科学

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動物になって生きてみた チャールズ・フォスター

キツネになろうと道端で寝ていたら、警官に起こされて「ちゃんとしてください」と自宅に帰されたそうだ。 ヒトの生活から離れ、街にやってくるキツネとしてゴミ箱を漁り、ヒトの暮らしを観察した著者。それでわかったのは、ヒトは、同じようなものを食べ、同じようなテレビ番組を観て過ごしているが、野生のキツネはまったく違うということ。あらゆるものを食べ、様々な臭いを嗅ぎ、だから個体によって観ているものも様々なのだ。 こういったことは、ヒトが、いろいろな感覚や能力を失った種だということを示唆している。ヒトも動物の一種にすぎないというのに。 目があっても見えず、鼻があっても嗅げず、手があっても感じない。都会に住むヒトはそんな有様だ。 そして、ヒトはキツネや鳥ほどのスピードで動けない。自力で飛びたいのなら、鳥の習慣を身につける必要があるのだ。 己を知れ。ヒトは、地球に住む生物種として、できることをわきまえるべきだ。そのためには、隣に住む他種をよく知る必要があるのだ。

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あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた アランナ・コリン

最近「体の健康はお腹から」というようなフレーズを耳にすることが増えて、気になっていた本。 想像してた以上にお腹(大腸)にはたくさんも微生物が住んでいて、彼らの働きなしには健康に暮らすことが困難だいうことに驚かされた。 お腹の健康、つまり微生物や細菌の働きが肥満だけではなく、自閉症やうつ病なんかにも関わりあるかもしれないなんて驚きだ。 でも、じっくりゆっくり考えたら、そういうこともあり得ておかしくはないのかもしれない。 私たちは私たち自身が食べているもので自分を作っているのだから。その自分の生命活動の一端を腸内細菌たちが担っていることはよく知られて事実であって、腸内細菌含めて「私」という存在なのだから。彼らののバランスが崩れれば「私」のバランスが崩れてもおかしな話じゃない。 私の健康は腸内細菌から。 「健康に生きることとは?」という問いを考え実践する上で欠くことができない興味深い内容だ。

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ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学 本川達雄

昨年あたりからのストレス解消は、およそ仕事にも生活にも関係ない、どうでもいい知識を仕入れて悦に入ること。誰かに話すこともせず、「なるほど、すごいな」と思うだけで満足しています。 という意味では、この本は最高の時間を与えてくれました。著者は歌う動物生理学者の本川達雄さん。「ゾウの時間 ネズミの時間」の中で「ゾウさんもネコもネズミも心臓はドッキンドッキンドッキンと20億回打って止まる」と忘れられない歌を作詞作曲しています。 現在、知られている動物の種の数はおよそ130万、その95%が背骨を持たない無脊椎動物。本書はサンゴ礁、昆虫、貝、ヒトデ、ナマコ、ホヤなどを取り上げ、なぜ今のようなデザイン、機能を得るようになったのかを説明します。 面白いと思ったのは、昆虫は筋肉とクチクラという素材をバネに、羽という錘をつけてバネ振り子を構成。最初にちょっとだけ筋肉を収縮させてやれば、あとは自動的に羽の上下振動を繰り返すという話。貝殻の対数ラセンの話。体中に不味く感じさせる物資を持ったウミウシの話。ヒトデが星型(五放射相称)となった誰もが納得できる理由などなど。 圧巻は、ナマコの話。 ナマコの皮はキャッチ結合という組織により少ないエネルギーで長時間硬くすることが出来ます。「毒を備えており、捕食者の心配はほとんどない」。「動くといっても、砂を食べる場所を少々移動するくらい。そのための筋肉はごくわずかでかまわない。おかげで筋肉が少なくなり、体の大部分は身を守る皮ばかり。そんなもの、食べても栄養にならないから」「ますますナマコは安全になる」。そして著者は、そのような環境を「ナマコ天国」と名付けます。 最近、ジャカルタの都心に水族館が出来ました。タッチコーナーなるものがあり、サメの赤ちゃん、ウミウシ、ヒトデ、小型の熱帯魚に触れることができます。ナマコがいたので手で包んでみました。なるほど、幸せそうでした(笑)。 本書は再読に値する本と思います。著者の作詞作曲した楽譜も十分楽しめます。動物生理の学術書ですが、読書が娯楽であることを認識させてくれる新書らしい新書です。お勧めの★★★★。

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調香師の手帖 香りの世界をさぐる (朝日文庫) 中村祥二

「香り」というものを、知識として身につけたく手に取りました。 香りに興味があるのはたいがい女性だろうし・・・って、ふんわりした内容を想定して読み始めたら、意外に骨太で科学的。 でもエッセイなので、理系な部分をクローズアップして小難しくするのではなく、科学的な裏付けはきちんとあった上で、香りの世界の楽しみ方や奥深さ、香りの力について教えてくれます。 (読み進めづらければ、成分などの説明は読み飛ばしてもオッケーだと思う) とくに、香水の材料を音階に当てはめた「香階」(和音の組み合わせは、相性のいい香りになっている)は、香りも音楽も知識がない身ではありますが、発想が美しすぎて感動しました・・・!! 香りを使った遊び「組香」は儀式のような雰囲気だし、香水の材料になる植物や生き物は神秘的なものばかりだし、魔法使いのおじさまのお話を聞いているような気持ちです。 日本人は嗅覚の教育を軽視していると著者は語り、嗅覚は鍛えれば育つとのこと。 私も香りを能動的に楽しめる人間になりたいと思い、人生初の香水を購入しました。 病院に咲いてる花のような香り。

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新装版 マックスウェルの悪魔―確率から物理学へ 都筑卓司

