粋ではない。けれどゆたかさがある。そしてこれこそが宗教というものの現実の姿ではないか” というところだと思います。 たしかに、宗教観に対して“ゆたかさがある”って素敵な言い方! 特に日本は、ヨーロッパのように強くて純粋に尖った宗教が必要になったことがないから、中国フィルターを通した海外の思想を受け取りながら、プリミティブな信仰も生き延びて、広く浅く楽しく、ってなっていったんだろうなぁ。(ただ、今はすべての行事が経済崇拝に傾きすぎてる気もしてどうかな〜という感じ)

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大人の語彙力が使える順できちんと身につく本

大人の語彙力が使える順できちんと身につく本 吉田裕子

このアプリで見つけて読んだ本です。以前にも語彙力系の本を読んだことがあるのですが、思っていたのと違ったため再チャレンジ。 この本はメールや公式の場などで使える言葉が多数載っており、かなり実践的な本だと思います。私はこの本から独壇場はもともとは間違った日本語でいつの間にかこれが正しくなってしまったとはじめて知りました。 電子書籍で購入してしまいましたが、会社の机に置いておきたい一冊だなと思いました。謝罪メールには一役買ってくれるだろうなー。。

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江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統

江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 原田実

1980年代に「創作」された『江戸しぐさ』が、有能なインフルエンサーを得ることによって、世に蔓延し、ついには文科省認定の道徳教材にまでなりおおせた経緯を辿りつつ、その危険性に警鐘を鳴らす一冊。 EM菌やSTAP細胞、水からの伝言、親学、ホメオパシーの類に至るまで、21世紀入っても疑似科学、オカルトとの類が世間からなくなることは無い。 これらのトンデモ系のネタは何故、社会に受け入れられてしまうのか?もっともらしい話、一見すると良い話は、無批判に受け入れられがちであり、ソレが権威と結びつけば更にその程度は増す。 これだけその荒唐無稽さが各方面から指摘された『江戸しぐさ』は未だに道徳教材であり続けている。先日読んだ「陰謀の日本中世史」でも、書かれていたけれど、理にかなわないこと、変だと思ったことは、積極的にそれを批判して潰していかないと、いつか取り返しがつかないことになる。痛切にそう感じた。

心配事の9割は起こらない: 減らす、手放す、忘れる「禅の教え」

心配事の9割は起こらない: 減らす、手放す、忘れる「禅の教え」 枡野俊明

道徳心の基本のキ。 分かっているようで。。。 日々の生活の中で心の中に沈んでしまっている言葉が沢山ありました。浮上させる事が出来たように思えますが、油断するとまた沈んでいくのでしょうね。何時も心の池に浮上させておくには、毎日水を掻く必要がある。毎日毎日コツコツと。ですね。

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哲学用語図鑑

哲学用語図鑑 田中正人

高校時代に購入した一冊。 倫理の教科書だけでは整理できなかったことが、こちらの図鑑で図としてインプットできる。 わかりやすさに長けている上に、時系列もしっかりしていて捉え方の概念の移り変わり方がよくわかる。

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行商列車:を追いかけて

行商列車:を追いかけて 山本志乃

冒頭の、カメラを構えようとした著者に間髪入れず飛ぶ「写真なんか、撮るな!」の言葉。部外者に対するこのような苛立ちの理由は読んでいるうち分かってきます。そして、部外者に対する苛立ちは別に行商人に限らず、この社会の限りなく細分化された各業界がそれぞれ抱えているだろうとも思います。最後の方、食卓が団欒の場なのはさほど古いことではなく、昭和30年代まではしつけの時間であった、というのは深くうなづける指摘でした。子どもの頃、祖父母との食事はとても緊張する沈黙の時間だったことを思い出しました。

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見世物小屋の文化誌

見世物小屋の文化誌 鵜飼正樹

1998年に早大文学部主催で行われたシンポジウムをもとに構成された本。『見世物大博覧会』の会場で平積みになってましたが、あの博覧会とは異なり、この本は近現代の見世物小屋に焦点を絞っています。福祉が発達して子どもや障害者が出演出来なくなったから見世物が衰退したと荷主さんが繰り返し発言されていて、読んでて非常にひっかかりを感じます。これは廃れていくのが当然だろうなと福祉的な観点からは思います。ただ一方で、非常に生き生きとした生活史でもあり、現代の価値観を相対化してくれる記録でもあると思います。

