科学

土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話

土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話 デイビッド・モントゴメリー

植物成長に必要な元素の発見が19世紀、それを人工的に供給する窒素肥料の実用化が20世紀初頭、それ以後、農作物は科学的に生育が制御できるようになり、収量も飛躍的に増加した。これがいわゆる緑の革命だそうだ。しかし、この革命で最も成功した、単一品種の大量生産は、大量の施肥や農薬使用により支えられてきたために、河川や海水への窒素やリンの流出(による富栄養化)や耐性を持つ害虫、雑草の蔓延といった負の面も多く作り出してきた。また、毎年施肥や農薬が大量に必要になるためにコストもかさむ。さらに伝統的な棃による耕起農法も、肥沃な表土を流出させ、アメリカのダストボウルのような人災を引き起こした。 ではこうした状況は変えられないのか。変えられる方法はある、と力強く宣言するのがこの本の著者だ。 耕さない、被覆作物で土を覆う、そして適切な輪作を行うことで、土壌内の有機物を増やすこと、つまり肥沃な良い土を作り、それを失わないことによって。 本書はある意味ではマニフェストではある。こうしたマニフェストは往々にしてトンデモ本と化すが、豊富な実例と科学的裏付けによって信頼性は高い。人新世の深い傷をどれだけ癒すことができるのかはわからないけれど。

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核に縛られる日本

核に縛られる日本 田井中雅人

核や戦争についての書籍は色々読んでる。 これもそのひとつ。 なるほどとも思い、でも、やはり。 本当に縛られてると思う。これからの日本について私達も考えなければならない。 これは他人事ではない。我々の問題。

カラスの教科書

カラスの教科書 松原始

前書きで「カラスの強化書」「狂歌書」と銘打ってくる時点で既に面白い。強化(狂歌)書ってなんだ。

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あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた

あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた アランナ・コリン

人間が何かを食べると、消化器で栄養を吸収する。が、胃が溶かした乳糜の栄養を腸がそのまま吸収するわけではない。吸収を助けるのがウヨウヨいる細菌たち。そうした細菌の働きこそが、人間に栄養を与えているらしい。それどころか、脳の調子と腸の具合には深い関係があることもわかってきたという。むしろ、腸が脳の調子を決めてるほどの関係らしいというんだから相当なもの。 それほどまでに影響の大きい人体の微生物環境に対して我々はいまや大きな曲がり角に来ている。それは抗生物質や除菌を謳う商品たち。人類に大きな恩恵をもたらしたが、その効力がときに有用な菌までを殺してしまうという副作用があるからだ。 そうした微生物環境の変化をどうやって元に戻すか、あるいは活性化していくかはいろいろなやり方があるそうだが、繊維やいわゆるプロバイオティクスの摂取などのほか、健全な人の腸内細菌叢の移植、ようするにウンチの移植が有効なのだそうだ。 原題は10% human。細菌がいなければ我々はそんな程度でしか人間でないということか。ん、そしたらシンギュラリティ後に人格をコンピュータに移植することはできなくなったりするの? デイビッド・モントゴメリーの『土・牛・微生物』では農業における微生物の重要性が説かれていたが、もちろんそこから食物を得る私たちにも重要ってことだ。読書の楽しみはこうした関連を見つけることでもあるよなー。ちなみにネコにとってはどうなんだろ。飼い主としては気になるけど。

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魚たちの愛すべき知的生活―何を感じ、何を考え、どう行動するか

魚たちの愛すべき知的生活―何を感じ、何を考え、どう行動するか ジョナサン・バルコム

魚には意識も痛みもない、というのが大方の理解だけども、そんなことはなく、痛みも感じれば意識もあり、その上文化のようなものまで持っているのではないか、と最新の研究を通じて論じる。魚には表情もないし、陸生生物でもないから、釣ったり食べたりして親しみはあっても、あまりにも馴染みがない部分がある。知的であることとは、人間の基準に照らしたものである必要はなく、それぞれの種としての知性というものはあり得るわけで、そうした視点から見れば、著者の主張も頷ける。いずれにしてもとにかく事例が豊富で面白い。道具は使う、協力もして騙しもする、教育までやってのけるなんて、魚、めっちゃやるやんけ!という感じですな。 まあ所属機関もそうだし、シーシェパードの発言を取り上げてたりするあたり、ちょっと魚に感情移入しすぎなところは玉に瑕ではあるか、養殖における問題や種としての存続のあり方など、新しい知見を与えてくれる。魚好きとしてはなかなか複雑な気持ちではあるが、今後も美味しくありがたくいただきたい。

図説 人体の不思議I

図説 人体の不思議I 西永裕

このミクロの世界はまさにアート。人体を知ることは宇宙に通ずる。ここまで繊細に形にできたことは発明だと思う。

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