文藝春秋の本

5179z8gc7xl

脳科学は人格を変えられるか? エレーヌ・フォックス

楽観的な脳「サニーブレイン」と悲観的な脳「レイニーブレイン」の説明からスタートし、その違いを実験や遺伝子型、生活環境、経験など、様々な角度から検証している。 楽観的は脳が素晴らしい、というような単純な話ではない。誰の体にもあって、不思議な臓器。体であり心であり、私自身である臓器。成長し変化しつづける臓器。 脳とは、性格とは、私という存在とは、何か。 学びのきっかけであり、思考のきっかけとなった。

5bfb58e1 8480 4bf4 804f cc0603f3ec9a4fce670e 6049 4aa0 8bcb 05ec248d276f014253d4 6080 4951 9119 24735184a696
5147bpop6yl

新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相 小野一光

並の怪談が裸足で逃げ出す恐怖。結局一番怖いのは人の心。 文庫化にあたり70ページ大幅増補。文庫版補章『その後の「家族喰い」』でもさらにつらい事実が明かされるも家族を乗っ取られた被害者のさまざまな事を飲み込んでそれでも生きる姿に救いを見た。『美代子はきつい言葉で責め、苛烈な暴力を行使するだけでなく、食事や睡眠の制限で意識が朦朧となった皆吉家と谷本家の大人たちに対して「次に責められるのは自分かもしれない」という恐怖で支配する関係を構築したのである。』P274 洗脳の常とう手段である食事、睡眠の制限これに類することは 学校、職場、家庭など人が集まる場所では起こりがち。このとき美代子容疑者は覚せい剤をキメていたので眠くならないというカラクリもあるのだが。 また実の姉を殺害し数々の犯行を自供した容疑者(もともとは乗っ取られた家族、乗っ取られた当時は高校生だった)が語る「私には今でも美代子さんに自分は大事にしてもらった、恩があるからお返しとして大事にもしてきた。その関係のまま別れたことになるので未練の情が残る部分があります。そして角田家も家族として大事にしてきたので同じ気持ちです。でも(精神)鑑定の話を聞いていると、やっぱりこれは特殊な手段や方法の中でなら多くの人がなってしまうメカニズムがあって、その上で植えつけられたものなのかなと思います。私には実感があるから本物だという感覚が残っていますが、でも認められるものじゃないのもわかってきています。本当に美代子さんが自分を大事にしてくれていたら、こんな手段や手法はとらなかったはずだと思うようになりました。少しずつ」P330、は洗脳の恐ろしさをこれでもかと突きつける。本書は何処にでも起こりうる「洗脳」という恐怖にいかに気付くことができるかという備えになると感じる。

7d884a2e a77e 44f9 ae8d a928cff242c70076bbd1 6a5e 4963 ba6f a52a51a54349Da0fc94d cab2 456e 95d5 cf0e660535d8648cbff4 c642 4e0c 959e 1ea1f6aba07bDa0b5002 3a8d 4aa3 a621 f238dd8128d8705a3186 26f6 4491 b78f 518c621045c5
51crcg1as9l

ブラック奨学金 今野晴貴

授業料の高騰(国立大学の学費はこの30年で15倍に!)と、卒業後も正規職に就けない可能性、そして苛烈を極める奨学金という名の教育ローンの存在で、若者たちの経済状況がかつてない程に悪化しているというお話。 この国の高等教育の仕組みが本当に酷くなっている事が実感できる一冊。 自分もかつては無職期間があって奨学金の支払いが滞って、返済猶予にしてもらって、なんとか就職してから10年で運良く全額返済できたけど、現在だったら自己破産してそうだな。

417e61kj xl

生誕祭〈上〉 馳星周

とてもギラギラ。みんながみんな、上を目指す。下巻楽しみ!地上げを題材にした、良作!

51chzopijkl

風味さんのカメラ日和 柴田よしき

最近、昔使っていたフィルムカメラを引っぱりだして写真を撮っている。そう言うと何やらカメラが趣味のマニアっぽいけど、実際はほとんどオートでしか撮ったことがない。でも写真は好きだ。こんな写真が撮れたらいいなあと写真集やインスタグラムなんかを見て思うこともしばしば。 そんな時、近所の本屋さんで手にとったのがこの本。甘めな表紙がちょっとなあと思いつつ、「カメラ」というワードに惹かれて読んでみた。東京から洋菓子店を営む実家に戻ってきた主人公が人数集めのために友人から頼まれて参加することになったデジタルカメラ講座。そこに集まるそれぞれの事情を抱えた人たち。適度にカメラ指南を交えつつ物語は進んでいく。 これ、けっこう面白い。スマホで写真を撮るにしてもちょっとコツが分かっていれば見違える写真になる。そんなヒントがこの本にはある。物語はまだまだ続きそうなので次が出るのが楽しみです。

