亜紀書房の本

そろそろ左派はを語ろう――レフト3.0の政治経済学

そろそろ左派はを語ろう――レフト3.0の政治経済学 ブレイディみかこ

北田 「左派が経済的下部構造を軽視するあまり、人びとを「リベラルな価値」から遠ざけてしまった。というのは、いま世界中で起きている出来事ですよね。だから左派は就職のことを心配して自民党に投票した学生に対してお説教をしている場合ではない。」 ブレディ 「そういう「ご飯を食べたい」という民衆の本当に普通の願いを、当たり前の願いを拒否したり侮蔑したりしていて、左派は信頼を得られない。」P.216 教条主義では取り残される。

4d9421b7 30ff 445c afdf 7120ac33f6dc0a59e98b 99ca 4c4d 9593 34578963c960Icon user placeholder
生き物を殺して食べる

生き物を殺して食べる ルイーズ・グレイ

筆者は環境ジャーナリストで普段はほぼヴェジタリアンなのだが肉食について、自らの手で殺し処理したものだけを食べる生活を実験的に行ってみようと決意し実行した記録。釣りや狩猟を行い、屠畜場をも訪れて生き物がいかに殺され食肉になるかをも目の当たりにする。そこから得られた結論として、現代の大量生産的な食肉や漁業のあり方に疑問を呈し、より人道的な畜産や漁業へのシフトを提案し、肉や魚を減らした食事への転換を提案する、という内容。特に食肉生産の具体的なやり方やハラルの問題などは非常に興味深かった。現代では動物は電気やガスで気絶させられてから絶命させられるのだけど、ハラルについては祈りが耳に届かないという理由で今でも生きたまま殺すべき、という一派がいたり、西欧では知らない間にハラルを食べさせられている、といったムスリム以外からのクレームもあったりするのだそうだ。全体として非常に興味深いし勉強にもなるし、ご説ごもっとも、という感じではあるのだけど、一方でどうしても金持ちの道楽だろ、という思いや上から目線を感じてしまって感情移入が難しい、という感じもした。意識高い農場でのびのび暮らす豚を世話する女性にいつもいいもの食べられていいね、と言って、自分はこの農場の製品は手が出ないのでスーパマーケットのベーコンしか食べられない、と返されるシーンが描かれているのでそれなりに筆者自身も認識はしているようなのだけどそこは消化不良のまま終わってしまったな、という感じ。

0dec1bd4 f928 4f32 9801 fba4b33dfd5837fbd299 3c32 4329 ac74 56df19e6d4fe769c27c6 8f20 47db a039 3bc7400191504996440f beee 41a9 986c 4635076a0080D4f58d88 cacc 444e 98ed e78a0362b8f00afb00f7 1356 4a27 abf8 877059e48481563d35c1 cd84 442e bc22 abfd54b1af18 17
おれと戦争と音楽と

おれと戦争と音楽と ミッキー・カーチス

この本は、戦後の日本の、大衆音楽史でもある。 戦争も、音楽も、人を熱狂させる。 熱狂が死に繋がることもある。 しかし、音楽には傷ついた心を癒やし、再生する力がある。 戦争にそれはない。 著者を、ただロックな爺さん、と見ていてはいけない。 それにしても、左とん平の名曲、「とん平のヘイ・ユー・ブルース」が、著者のプロデュースだと知って驚いた。

僕たちのインターネット史

僕たちのインターネット史 ばるぼら

インターネットの黎明期から現代に至るまで、僕たちの中の誰かがインターネットをどのように捉えていたのかを軽やかに語ってくれる。 蛇口を捻れば、水が出ることを不思議に思わないように、デジタルネイティブも、またその仕組みに関心を抱くことはないという指摘は、当たり前だけどその通りだと思う。 人々がサイバースペースに夢をみていたこと、生命の原初のスープとしてのインターネットから、細分化されブラックボックスとかしたインターネットの在り方を知ることで、僕たち一人一人が、独自のパースペクティブをもって、歴史に1ページを書き加えることに意味があるのだと語ってくれる。 時化のときも凪のときもある情報の海原を前に さて どこへ行こうかしら ネットは 広大だわ