初版は中学生の頃に読んだ記憶があります。図書館にブルーバックスのコーナーがあり、同じく都築卓司さん著者の「タイムマシンの話」と並んで置かれていました。どちらも導入部は面白かったと記憶していますが、途中から専門的な話となり、投げ出してしまいました。 40年以上経ち、今回再読してみましたが、面白かったです。 本書は熱力学の第2法則を豊富な寓話を使ってわかりやすく説明します。数あるブルーバックスの中でも、巻末のブルーバックス発刊の趣旨に最も近い本と思います。 感覚的に理解するのが面倒な第2法則を「分離の状態は、やがて混合という結果に追い込まれることを述べたもの」と「追い込まれる」という言葉を使って説明するなど、職人的教授という気がしました。 面白かったのは、空気が積もらない話。 「①空気分子はできるだけ位置エネルギーを小さくしたい。そのために地上につもってしまうのが最上の策である。 ②たくさんの粒子からできている体系は、実現の確率の最も大きな状態になろうとしている。このためには、空気分子は非常に薄く、同じような密度で遥か上空にまで広がるのが得策である」 そして著者は「両法則の顔をたて」、空気は下に濃く、上に薄く分布すると説明します。 本書のすごいのは、「マックスウェルの悪魔」という分子を自由に操ることのできる悪魔を登場させ、分子移動の不可逆性を寓話として理解させようとすること。また、これまた理解が難しいエントロピーを金属とゴムの収縮の違いを例にとって説明し、読者に何となく理解した気にさせてしまうこと。40年前、完読しなかったのが悔やまれます。 なお、エントロピーを理解しても、日常生活に役に立たつことはないと思います。それでも、読書の楽しさを十分に味わえるおすすめの★★★★★。

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鏡映反転――紀元前からの難問を解く 高野陽太郎

「何故、鏡に映ると反転するのか?」この単純な疑問が過去から現代に至るまで長らく論争を繰り広げており、かつ現時点でもその明確な答えが出ていないことに関して驚きを隠せなかった。しかし、この単純な問題が何故現代に至るまで解かれていないのか、この本を読み進めていくことによってこの問題の奥深さを知ることが出来た。この本の筆者が行きついた答えは、鏡映反転というものは三種類の反転の組み合わせの違いによってもたらされるものであるというかなり斬新なものであった。でも、確かに文字の反転と身体の反転は同じようで違う。そして、最初は疑いの念が強かったこの説も本を読み進めていく上でその通りかもしれないと感じるようになっていった。何より面白かったのはこの現象が物理的現象ではなく心理的現象(認知心理学)によってもたらされるという点であった。確かに文字の反転とかは自分の頭の中に思い浮かべた文字との違いから反転を認識している(表象反転)。内容は中々難しく、一回読んだだけでは理解できてない部分は多々あるが、それでも心理的現象にもたらされる現象ではないかという考え方を享受出来た点において、中々価値のある内容だったのではないかと感じている。

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街の中で見つかる「すごい石」 西本昌司

図書館の新刊コーナーで見つけて借りてみた。イタリア・フィレンツェ近郊で採れるピエトラセレーナという石材に魅了されたスティーブ・ジョブズはアップルストアの一部店舗の床にその石材を使用してるんだって。日本では銀座店と名古屋店でみることができるらしい。石に特に興味があるわけではないけど、時々ビルの大理石なんかを見てアンモナイトの化石を探したりはする。結構見つかる。今度はこの本を持って出かけてみようかな。この本はお堅い石の話ではない。とにかく面白い! 購入予定。

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中野本町の家 後藤暢子

東京国立近代美術館にて開催中の「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」を見て改めて「中野本町の家」に惹かれることを再認識。 帰宅して本棚から掘り出しここ1週間通勤時に読んだ。 新宿にほど近い中野本町に70年代日本の住宅建築を代表する馬蹄形のチューブ状空間が生まれた。設計は伊東豊雄、施主は実の姉である後藤暢子。この住宅は1997年にわずか20年の歳月で姿を消すこととなった。本書はこの住宅を作り上げた母とその娘、そして設計者がそれぞれの視点から「中野本町の家」を語っている。 「中野本町の家」に惹かれる理由はチューブ状空間の無機的な質感や差し込む光の具合、中庭の外部と内部のねじれなど数多くあるのだが再読して、静かな力強さというか建築の持つ暴力性もしくは業のようなものあるのかなと気付く。この住宅は後藤暢子が30代後半の時、まだ40歳である夫を失ってから直後に建てられている。 「先程、建築が住み手に働きかけてくる力がとても強くて、と申しましたけれど、実際、建物が絶えず私を、それを建てた時の状態に引き戻すのです。けれども、今も言ったように、わたくし自身は新築当時の闇をくぐり抜けて、生活も仕事も少しづつ明るい方向へと展開していく・・・そうすると毎日そこで暮らしている建物だけが、わたくしの過去であって、わたくし自身は20年前とはちがった積極性をもって、今現在を生きている。それはやはり住宅建築がクライアントの心理的、精神的な面を強く、また繊細に、表現できるものだなという驚きを生むと同時に、自分はもうこの家は住み終えた、ここから出て行きたい、という切実な思いともなって、ついにひとつの決断をくだすに至った、というのが今の状態です。」P40

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タコはいかにしてタコになったか―わからないことだらけの生物学 奥井一満

家の本棚にて発見。 チョイと古いけれども、面白く読む分には特に支障はなかった。 タコが、なぜこんな形をとらざるをえなったかのか。それは、体を包む方法だけがうまく見あたらなかったからだろう。一種の、天才の欠陥だ。すぐれた部品、精巧な機能をつくりあげながら、外側は何も考えずに適当にくるんでしまった機械のようなものである。 何とお粗末な……