6cb5df69 ceea 4233 aaae 413922b5218c6e601ea2 de6f 4c16 b856 ebddb66ba840Ace72860 bdb3 4005 8acb 83ba616ee34f99243ee0 23bf 4299 8a2e 183607d5bf70014253d4 6080 4951 9119 24735184a6960bf64941 7f34 4cc5 bb39 922fcdd17561Ba27d6df cb5f 4dbe 8163 86b863c689ad 9
51ieizxhrxl

影裏 沼田真佑

寂寥感、それに尽きる。表紙の現代アート、小林史子さんの作品なのだが、彼女は著者の沼田さんとはおそらくら1歳違い。そして2016年に亡くなっている。

45b14863 90fb 453b 8f57 885f0f4e0d3538aecb1e ab6d 44a9 8407 9f126a093a21B6efce8b bc9a 4c64 b3f8 4c287e7cd2c878690c40 ddcf 4c45 b33e 88da43374341F066bc6d 6529 4a17 a125 c0007edde0ce648cbff4 c642 4e0c 959e 1ea1f6aba07b18bb72ce a82a 4068 8428 3787e6ed8513 11
51sn0 cakgl

弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 阿部智里

ああ、なんということでしょう。 第1部完結ということは、続きがあるのでしょうけれど。 滅ぶことは、遠く未来において間違いはなさそうですが。どの様な物語であるか楽しみです。出来れば、明るい感じがいいな。血を流しすぎました。そりゃ雪哉も辛いもの。

Bb8953ff 4ab9 4767 960f 764e3c93527a9bc34478 5361 482d b5bc 3e857a5f25d1
61jltdklkml

空棺の烏 八咫烏シリーズ 4 阿部智里

雪哉の黒さ全開の、簡単にまとめれば痛快腹黒学園モノだった。 何もかも得手で記憶力抜群で戦略もピカイチの雪哉の苦手がそこか!というのは、可笑しくもあり納得でもあり。 身分の高い烏からど田舎の下っ端烏まで、たくさんの烏たちが集団で過ごす中で、ある者は「権力」を知り、ある者は「友」を知り、少しずつ成長していく姿が眩しいはずなのに、雪哉に関しては腹黒さに笑ってしまったり舌を巻いたり。 金烏の最も重要な秘密が明かされたとき、タイトルに背筋が震えた。これは、雪哉の青春物語なんかじゃなかったことに気づかされ、全ては金烏という大きな存在そのものにつながっていることを思い知り、作者にひれ伏したくなった。 文庫で買い揃えてしまった身では文庫化を待ちたいところだけど、次が待ち遠しすぎて単行本を買ってしまいそう!

4e2109ae d02b 4562 9a5c 7b40d63d529fA5fe0e2e a191 4cf1 96d4 272b69bedd27Ec35fbba 94bc 45d7 993e 5b89952ab5ac04a9ec70 62e8 4153 9921 d087b24b65cc8b72f30b 1e29 4ef2 bd0e 3bcc706297281f96cbef e9bb 4f22 9ad0 c1aa1bc56585272492b6 d6db 4ed6 aa02 37ab6d2d62aa 12
5148we5tjql

フリッカー、あるいは映画の魔〈下〉 セオドア・ローザック

読みたかったけど、長い間品切れ。一時帰国のとき、ブックオフで偶然見つけました。 1998年の「このミス」ベストワンであること以外は全く知らずに読書開始。すぐに、ぶったまげました。 まずは、つかみの悪さ。決して好ましい性格とは言えない登場人物の紹介が延々と続きます。本書は細かい文字で上下巻1000ページを越える大長編。しかも、セリフの中には映画の薀蓄、余計とも言える修辞的表現が続き、結構手強いです。さらには、ストーリーがなかなか進みません。 1時間で投げ出してもおかしくない本ですが、完読して、しかも満足度は★★★★★でした。 1960年代初頭、うらぶれた名画座で主人公はマックス・キャッスルの映画に出会います。キャッスルはB級ホラーの下らない映画がわずかに知られているだけの監督。しかし、彼の作品を見て、主人公はその映画に隠された魔に魅入られてしまいます。 本書は後々UCLA映画学科の教授になる主人公がキャッスルの謎に迫る姿を描きます。 圧倒的なディテールと、オーソン・ウェルズやジョン・ヒューストンなどの実在の人物を登場で、ノンフィクションではないかと錯覚を覚えてしまう上巻。テンペル騎士団やカタリ派が絡み、想像を絶する荒唐無稽なストーリー展開となる下巻。最初の数時間を我慢すれば、読書の楽しさが十分味わえるミステリーです。 ただし、やはり、ある程度の映画ファンでなければ本書はきつい思います。「ローズバッド」という言葉は知っているけど、「二十四時間の情事」は未見という映画ファン(すなわち私)であれば、十分楽しめます。「薔薇の名前」が楽しめた人は必読です。

