中央公論新社の本

情報爆発-初期近代ヨーロッパの情報管理術

情報爆発-初期近代ヨーロッパの情報管理術 アン・ブレア

訳者解題によれば、邦題の『情報爆発』やそれに類する用語はOEDでは20世紀に初出らしく、Too much to knowという原著タイトルはまさにこの時期、特にインターネット以降を意味するもののように思われるけれども、すでに写本や揺籃期本の時代からそう言う声があった。特に印刷術は大きな革命だった。技術としてだけではなくて、商品としての特性も変えてしまった。受注に応じて作られる写本とは異なり、コストを掛けて刷ったら売らなきゃ元が取れないわけで、それがまた書籍数の爆発の原因となる。もちろんすでに人間一人の手に負えないほどの本、というか情報がある。ではそれをどうやって整理していくか。 一つには本そのものの整理、たとえば目次や索引、ノンブル(ページ番号)などだ。どこに何が書いてあるのか、いま読んでるのは本のどのあたりなのかがわかるようになる。もう一つには、あちこちの本から抜き出してまとめられた情報の抜粋、いわゆるアンソロジー。精読とは違う拾い読みや、たとえば神父の説教用の題材やらをまとめた詞華集やレファレンス書として世に膾炙するのだけれど、文学的、書誌学的には軽視されてきた。 そうした営為にスポットを当てて現代に通じる情報管理の歴史を紐解いたのが本書。ガチな学術書ではあるけど非常に面白かった。

科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15))

科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15)) 宮崎市定

この一冊に、県試から殿試まで、科挙の全体が書かれている。 答案はどのような書式で書くのか、試験官をどのように各地に派遣するのか、採点はどのようにして行っているのか、会場ではどのように試験が運用されているのか等々、科挙の様子がかなり詳細に書かれており、とても面白かった。

ミーナの行進

ミーナの行進 小川洋子

思い出は、人生の宝物になる。 ゆっくりとミーナとの生活が語られていきます。オトナの事情も、子供の目線で。日々の生活が優しく丹念に描かれています。

日本の美徳

日本の美徳 瀬戸内寂聴

東京駅の本屋でふらふらとしていたら、お二人の顔の帯を見つけてしまい、思わず本書をもってレジに駆け込んでしまった笑 まさかお二人が同い年だったとは知らなかった。この本自体は200ページに満たない薄い本であるが、内容は非常に充実しており、まるでお二人が近くで話されているのを、間近で聴講させて頂いている気分にさせられる。お二人が楽しそうにお話しされている雰囲気を感じるだけでも、一読の価値がある。そんな不思議な雰囲気の一冊。

もののふ莫迦

もののふ莫迦 中路啓太

この世のある時代に、忽然と現れる魅力的な人。それは、時代に名を残す英雄であるといっていいだろう。加えて愛すべき漢というのは、時とともに露と消えていくのだろう。 ただ真っ直ぐに進んでゆく姿を、粂吉という情けない常人の立場から描いている。「ついていきたい」けれど「怖い」と怯える姿は、読者だ。 大地のような姫に心惹かれる越後守が、愛おしい。 愛して戦って、思いのほかよい人生だったのではあるまいかと、悲しい結末の中ですら思わせてくれる、そんな漢だった。それを人は「莫迦」と言い、慈しむ。

トリアングル

トリアングル 俵万智

2018年126冊目。俵万智さんの短歌も、エッセイもたくさん読んだけど、小説もすてきだなって思いました。

愛なき世界

愛なき世界 三浦しをん

表紙がすごく綺麗で、一目惚れして買った本。DNAに興味があるので、実験の話は面白かった。

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ミケランジェロ

ミケランジェロ 木下長宏

芸術家ミケランジェロについての、作品の説明。 コスモスを大事にするレオナルド・ダヴィンチとの対比で、ケイオスを重視するミケランジェロという形で描かれている。 中公新書としては、正直出来があまり良くない。 図の参照が前に行ったり、後ろに行ったりと、いちいち見返すのが面倒くさく、すんなりと進めない。 内容も史料の裏付けが少なく、作者の私見なのか、ミケランジェロが本当にそう思ってたのかが分かりづらい。 知名度の割にミケランジェロについて書かれている書籍はそんなにない気がするので、そこに良かったが、全体的に不満が残る内容。

天使たちの課外活動6-テオの秘密のレストラン

天使たちの課外活動6-テオの秘密のレストラン 茅田砂胡

お待ちしていました続編!!! 数…はあんまりない茅田氏のシリーズで唯一読み続けている金銀黒の天使たちのシリーズ。 今回の主役はテオ。片田舎の料理人。と見せかけて、実際はその奥方アンヌが主人公。全編通じて彼女の器の大きさが描かれる。 茅田氏の描く女性たちは強くしなやかでちょっと頑固が多い。アンヌもその一人だし、飛び抜けて有能。ほとんど出て来ないのに、惚れ込みたくなる。今回のお話も、アンヌを好きになっちゃうお話だった。