文藝春秋の本

黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ

黄色い実 紅雲町珈琲屋こよみ 吉永南央

シリーズ7作目 今回は犯罪に関わる話でちょっと重たい 被害者が尾ひれのついた噂話によって加害者にされてしまうのは間違っている 何も知らないなら無責任なことを言うべきではないし 同じ女性同士なら理解して味方になれるはずなのに 被害者の言った「どうかしてますよね。被害者が何もかも失うなんて」という台詞に共感 相変わらずの草さんの優しさに癒されます

私の消滅

私の消滅 中村文則

2019年172冊目。同じ苦しみを味あわせてやりたい、の最強形態。こわかった…

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ガラスの城壁

ガラスの城壁 神永学

布石が散りばめられた中、何が虚像で何が真実なのか。読者は模索しながら読み続ける。ガラスの心を持った少年の心の痛みと向き合いながら。

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十代に共感する奴はみんな嘘つき

十代に共感する奴はみんな嘘つき 最果タヒ

世の中の中心に自分達がいる。ってどこから湧いてくるのか分からないような思い込みも、当時の私には真実だった。こういった若さは大抵年を重ねるごとに薄れていく。自分や周囲の感情や空気に敏感で、それってかなりめんどくさいことだけど最高に素敵なことじゃん!かっこいいじゃん!って後々気づく悲しさ。一生青春!大人も精一杯生きよう!

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スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち

スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち 朱川湊人

6話からなる連作短編集 東京で働く黒葛原涼が 静岡に住む作家である父親からお土産を頼まれて買いに行った荒川区町良に のちに住むことになって いろんな人と出会い うやむやのまま探偵の真似事をする羽目になる話 持ち込まれる相談事を解決するたびに 知り合いが増えていき いつの間にか自分の周りには人が集まるようになった涼 なんだか傍から見てると楽しそう 最終話のB・Bの正体ははっきりと断言してないけど多分当たりなんだろうな