4807babb cbb7 4407 8f93 6ad7eac443f3805c6a6e d8dc 4d01 9c11 096b293c068141e4f1d6 48ed 406e a523 f5bada2efcfa515af6c3 d417 4d4c 9d63 55a5e0f2008044499446 58bb 4940 9542 cbd7d0e16c832702abd2 7390 448c 97f0 e3349a72d541Icon user placeholder 57
ナスカイ

ナスカイ 梅佳代

男子生徒の学校内での日常光景を写した写真が載っている写真集。この写真集の生徒さんたちが通っていた学校は東日本大震災の影響で校舎が移転し、その後閉校になった、という説明文が本の後ろのほうのページに書かれています。写真集の説明がその文章だけなので生徒さんの気持ちは写真からだけしか分かりませんが、写真の中の生徒さんたちは案外楽しくやってそうで。パンツ一丁で楽器を持つ、保健室の中で行儀わるい姿勢でご飯を食べる、照れた表情で写真に写る…。観ていると少し懐かしい気分になる本です。

04b3ec22 7468 4a40 83b4 4ace156b43fb5cd558ef 0244 4de3 a51a 6bca5de4fd1664d80464 472b 4469 9f98 387fb5670e94F11603e6 7980 4853 ba71 c021c99f74ca3880908b 3c3f 4c07 ab15 4efd38d6c5a8
失われた宗教を生きる人々――中東の秘教を求めて

失われた宗教を生きる人々――中東の秘教を求めて ジェラード・ラッセル

すごく楽しみにしてた作品。中東に今も残るマンダ教、ヤズィード教、ゾロアスター教、ドゥルーズ派、サマリア人、コプト教、カラーシャ族、といった少数派の宗教、または独自の信仰を守っている部族についてまとめた本。作者はイギリスの外交官でアラビア語に堪能なこともあって中東で長く勤務しており、その際にこれらの宗教について興味を持ったらしい。現代のニュースを聞いてるとにわかには信じられないが元来、イスラムは他の宗教、特にそれが一神教でかつ啓典を持っている場合には特に寛容で、更にムスリム以外からは大目に税を取ったことから実利面でも無理矢理ムスリムにするようなことはしなかったらしい。そのために一見イスラム教しか存在しないかのような中東において、エジプトのコプト教のようなキリスト教の一派から、バビロニアから連綿と続くマンダ教、あまりにも秘儀過ぎて信者の殆どが自らの教義を知らないヤズィード教、元々はイラン(ペルシャ)の国教であったゾロアスター教などが生き残っているのだという。一見ムスリムのようだが輪廻転生を信じ、むしろピタゴラス教団の流れを組むと言われるドゥルーズ派、ユダヤ人と似ているが異なるサマリア人、ヨーロッパの人と外見が似ておりアレクサンダー遠征群の末裔と言われあまりにも辺鄙なところに住んでいるために原始の信仰を今も守っているパキスタンのカラーシャ族など興味深い話が満載。作者は実際に現地で信者に会って話を聞いてきるのだがどこも危険地帯ばかりでよく行ったな、という驚きがある。専門の学者ではなくて外交官だからか小難しい理屈は無くて実態をきちんと報告される形式だったのも好ましい。これらの例を見ても国力が充実しているときはマイノリティへの迫害はなく、国が混乱したり衰退すると少数派が迫害を受ける、ということがよくわかる。いろいろ考えさせられた非常に良い作品。とても面白かった。

C3c5948a 46dc 4471 abfc 816b7a7cfc13Ac667a42 bd40 4b04 a08e cab0eb1c4536Icon user placeholder29464afb 595b 402c a513 a16191529b21B3a46394 bafa 4aaf 8c96 b1c9c37115cfDfbf85e4 4c89 4976 af02 e7b0f5784b00F50aa496 67c5 4734 a8f8 a5c2d5f9c8fb 17
生きていくうえで、かけがえのないこと

生きていくうえで、かけがえのないこと 若松英輔

冒頭で吉村さんが述べている通り、若松さんの言葉は一つ一つ本当に深いところから発せられている。読んでいて、頭を越えて内臓の方まで染み込んでくるような気がする。ボリュームが膨大なわけではないけれど、様々な言葉の引用と選び抜かれた言葉使いによって、人生観を揺さぶられる。

