文藝春秋の本

侠飯5 嵐のペンション篇

侠飯5 嵐のペンション篇 福澤徹三

ご飯が美味しそうなシリーズも5段目になると、過去の登場人物はもう全員は出て来ないですねー舞台も奥多摩なので、場所的にも難しいかな… 今回の迷い人は若者二人。かと思いきや、もう一人二人三人…結構いっぱいいました。 ちょっと不便な奥多摩のペンションで、5億円強奪事件も絡んで、ちょっと面倒な人々と、頼りないペンションのオーナーさん。 人間模様も魅力です。

あの世の話

あの世の話 佐藤愛子

対談した内容を文字に起こした書物です。なかなかあの世とは面白い所のようですね。

白墨人形

白墨人形 C・J・チューダー

「秘密ってのはケツの穴と同じさ。誰でももっていて、汚なさに違いがあるだけさ」キング感満載の独自のワールドを展開。しかししっかりミステリ。

さくら道

さくら道 横峯さくら

同世代として、私もまだまだ頑張らなきゃと思わせてくれる本。普段おっとりしているイメージのあるさくらちゃんが、こんなに深く悩み苦しんでいたなんて驚き。

ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」

ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」 高瀬毅

なぜ長崎原爆投下の遺構となる浦上天主堂は保存されなかったのか。読んでいくと、戦勝国ならば当然考えることを行動に移していくのがわかる。広島市の要人には同じような働きかけはなかったのだろうか?広島生まれの自分は広島原爆の教育や情報に囲まれすぎていて、そのぶんもう一つの被爆都市長崎に対する関心や知識が不十分だったことを痛感した。文庫化に際して巻末に東日本大震災に触れていたが、この書き下ろしは果たして必要だったのだろうか。

ファーストラヴ

ファーストラヴ 島本理生

島本理生の最新刊。 もちろん発売日に購入。 読み終えた感想はと言うと、正直うまく言葉が見つからないな。 生育環境や多感な時期に受けた影響って大人になっても、というか大人になって意味が分かってから更に傷が抉られるもの。本当は不快なことを、辛いことをされていてもそれを口に出すことはできず、「だけど自分に責任があるから」と受容するしかない。それも無意識的に。むしろ、相手の期待に応えなきゃと喜んでいるフリをする。悟られないようにする。それは大人になってからも、習慣が抜けきれずにしてしまう。 こんな辛すぎることって、ない。 でも、そうしないと自分が、今、生きていくことができないからだ。壊れるからだ。傷ついてるということを自覚してしまったらまともに立っていることはできない。 闇と病みしか感じない、そんな中「涙を流さずに泣くことの意味」坂口健太郎の帯コピーがうまいこと突いてる。 それにしても島本作品は性的被害や虐待(もしくはそれに近いもの)にあった女性、というものがよく出てくるような気がする。あと、凄く結びつきが強い男女なのに、恋愛ではない特別なやや歪とも言える関係。 迦葉は島本作品っぽい危うい雰囲気のある男性で、我聞は島本作品らしからぬ良い男だった。ラストは包み込むような希望、痛みもあるけど良い作品でした。 ミステリのようでもあり、「真実は何か?」「嘘を言ってるのは誰だ?」と思わず読みふけってしまった一冊。ただ、タイトルとの繋がりが最後までわからなかった。今度、作者と精神科医によるトークショーがあるので楽しみ。実に興味深い。

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烏百花 蛍の章 八咫烏外伝

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝 阿部智里

八咫烏シリーズ外伝。6編。 素晴らしいキャラクター達が掘り下げられているのが、とても嬉しい。成長していく登場人物達の、純粋だった幼い頃の姿は懐かしく、微笑ましく、安らかであった。今の厳しく、悲しい現状に心痛める姿は読んでいても辛かったから。

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人口減少社会の未来学

人口減少社会の未来学 内田樹

内田樹氏の呼びかけで10人の論客がさまざまに論じた人口減少社会の未来について。ヨーロッパの「反緊縮」潮流に関する論考、AIがもたらす変化へ国民は何にプライオリティを置くべきか、精緻な統計分析による思い込みの払拭、一次生産者たちとの密な関わりなど、どれも密度が高く面白いです。

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ツチハンミョウのギャンブル

ツチハンミョウのギャンブル 福岡伸一

福岡ハカセの文章はいやらしさがない。 フェルメールを語るときも政治について語るときも、ニューヨークでの滞在を語るときも、生命を語るときも、軽やかで淀みない。 文章の流れを滞らせてはいけない。 動的平衡の流れに身を任せて、 ハカセの言葉に浸ろうじゃないか!

天地に燦たり

天地に燦たり 川越宗一

儒学の話は難しい。そして、戦国の世の中では矛盾しかない。巡り会うはずのない人生で「久高」「真一」「明鐘」は出会う。国籍や立場が違う三人だが、世代が違う事にやはり意味があるのだろうか。決して混ざらぬ三人に「礼」がある。 豊臣秀吉の無謀な「唐入り」朝鮮への出兵。あまり語られない、朝鮮からみた侵略者「倭」の悲惨と恐怖を始めて読む。鬼のような戦地で鬼になるべく戦う「久高」は見ていて辛い。「久高」は「礼」を人に語る事はない、人に知れる事も無い。心の中でのみ呟く「久高」に、胸が締め付けられる思いがした。 儒学の教えは尊い。「明鐘」の「道学先生」への問いは私の問いだし、解は納得がいく。机に座っていればの話だけれど。 読後、沖縄の空の青さが目にしみてきた。

夏の裁断

夏の裁断 島本理生

女性が受ける日々の小さな暴力だとか、それを引き寄せてしまう主人公にモヤモヤしながら読んだ。書き下ろしの短編に救いがあるので読了できた気がする。

宇喜多の楽土

宇喜多の楽土 木下昌輝

宇喜多秀家が八丈島に送られるまでの生涯を描いている。 父直家とは異なる道を選びはしたものの、願う所は同じだった。優しい男は、強い男であったのだと思いたい。 だからこそ「豪姫」は愛し続け、前田家は支援し続けたのだろう。ガツガツと戦うばかりが男ではなかろうて。

泥濘

泥濘 黒川博行

極道の抗争に大阪府警OB、社会福祉法人、有料老人ホーム、オレオレ詐欺を絡ませて味付けする所にリアリティがあり、黒川博行さんらしさがと感じる。 この疫病神シリーズは毎回面白いが、この最新刊は中でも三本の指に入るであろう出来の良さだと思う。 少々話は複雑ではあるが、読み応えという点でシリーズの中でも上位に入ると感じた。 新聞の大阪版の社会面では、悪さをした大阪府警の刑事の記事をちょくちょく見かけるが、だからこそ黒川博行さんの描く、大阪という街での、この種のヤクザと刑事が似た者同士でエグいほどのワルであるという物語が本当にリアルに感じられる。