文藝春秋の本

承久の乱 日本史のターニングポイント

承久の乱 日本史のターニングポイント 本郷和人

サブタイトルの「日本史のターニングポイント」というコピーに興味を惹かれたので。正直言うとかなり地味な乱という印象で世間知らずの朝廷が源氏の断絶に調子にのって兵を挙げたらあっけなく潰されました、的な記憶しかなかったので何がターニングポイントなのかと。まずは鎌倉幕府とは何か、という定義で元々は東国の武士たちの互助会のようなもので自分たちの権益だけ守れたら良く国全体をどうこうしようという意志はなかった、という説明があり、故に別に頭目は源氏の正統でなくてもよく実力者が務めればよいという構造だったので得体の知れない豪族だった北条氏が権力を握ったのだということが分かる。しかし権力を握るまでの時政、義時親子の日本史でも稀に見る陰険さが凄まじい。そして乱を起こした後鳥羽上皇が経済力でも武力でも当時においては日本一であったということが説明される。つまり時勢の読めていない貴族が起こした乱ではなくじゅうぶんに勝ち目があると踏んだ権力闘争であった、ということで結果として朝廷側が敗北したのはなぜか、その結果はどういうことになったか、という内容です。小説ではなく感情を廃して簡潔にまとめられてるので読み易く非常に面白かったです。

アトピービジネス

アトピービジネス 竹原和彦

「民間療法という名のビジネスが隆盛をきわめるにいたったプロセスは、そのままステロイド外用薬の「悪魔化」のプロセスでもあった。」(35ページより)

まよなかの青空

まよなかの青空 谷瑞恵

貸切の時だけ走る二階建ての電車「あおぞら号」 その電車の中で “ソラさん” に出会うと幸運が訪れるとか願いが叶うと言う噂がある 小学校の修学旅行で乗ったあおぞら号でソラさんに会ったという主人公の竹宮ひかるに 亡くなった父から携帯番号だけが書かれた手紙が届く かけてみたら 昔母親に内緒で会っていた男の子だった その子と一緒に昔会ったソラさんを探すことになる いろんな人と出会い みんなが繋がっていくたびに ちょっとずつ明らかになっていく過去 だけど誰もがソラさんになり得ることがわかって 関わったみんなが少しずつ幸せな方向へと向いていけたのが ソラさんを探した甲斐というものだ

わたしのグランパ

わたしのグランパ 筒井康隆

びっくりするくらいおもしろい。 最初こそ得体の知れないグランパに不審感を抱いていたが、読み進めていくうちにどんどんその魅力に引き込まれていた。 グランパは読者をも虜にする最強の人たらしなのではないかと本気で思う。 筒井先生の作品を読むのはこれで二作目だけれど、やはりなんといっても文章が巧い。だから頭の中にすんなりと入ってくる。 特にこの作品は話の「筋」がきちんとあって、読者が盛り上がる場面が要所要所に散りばめられている。何回も言うが、純粋におもしろい。こういうのを小説と呼ぶのではないだろうか。 話自体も短いしサクっと読めるので「最近本読めなくなってきたな……」と思っている方はぜひ。

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上野千鶴子のサバイバル語録

上野千鶴子のサバイバル語録 上野千鶴子

今まで全然触れてこなかった領域の方ですが、先日の東京大学の入学式での祝辞を読んで、もう少し読んでみた方が良さそうだ、と感じて導入編として読みました。 文章を貫くものは強いけれど、語自体が強いわけではなく弱いものでもないようです。語録なので簡潔で読みやすいこともあって、引用元を今度は何冊か読んでみようと思います。

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世界史の新常識

世界史の新常識 文藝春秋編

ローマ帝国滅亡の理由は大規模な難民の移住というのは説得力があり、現在のアメリカやヨーロッパの難民報道を聴くと考えさせられるものがあります。

ママがやった

ママがやった 井上荒野

感情を何処の誰に持っていけばいいのかなかなか分からない作品だった。あとがきを読む事でこの作品のテーマ(?)に気付かされ、恐ろしくなった。 人の心なんて分からないし、人の心は良くも悪くも、日常が蝕んでいくのだと思った。 何日か経って気づいた事は、夫が雑誌に載っているママの教え子をママに伝えた時にママの中で夫に対して諦めていた心の中のスイッチが押されたのだろうという事。 ママの本当の心情は分からない。 だけど、そうかなぁと思った。

陰陽師 女蛇ノ巻

陰陽師 女蛇ノ巻 夢枕獏

シリーズ16。短編12篇。 超短編集なんですが、今回は清明のセリフが胸キュンすぎて。夢枕獏先生って67歳でしたよね。 作品は和やかに事件解決となります。 相変わらず清明は、焦らしてくれますので源博雅と一緒にジレます。 蘆屋道満もなんだか穏やか。

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レフトハンド・ブラザーフッド

レフトハンド・ブラザーフッド 知念実希人

想像どうりのラストだけれど、分かっていても寂しい。 兄弟の若さゆえの愚かしさ、そして重大な事件に巻き込まれていくギャップ。 事件のバックグランドはとても重いものなのに、稚拙な判断で二転三転する。兄の言動が押し付けがましいのは、意図するものだろうか? チョット分厚いかな。