富士講の歴史―江戸庶民の山岳信仰

富士講の歴史―江戸庶民の山岳信仰 岩科小一郎

戦災で家を失い勤め人となった著者は、それまでの山歩きの趣味を断念する代わりに富士塚巡礼をするようになり、各地の富士塚を守っている富士講の方々と話すうち研究にのめり込んでいったそうです。富士講史を辿り、角行・身禄といった行者達の生涯を描いています。図版が多く挿入されていて、マネキ(講の印入りの小旗)の写真には、あれこういうの子供の頃どっかでみたぞと。どこでだったかなあ。著者の文献探しのエピソード、大胆な反則技も使ってらっしゃるのですが、よほど読みたかったんだろうなあという思いが伝わってきて、にくめません。

ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと

ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと 奥野克巳

・反省しない(今を生きているから) ・時間の観念が薄い(でも腕時計は大好き。ファッションとして笑) ・所有欲を捨て等しく分け与える(だから人のものは自分のもの。勝手に使う笑) ・アナキズム以前のアナキズム(森に生きて森に学ぶから、学校はいらない。国家政府への反発というわけではない!) などなど ボルネオ島プナンの人々を知ることで、固定観念を手放して頭をリセットしよう!

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君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるか 吉野源三郎

本書の対象年齢は小学校高学年からとありますが、今を生きる大人にこそ読んでもらう価値があると思います。 主人公・コペル君はもちろん、その友達の成長には胸打つ覚悟や輝かしい希望を感じます。 その一方で、その子どもたちを見守る大人の姿勢はどうなのかと感じさせられました。特に、おじさんの学びへの気構えにははっとさせられました。言うことを聞かせることが教えることではなく、本人の意志が込み上げる物こそ真に支えてやることこそ、大人の役目なのではないかと。

新書715新京都学派

新書715新京都学派 柴山哲也

元新聞記者の著者は、本書をアカデミックな世界のノンフィクションを目指したという。戦後の京大を舞台に活躍した新京都学派と呼ばれる面々と間近に生きてきた時代の雰囲気が行間から溢れる。こういう学者さんたちを引き寄せる京大って、やっぱり良いなあと思う。

読んでいない本について堂々と語る方法

読んでいない本について堂々と語る方法 ピエール・バイヤール

昨年「遅読家のための読書術」(「忘」◎)に目からウロコだったがそれを補完するカウンターカルチャーならぬカウンタースタディ本(とはいえ、反知性主義を助長する類のものではなく、「読まない」は創造しようとする決意)。「夜は短し歩けよ乙女」(「流」◎)の詭弁部フランス留学生の手による本なのだと自分は思っていました。古今東西、「読んでない本」をめぐる書籍がこの世には多く登場していることに驚いた。また、「愛する人の前で」の項を開くときに感じた「自分の好きな本を手にとっている相手との濃厚な関係」が頭に立ち上ったとき、「ああ、これは本を手渡し、その本を愛してもらえるなら誰とでも愛を交わせるのだ」と鼻息を荒げたり、そりゃもう大騒ぎでしたよ。

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宮本常一と写真

宮本常一と写真 石川直樹

昔の日本人の瞳は貧しくても輝いていた、というような言説には疑いをもって接するようにしていますが、この本に収められた写真の中の人々の表情は確かに輝いています。撮影時期はほぼ1960年代。ほとんどの写真は明らかに同意を得た上で撮影されており、宮本常一と、被写体となった人々との関係性が人々の表情に反映されているのかなと感じました。山口県浮島や佐賀県呼子での、船上で過ごす子ども達の写真が特によいです。風土記と万葉集を鞄に入れて旅をするというスタイル、いつか出張の時に真似してみたいな。

思考と論理

思考と論理 大森荘蔵

思考とは大げさなものではなく日常で我々が思うことが全て思考である。論理的であるとは言語規則に従っているということ。そう述べられた後中盤まではコツコツと証明が行われます。残りのページでは、論理的という言葉には論理学的な意味と審美的な意味の二種類あること、「脳が計算する」という言い方がナンセンスなこと(養老孟司との全く噛み合ってない対談を思い出しました)、宇宙の始まり以降に人間が生まれ、言語により行ってきたこととは、というところまで話が広がります。計200ページに満たない分量ながら、かなり歯ごたえあります。

カラー版 書物史への扉

カラー版 書物史への扉 宮下志朗

『図書』2008〜2014年の表紙とその解説がまとめられた本。歴史的な出版物がずらっと展示された美術展の図録のような内容。お気に入りは作者不明『第五の書』の「酒びん詩篇」。線画の酒びんの中に詩が書き込まれていて可愛いです。15Cにパリで出版された『羊飼いの暦』は、彗星が竜のように描かれていたりして、当時の羊飼いの生活が垣間見えます。19Cのエピナール版画「赤ずきんちゃん」組み立てキットは、小学館の雑誌付録みたいに紙でできたお家が作れるようです。もし手に入れることが出来ても、勿体無くて切り抜けなそう。

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