亜紀書房の本

間取りと妄想

間取りと妄想 大竹昭子

一つの間取りに一つのお話。話の最初のページには、それぞれ間取り図が描かれている。 本に間取り図なんて、推理小説ぐらいしかお目にかかったことはない。しかし、この本では探偵が主人公ではなく間取りが主人公なのだ。よって、付録も間取りが冊子になっている。 これは、よくよく間取りを頭に入れてから読み始めろという事なのだろうと思い、いつもなら、文章を読みながら頭の中で構築する作業を、図面を見ながら自分が玄関からお邪魔する、というシュミレーションをする。そして、自分がそこに住むというシュミレーションまでしてしまう。だから時々「ここは、住みにくいなぁ」とか「暗いんじゃないの?」なんて、賃貸する気になってる、自分に笑ってから、その部屋にまつわる別のストーリーを読み始める。 私も案外マドリストだった。笑

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見えない涙

見えない涙 若松英輔

2018年48冊目。わたしはまだ泣くことを忘れるほど大人になっていないけど、すごくすごく、心に響く言葉でいっぱいでした。 / 20180317

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ぼくの美術ノート

ぼくの美術ノート 原田治

0126 2019/07/23読了 美術にまつわるエッセイ。 気になったもの 北園克衛、寿ぎのデザイン「平つか」、赤塚不二夫「ギャグゲリラ」、赤勘兵衛、イヴ・クライン、宮田重雄、小林泰彦、イーディス・へっど、いじわるばあさん、ウィリアム・クライン、鳥居清光、木村荘八、スリップウェア

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英国一家、ますます日本を食べる

英国一家、ますます日本を食べる マイケル・ブース

日本人はいまでも、自分たちがよその国からどう見られているかを異常なまで気にかけているように思える。地理的・言語的にやや孤立してきた歴史があるフィンランドも似ているとの事、なるほどです。2作目も面白く読ませてもらいました。

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被抑圧者の教育学―新訳

被抑圧者の教育学―新訳 パウロ・フレイレ

68年とかなり昔に書かれたものであり、この中で革命リーダーという言葉で仄めかしているのは恐らくゲバラやカストロに象徴されるような大きな存在のことだと思われるが、様々な規模の組織の問題解決を目指す方々にとって今でも十二分に活きる、結構な毒を秘めた一冊ではないかと。アブナイよ。僕は以前お手伝いしたボトムアップの組織改革プロジェクトで生じた希望、挫折、課題について考えた事を思い出しながら読みました。

レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集

レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集 菊地成孔

筆者が様々な媒体で発表した追悼文を集めた書籍。それだけ聞いて悪趣味だと思われるかたにこそ読んでいただきたい。 これは追悼文の体を取った懸想文ではないだろうか。いや、追悼文とはそもそもそういうものか。

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僕たちのインターネット史

僕たちのインターネット史 ばるぼら

インターネットの黎明期から現代に至るまで、僕たちの中の誰かがインターネットをどのように捉えていたのかを軽やかに語ってくれる。 蛇口を捻れば、水が出ることを不思議に思わないように、デジタルネイティブも、またその仕組みに関心を抱くことはないという指摘は、当たり前だけどその通りだと思う。 人々がサイバースペースに夢をみていたこと、生命の原初のスープとしてのインターネットから、細分化されブラックボックスとかしたインターネットの在り方を知ることで、僕たち一人一人が、独自のパースペクティブをもって、歴史に1ページを書き加えることに意味があるのだと語ってくれる。 時化のときも凪のときもある情報の海原を前に さて どこへ行こうかしら ネットは 広大だわ

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ナスカイ

ナスカイ 梅佳代

男子生徒の学校内での日常光景を写した写真が載っている写真集。この写真集の生徒さんたちが通っていた学校は東日本大震災の影響で校舎が移転し、その後閉校になった、という説明文が本の後ろのほうのページに書かれています。写真集の説明がその文章だけなので生徒さんの気持ちは写真からだけしか分かりませんが、写真の中の生徒さんたちは案外楽しくやってそうで。パンツ一丁で楽器を持つ、保健室の中で行儀わるい姿勢でご飯を食べる、照れた表情で写真に写る…。観ていると少し懐かしい気分になる本です。