A73e8a20 ae9e 405e 875d edefb8a38a6a6ab825bd 2ac5 4f41 8adc 26db31111975
ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中 近藤聡乃

本屋で、一冊丸ごと立ち読み可能になってたので読んでみたら気に入って買ってしまった。 個人的漫画ランキングでも上位に入る作品。こういうことがあるからあそこのあゆみBOOKSが大好きだった。 2015.10

いかもの喰い―犬・土・人の食と信仰

いかもの喰い―犬・土・人の食と信仰 山田仁史

これはタイトルに惹かれて。「いかもの」とは「ゲテモノ」に近い感じで人が普通食べないものを食べてしまう文化や背景についてを気鋭の学者さんがまとめたもの。大きく、犬食い、土食い、人食いについて信仰や文化といった背景を掘り下げたもの。近接した地域なのに犬を食うところと食わないところがあるとか、それは何故かとかそういう話。犬食い、人食いはあるの知ってたけど土食い、が広く世界中で行われているとは知らなかった。五反田に土のコースを出すレストランがあるということで作者も行ってるが果たしてどうなんだろう。大きく三つのテーマのうち人食いについてだけは先達の研究をまとめた感じで作者自身の掘り下げが浅い感じだったかな。食にまつわる話って面白いなと改めて思った。

性表現規制の文化史

性表現規制の文化史 白田秀彰

アメリカやイギリスにおける性表現規制の歴史が分かる。 もともとは階級や財産権、宗教規範のために性的なものの規制が行われていたが(例えば、キリスト教において性行為を罪だとすることによって性行為をしない聖職者の権威を高めることができる、等々)、それがいつの間にか世俗化しみんなが守るべき道徳として残ることになった。つまり規制の根拠はもはや失われている。 フェミニスト団体が性表現規制を声高に叫ぶのも、性的に放埓な男性よりも性的に清純な女性の方が倫理的に優位だという論理で地位向上を狙ったから。 地位や宗教のために踏み台にされる性表現たちが可哀想になった。

Icon user placeholder8bbb5455 62a8 47ff 95da 8a6015e38e1374912335 138b 480d ab00 0baf0be8aab4
間取りと妄想

間取りと妄想 大竹昭子

一つの間取りに一つのお話。話の最初のページには、それぞれ間取り図が描かれている。 本に間取り図なんて、推理小説ぐらいしかお目にかかったことはない。しかし、この本では探偵が主人公ではなく間取りが主人公なのだ。よって、付録も間取りが冊子になっている。 これは、よくよく間取りを頭に入れてから読み始めろという事なのだろうと思い、いつもなら、文章を読みながら頭の中で構築する作業を、図面を見ながら自分が玄関からお邪魔する、というシュミレーションをする。そして、自分がそこに住むというシュミレーションまでしてしまう。だから時々「ここは、住みにくいなぁ」とか「暗いんじゃないの?」なんて、賃貸する気になってる、自分に笑ってから、その部屋にまつわる別のストーリーを読み始める。 私も案外マドリストだった。笑

A2c42132 e90d 4fe1 b5ef 607b02b13261C83c56a7 bc1d 43a3 adb9 6efaab245da522535fe6 f7b1 419e b1e0 557dace6d060Icon user placeholder871870e0 8aa8 44a7 916c b2afb52a041eB2cf85c2 97f9 467b bdfb b68b7df8fecfDcfa85d7 63bc 49c4 9922 b2430a161c34 61
見えない涙

見えない涙 若松英輔

2018年48冊目。わたしはまだ泣くことを忘れるほど大人になっていないけど、すごくすごく、心に響く言葉でいっぱいでした。 / 20180317

E2b8cdc3 67d8 477a 9028 de9fac56ab6726ae8bfe 9445 4c9f a901 574e4fb3ccaeDd548d8f c917 49f3 a410 cb90c178b62a
英国一家、ますます日本を食べる

英国一家、ますます日本を食べる マイケル・ブース

日本人はいまでも、自分たちがよその国からどう見られているかを異常なまで気にかけているように思える。地理的・言語的にやや孤立してきた歴史があるフィンランドも似ているとの事、なるほどです。2作目も面白く読ませてもらいました。

Dbb8f88f 405c 45e1 babd a664f14a104f9886eb0d 0656 4452 84b3 c8168afdb00c