4100fvyeg6l

トヨタ生産方式の逆襲 鈴村尚久

よくあるトヨタ生産方式の本とは違う。 IEだけではなく、お客様に対してやるべきことを書いてある。 べき論だけではなく、ノウハウも記述してる点がいい。

41jmzs3wz0l

第二音楽室 佐藤多佳子

小中高生が主人公の短編4つ。いずれも学校の音楽室が中心舞台。同じ作者の「聖夜」が良かったのでこちらも読んでみた。

Cdeb69a0 8550 445f bcea 85badbbe977860729d69 c811 4eed a64c f6dc1a34a835F68525ea d7f0 469f 8d69 a20435b7c3b9
5161vo5wscl

大相撲殺人事件 小森健太朗

すごい死にます。不謹慎ですが、バカバカしくなるくらい本格的に次々と力士たちが殺されるのにサクサク読めます。そして最期にはあるすごい壮大なストーリーが浮かび上がります。深夜ドラマが好きな人はハマるかも。

51nr056dlal

ギブ・ミー・ア・チャンス 荻原浩

人生いろいろ迷うけど、迷ってるのは自分だけじゃなくて みんな何かしら想いや迷いがあるんだな と感じた作品。 長編ではなく、いくつかの作品が入っている。 それぞれに、個性豊かな主人公の人生の一瞬が描かれていて楽しい。

41n7xzvvs3l

心臓を貫かれて マイケル・ギルモア

死刑に処されることを望む殺人犯を兄に持つ弟が自らの家系を辿りその暴力の根源は何処にあるのか丹念に紐解いていく、そこで目にしたものは耐え難い暴力の連鎖といるとしか思えないゴーストとそれに連なる呪われた血であった。 「本当のことを言えば、僕は両親に対して批判がましいことを言っているわけではまったくないのだ。彼らのどちらに対しても、憎しみや苦い思いを露ほども持ってはいない。本当は持つべきなのかもしれないのだけれど。僕は両親を愛しているし、最近特に彼らのことを心から懐かしく思う。しかし自分の家族について思いをめぐらすにつけて、そこに何かしらアイロニカルなものがあることを僕は気付かないわけにはいかなかった。より良き世界においては、僕の両親は出会うこともなかっただろう。なぜならそこではこんな話は存在しなかったはずだからだ。より良き世界においては、僕の両親は出会うこともなかっただろう。少なくとも彼らは結婚して、家族をもうけたりはしなかっただろう。つまりより良き世界においては、僕はこの世に生まれてこなかっただろう。」抗いがたい呪われた血という運命を前に諦念をもちつつもまだそこに家族としての幻想を抱くこの場面が痛々しくも愛おしい。

51ufokkdhfl

Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男 佐々木健一

ノンフィクション大好きです。とりわけサイエンスもの。ついにきた、トルネード・藤田。伝記はなかったんだねー。ワクワクしながら読み始め。イントロ、いいねー。 さきほど読了。面白かった。いやまさか北九州市の出身で空港の対岸とは。全く気にも止めず行き過ぎてしまったよ。今度記念館に行ってみよう。

Ec2335c1 7333 45bf bfa3 b42766e068c9B5fa97a7 b82c 49bf a785 0400ec7ff6d9E2a701c7 3ca7 4485 bd4b 4b8c94d749e3E72f28d4 a6b5 4141 939b e96b2ce9e59eE62f0c3c f8ba 47a7 a44e a1b165318b7f4a17af4b 57ff 4d7e 881e 048a0be2670d2efa5cfd 016d 4914 a7a7 01c7de48a38c 8
611ntp8vftl

悪左府の女 伊東潤

この作者の他の作品がどれも面白かったうえにタイトルに凄く惹かれたので手にとって見た。悪左府とは保元の乱の主役である藤原頼長。生来の頭の良さと学識で腹違いの兄を押しのけて藤原摂関家の長者になり更に貴族社会の頂点を目指す頼長。ライバルに対抗するための手段を選ばず自らの手の内にある女に帝の子を産ませようと画策する。そして目に止まったのが有名な醜女とされた主人公…と言っても当時の基準であって、背が高く痩せがたで目鼻立ちのくっきりした女、という造形。更には帝の好きな琵琶の名手ということもあり強引に宮中に押し込むのだが…という話。切れ者すぎて周囲への配慮が足りない頼長はどんどん追い詰められ破滅に向かっていき、主人公の運命も翻弄される。武力を持たない貴族たちの陰湿な争い、台頭してきた武士たちの描き方などさすがに読みだすとやめられない面白さだった。貴族達からは醜女と言われる主人公も新興の武士達にはやたらともてるのも価値観の相違を表しているようで上手いなと思った。

014253d4 6080 4951 9119 24735184a69605b76f0f 8b0c 4d32 9574 36be340def81