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失われた宗教を生きる人々――中東の秘教を求めて

失われた宗教を生きる人々――中東の秘教を求めて ジェラード・ラッセル

すごく楽しみにしてた作品。中東に今も残るマンダ教、ヤズィード教、ゾロアスター教、ドゥルーズ派、サマリア人、コプト教、カラーシャ族、といった少数派の宗教、または独自の信仰を守っている部族についてまとめた本。作者はイギリスの外交官でアラビア語に堪能なこともあって中東で長く勤務しており、その際にこれらの宗教について興味を持ったらしい。現代のニュースを聞いてるとにわかには信じられないが元来、イスラムは他の宗教、特にそれが一神教でかつ啓典を持っている場合には特に寛容で、更にムスリム以外からは大目に税を取ったことから実利面でも無理矢理ムスリムにするようなことはしなかったらしい。そのために一見イスラム教しか存在しないかのような中東において、エジプトのコプト教のようなキリスト教の一派から、バビロニアから連綿と続くマンダ教、あまりにも秘儀過ぎて信者の殆どが自らの教義を知らないヤズィード教、元々はイラン(ペルシャ)の国教であったゾロアスター教などが生き残っているのだという。一見ムスリムのようだが輪廻転生を信じ、むしろピタゴラス教団の流れを組むと言われるドゥルーズ派、ユダヤ人と似ているが異なるサマリア人、ヨーロッパの人と外見が似ておりアレクサンダー遠征群の末裔と言われあまりにも辺鄙なところに住んでいるために原始の信仰を今も守っているパキスタンのカラーシャ族など興味深い話が満載。作者は実際に現地で信者に会って話を聞いてきるのだがどこも危険地帯ばかりでよく行ったな、という驚きがある。専門の学者ではなくて外交官だからか小難しい理屈は無くて実態をきちんと報告される形式だったのも好ましい。これらの例を見ても国力が充実しているときはマイノリティへの迫害はなく、国が混乱したり衰退すると少数派が迫害を受ける、ということがよくわかる。いろいろ考えさせられた非常に良い作品。とても面白かった。

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生きていくうえで、かけがえのないこと

生きていくうえで、かけがえのないこと 若松英輔

冒頭で吉村さんが述べている通り、若松さんの言葉は一つ一つ本当に深いところから発せられている。読んでいて、頭を越えて内臓の方まで染み込んでくるような気がする。ボリュームが膨大なわけではないけれど、様々な言葉の引用と選び抜かれた言葉使いによって、人生観を揺さぶられる。

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靴磨きの本

靴磨きの本 長谷川裕也

いつも行く本屋さんでたまたま発見。靴磨きの情報はネットで調べればそれなりに手に入るけど、手に取ってみたら色々発見がある。装丁もシンプルで綺麗だし、中身の写真も綺麗で分かりやすい。糸綴じだから本を開いたまま作業ができる。難しいことは書いてないし、疑問に思うことはQ&Aで解決してくれる。初心者が手に取ることを考え抜いて作ってくれたんだなぁ。

殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実

殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実 ゲーリー・L・スチュワート

絶対に嫌な気持ちになってしまうのに何故か興味を惹かれてしまう猟奇殺人もの。ゾディアック事件とはサンフランシスコで60年代に発生した現在も捜査継続中となっている未解決の連続殺人事件。女性やカップルが次々に狙われ5人が死亡、2人が負傷したこの事件はいずれも強盗やレイプ目的ではなく純粋に殺人目的での襲撃だったこと、犯人が遺留品を残したり目撃されたりしていること、そして警察やマスコミに暗号(ここからゾディアックと命名された)を含んだ犯行声明を送りつけたことなどが特徴でダーティーハリーの犯人のモデルにもなっている。この作品はいわゆる「真犯人は誰だ」という作品なのだが特徴は養子である作者の元に生みの母親からコンタクトがあり、行方不明にの父親のことも知りたいと思って調べたところ謎の連続殺人犯なのでは…という疑念が湧いてきて、という話であるところ。それだけに痛々しさもひとしお。異常な育てられ方をした男が壊れた人間になってしまう過程と壊れた人間に巻き込まれた人々の悲劇が痛々しい。

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