早川書房の本

ファミリーランド

ファミリーランド 澤村伊智

6話からなる連作短編集 今回は幽霊や祟りといったホラーではなく 近未来がこうなったら怖いなというゾッとするホラー ネットの普及で割となんでもできそうな現代だからこそ ありそうな、可能になりそうな話ばかりで こうはならないようにと祈るばかり

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危険なヴィジョン 3

危険なヴィジョン 3 ハーラン・エリスン

まさか生きているうちに「危険なヴィジョン」が完全版で読めるとは思わなかった。長生きはするものだ。 ニューウェーブの起点となったアンソロジー、「ふたたび」も出して欲しいが、無理だろうなぁ。

IQ2

IQ2 ジョー・イデ/熊谷 千寿

前作が荒削りだったもののなかなか面白かったシリーズの第二作が早くも出たので。前作の解説によるとシャーロック・ホームズ的な頭脳派探偵を現代のロサンゼルスでかつ黒人という設定で描こうというものらしい。本作では非業の死を遂げた兄の彼女からギャンブル中毒から窮地に陥っているらしい妹を救ってほしいという依頼を受けた主人公が腐れ縁の相棒を連れてラスベガスに乗り込み、という話。ロサンゼルスのラテン系ギャング団、ギャング団の資金洗浄をするルワンダ出身の投資家、ラスベガスの高利貸し、中国系マフィアが入り乱れて、更に主人公の兄の死の真相を探る動きまで盛り込まれての少々詰め込み過ぎな感のある内容。しかし前先よりもミステリやアクションとしては洗練されていて面白く読めた。残虐シーンもけっこうあるし救いのある物語でもないので万人におすすめできるものではないですが。

ヒッキーヒッキーシェイク

ヒッキーヒッキーシェイク 津原泰水

引きこもりが、「不気味の谷」を越えるために、立ち上がる?さらさら読んでると、途中で誰の話をしてるかのか、など?になるけど、全体としては面白かった。後味が良かったです。

三体

三体 劉 慈欣/大森 望

小島秀夫監督の推薦文に惹かれて購入した ミーハーなワタクシです(汗) どれだけの知識量があれば こんな物語が書けるのだろう と思うくらいの濃厚なSFでした。 はじめての中国小説で 登場人物の名前の区別に苦労しましたが、 挟み込まれているポストカードサイズの人物表が とても役立ちました。 後半に追い込みをかけるように ドキドキな展開になっていくんですが、 唐突に終わり、まさかの三部作(笑) 早く、早く続きを・・・! 個人的に大史が いちばん魅力的なキャラクターです。 アマプラでドラマの制作が計画されているとか!

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水晶宮の影

水晶宮の影 五代 ゆう/天狼プロダクション

グインサーガ40周年。栗本薫没後10年。続篇15巻目と、節目の一冊。 栗本薫時代から続いていたヤガ編がようやく終了。こんなに引っ張るような話だったかは正直微妙。。 ザザの黄昏の国経由ワープが便利過ぎるような。ほとんどどこでもドア的に使われている感じ。 グインはふたたびクリスタルに潜入。ようやく「あのお方」と対面するのかな?アウロラちゃんは今ひとつ、なんでついてきてるのかよくわからん。 今のクリスタルは素人が来てどうにかなるところじゃないと思うんだけど。

三つ編み

三つ編み レティシア・コロンバニ/齋藤 可津子

人間の運命に影響を与える要因の中でも「どこの国に生まれたか」というのはかなり決定的なものだと思う。 本書では、3つの国に生まれたそれぞれの女性の苦悩と境遇との闘いが描かれている。 不可触民として他人の糞尿を処理しながら差別とともに生きるインドのスミタ。 伝統的な父権的社会で生まれ育ち、思いもかけない父の事故によって家業の存続の危機に直面するイタリアのジュリア。 競争社会を勝ち抜き誰もが羨む地位を得ながら、突然の病に襲われ、仕事を失い孤立するカナダのサラ。 彼女たちはそれぞれ生まれた国に固有の伝統や慣習、そして女性差別によって一見無謀で無益とも思える闘いを強いられる。 先人たちが、文字通り命をかけて少しずつこじ開けてきた風穴。 彼女たちの勇気が、闘いが、さらに壁を穿ちその穴を広げる。 そしてそこを目指して人は後に続く。 闘いは至る所で行われ、誰もが孤独なようで、でも決して一人ではない。