夏物語

夏物語 川上未映子

女性性の物語。 どのように生きるかを真剣に、まっすぐ考えさせる。 貧困の世代間連鎖、孤独感、死と出産。 『乳と卵』に重厚さが増し、再び厭な予感、救いのない円環をぐるぐる回っているような感覚に陥る。 『乳と卵』で感じた女性特有の血の匂いは少しだけ鳴りを潜め、代わりに時間の経過や「老い」が重くのしかかる。 貧困地域に住んでいた親世代の人たちは体も衰え、もともとなかった余裕が損なわれてゆく。 そして、そんな親世代に囲まれ、孤独に生まれて生きてきた彼女たちは将来誰かを愛せるのだろうか、と重たい気分になる。 P.190『「たとえば、言葉って、通じますよね。でも、話しが通じることってじつはなかなかないんです。』 案の定、主人公夏子は「本当に」誰かを愛するという事が難しくなっている。それは、性的なものと愛するということがどう頑張っても結びつかず、アセクシュアル的な傾向をもつ。 P.224『でも、じゃあ、相手のことを本当にわかるって、いったいどういうことなのだ?』 そこで、恋愛を諦め、結婚を諦め、出産を諦める。 しかし、年齢が上がり、ある程度仕事の見通しが立って生活に少しだけ余裕がうまれると自らの孤独に打ちひしがれる。 P.286『わたしから街や人は見えるけども、どこからもわたしは見えないような気がした』 夏子は孤独を感じると、旧い思い出に浸る。どれも暖かくて楽しい良い思い出だが、その全てが、完膚なきまで完璧にみすぼらしく惨めである。 それでも、どんなに惨めでみすぼらしくともこの女性にとっては孤独を癒す大切な思い出なのである。 夏子と対照的に、日本的血縁主義的家族神話に生きた女性が用いられる。 p.347『自分の人生を犠牲にして家を守ってきたという自負と恨みがあるんだと』 男性と男性的社会への痛烈な批判。「なんで女だけが痛いんだ」という叫びは、結婚・出産を経た女性にも等しく孤独を感じさせていることの現れだ。 ここで『乳と卵』を読んだ時のような感覚を思い出し、恐ろしいような、申し訳ないような、おっしゃる通りでおます、とまたぷるぷる震えてしまう。 出産、子育て、女性。 子供を産めるのは女性だけの特権であり、呪い。その特別な権利と痛みは男性には絶対理解できないだろう。 さらに追い討ちをかけるように見せかけの尊敬・理解を示す男性に対して「-知らねえよ」(p.388)と一蹴される。 そうですよね、理解して欲しくもないだろうし、理解してますオーラを出されるの嫌悪、また嫌悪ですよね、これは本当に申し訳なく頭が下がる一方で、下がり続ける頭の先をぷるぷるさせて井戸でも掘って冷たい水を飲んで頂ければご機嫌少しは戻られるでしょうか、いやそんな水くらいでご機嫌とろうという浅はかさこそ愚かなオトコという生き物でして頭で井戸なんてほれませんし、僕ったら本当に申し訳ござりません、とぷるぷるが止まらない。 物語が終盤に差し掛かると、より孤独感を感じるようになる。 誰もがどうやら等しく有しているとされる子供を持つという能力。「自分の子供」という存在に会いたい。この痛切な願いを責めることは誰にもできない。 しかし、そこで反出生主義の女性と出会う事になる。 生まれてきたばっかりに、生まれてこなければよかった、どうしてわたしを生んだのか。 こうした怒りや哀しさは、この本の登場人物たちにとっては当然の感情でもある。むしろ、主人公夏子、巻子、そして緑子も反出生主義に与しても不思議ではない。 それでも、夏子には巻子がいて、緑子がいた。そして思い出の中には母がいて、コミばぁがいて、九ちゃんもいた。完璧にみすぼらしく惨めだが暖かい思い出があった。 夏子にとって、思い出の中の人たちにもう一度会いたいという願いこそ、自分の子供に会いたいという願いの起源だったのではないか。それが、この物語の最後のページの言葉に現れたのではないか。 最後のページでまた再び、ぷるぷる震える。

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奥様はクレイジーフルーツ

奥様はクレイジーフルーツ 柚木麻子

知り合いの性事情をセキララに聞かされているみたいで恥ずかしい。基本的に、初美、大丈夫??と心配しちゃうくらい面白おかしい内容だけれど、夫の興味をひこうと甲斐甲斐しくがんばる初美を応援したくなってくる。

110番のホームズ 119番のワトソン 夕暮市火災事件簿

110番のホームズ 119番のワトソン 夕暮市火災事件簿 平田駒

珍しい関係のバディ本です。 「ホームズとワトソン」と言えばイメージがありますが、全然違います。 「シャーロック」=奇人だそうです。 火災と警察はこうやって連携しているんだと勉強になりました。2人の仲がこれから楽しみです。

静かな雨

静かな雨 宮下奈都

静かな雨 主人公が優しいのか優しくないのか分からない あ、終わっちゃった ってなった 気がついたら雨がさっとあがっていた みたいな 短い話なのでもう一度読み返したいと思った 日をつなぐ 変わらないものなんてないけれど 変わっていくなかでも どうも幸せになってほしいと願ってしまった。 委ねられた終わり方だと思った 薄暗いキッチンに立つ主人公がすごく想像できた

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マチネの終わりに

マチネの終わりに 平野啓一郎

読み終えた一言目は、なんてロマンティックなんだろうと思った。シチュエーション、街、背景そしてクラシックギタリストとグローバルに活動をするジャーナリストの出会いと恋。二人が実際に会っている間は話がどんどん進み、それぞれの心の中の描写では知的で大人の人間性だと思った。この本の中に描かれる世界に憧れ、恋をした。こんな風に思った本は初めてであったし、読み終えた後は深いためいきと形容し難い余韻で包まれた。

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