新潮社の本

ベルサイユのゆり

ベルサイユのゆり 吉川トリコ

傲慢で贅沢。マリー・アントワネットといえばこのイメージがついてまわる。 この作品は、そんな彼女を身近で見知っていた人々の証言を集めたもの、という体裁の物語である。 マリー・アントワネットの是非はともかく、フランス革命前後の人々がフランクにざっくばらんに「自分で自分がめんどくさい!」などと語るので愉快な雰囲気はある。 だが結局愉快にはならなかった。男性が有利な世界を嫌悪する人物たちの憎悪が強すぎたからだ。 「登場人物の意見=作者の意見」ではないのは知っているが、『この世の男は全部悪』『むしろ全ての悪事は男が原因』とでも言いかねない作中人物の暴言が気になって仕方がなかった。作者の本心でない事を祈る。 タイトルはベルバラを意識したタイトルだが、ゆりはフランス王家を象徴する花だそうな。そういった意味でのベルゆりなんだろう。

Ee6eb6ac 69e0 4180 ab28 36106d6da4056cb5df69 ceea 4233 aaae 413922b5218cIcon user placeholder5c50f524 f6b7 412a b19b e458d59db9fd
夏をなくした少年たち

夏をなくした少年たち 生馬直樹

おもしろかった。をどうネタバレにならないよう文章に落とし込めばしっくりくるか読む度に考えるけど、文庫の解説にあ〜これこれ。というのが既に載っていたので書く事ない。 自分の言葉が何も無いのもあんまりなので読み終わって最初に名作だなと思ったとだけ。(割と頻繁に感じはする)

罪の轍

罪の轍 奥田英朗

オリンピックの身代金でこの時代を描いた著者による実在の事件をモデルにしたミステリ。 「誘拐」本田靖晴+「少年」大島渚の世界感というべきか。寛治の逃避行の先をもう少し見たかった。 カバー写真は傑作写真集「張り込み日記」渡部雄吉としっかりとした世界感はまさにプロの仕事。奥田作品によく出る やたら勢いの良いレフトの活動家も健在。「椅子に片膝を立て、足に水虫を塗りながら」P.46この場面どこかで見たか読んだ気がしたけど どこだろう。まさにこの時代にありそうな場面。 物語で重要な役割を果たす東京スタジアムその跡地は日光街道上り線千住大橋の陸橋で左の視界に入るのだが(ライフの看板が目印、通り過ぎる度にここがあの場所かと再確認する。 名選手榎本喜八もここでプレイしていたのかと感慨深い。そして現役引退後も上鷺宮の自宅からここまで走っていたのかと。

Icon user placeholder983174f9 85c8 4613 a4d3 84ea2902e0f4Icon user placeholder060fabb6 e250 405a bae0 4c00cce28d086abcf575 1c22 4761 9771 eed2ad8a455fIcon user placeholder
源氏姉妹

源氏姉妹 酒井順子

源氏物語を女性側から書いたというか、考察したエッセイ。源氏物語をちゃんと読んでなくても、なんとなく知っていれば十分楽しめる。

エスケイプ/アブセント

エスケイプ/アブセント 絲山秋子/絲山秋子

範ちゅう、ちゅうんか。世の、国の革命を信じたひとびと。しかして、理想も、思想も日常、現実には抗えず、人は離脱する。土地から、理想思想から。そうして、範ちゅう。そういう目の手の己の届く範囲、そして時間に過去に自分を巡らす40代の彼ら。二人。同じ顔を持つ男たち。軽妙な語り口である。いやあ、この先ぃ、なんて考えてたらきっと、重苦しい。違うのだ。エスケイプしちゃえばいい。軽く身も心も保ち、居ない自分を生み出せばいいのだ。

あやまちは夜にしか起こらないから

あやまちは夜にしか起こらないから 草凪優

美しい嫉妬は同じ考えを持たない人を傷つけ、悲しい事件を引き起こしていました。物語に出てくる人達はそれぞれに過去や現在の傷を負っていて、分かち合えない苦しさを仮面で隠して生きています。快楽に逃げてしまう悲しさには切なさがありました。〝ポリアモリー〟複数恋愛という形態は、アメリカ発祥で実際に実践されているそう。私はこの本で初めて知りました。まだまだ浸透していないだけに、嫉妬から生まれる負の感情を大きくしたのかも。

ミーツ・ガール

ミーツ・ガール 朝香式

恋愛って、人間性がとても出る生身のコミュニケーションだ 一つの恋愛が終わった時に色々気づきを残してくれるし、生きた教科書って感じ タイトルに惹かれて購入したけど、すごい面白くて一気に読んでしまいました