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フランス鍵の秘密

フランス鍵の秘密 Gruber, Frank

巨漢探偵とのことですが、それ程ではなかったかな。凸凹コンビが楽しくてサラッと読めました。この時代の雰囲気がいいですね。映画化もされてるみたいですね。

モスクワの伯爵

モスクワの伯爵 エイモア・トールズ/宇佐川 晶子

今のところ今年のベストかも。素晴らしかった。物語はロシア革命後のモスクワで「貴族であること」を理由に伯爵が銃殺刑の判決をうけるところから始まる。過去の功績…最後の方でそれがなんだったのか分かる…により住んでいるホテル(メトロポール!)から一歩でも出たら銃殺、に減刑され、それまで住んでいたスイートから屋根裏部屋に追いやられる伯爵。そこから32年間にも渡る軟禁生活が始まるのだが…逆境にもめげず(まぁ蓄えもあったからだけど)従来のライフスタイルを変えず優雅に暮らす伯爵。32年もあるとホテルの外では…特にそれが革命後のロシアであったりした場合にはいろいろなことがあって…毎日、高級レストランと高級バーで食事をし毎週馴染みの職人に髪を整えてもらい来客をもてなし、という優雅な伯爵の毎日にも様々な出来事があって、という話。経験から来る知識と社交力でホテルの給仕長になってしまう伯爵のキャラクターが素晴らしい。凄くブラックな背景が垣間見れるのだがさりげなく織り込んであるところが良い。いつのまにか"娘"までできてしまう伯爵だがこのまま優雅な日々を送りました、で終わるのかと思ったら…という展開も見事。ほんとに良い作品だった。いわゆる小説好きの方には強くおすすめします。

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パリ警視庁迷宮捜査班

パリ警視庁迷宮捜査班 ソフィー・エナフ/山本 知子

パリ警視庁の37歳の女性警視正、アンナ・カペスタン。 スピード昇進のチャンピオン、同世代の星と言われた彼女は過剰発砲で停職6か月を言い渡され、私生活では離婚の憂き目に合う。 彼女は、パリ一区にあるオンボロのアパルトマンの一室で迷宮入りとなった事件の捜査を行う「特別班」の責任者として復職することになったのだが、そこに配属されたのはいわゆるはみ出し者の警察官ばかりで…。 お堅い警察物かと思いきや、皮肉やユーモアに溢れた会話や次々に起こる予想外のトラブルにただただ楽しくページをめくる。 この特別班に集まった刑事たちの「はみ出し」理由がそれぞれ個性的で、バディを組んだ相手が次々に不慮の事故に遭い誰も組みたがらない別名「死神」とか、人気警察小説を執筆している刑事とか、ハンドルを握る時だけ心が安らぐというスピード狂の刑事とか…。 いいなと思ったのは、カペスタンが彼らの特殊事情や背景を拒絶することなくとにかく受け入れる姿勢(そうせざるを得ないとは言え)。 どんな人間であろうと、心温まる交流はなくとも、とりあえず受け入れてもらえる「居場所」があるというのは大切なんだと改めて感じる。 こんな肝の太い上司の下で生き生きと働く変わり者たちの物語、面白くないわけがないのだ。

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宿命の宝冠

宿命の宝冠 宵野ゆめ/天狼プロダクション

レンティア第一王女アウロラの初登場巻。 時期的にはグインが黒竜将軍になったあたり、アルミナの嫁入り前とも書かれているから、正伝の40巻ちょいくらいの頃かな。 沿海州会議の際にアンダヌスとセットでヨオ・イロナが出てきたくらいで、正伝ではまともに描かれたことがなかったレンティア本国が今回の舞台。 外伝作品かつ、新人のデビュー作と考えれば、こういう「空白地帯」のお話の方が書きやすいのかもしれないね。 本作は、宵野ゆめにとってデビュー作。最初の作品ということもあってか、相当にぎごちない。描写がまわりくどく、話が分かりにくいのは難点かな。 逆に考えると正伝132巻の『サイロンの挽歌』はそれほど違和感を覚えなかったので、この間に相当な研鑽をつまれたであろうことは想像に難くない。 最近は、病気療養モードに入ってしまっているけど、復活を待ちたいところ。

アイル・ビー・ゴーン

アイル・ビー・ゴーン エイドリアン・マッキンティ/武藤 陽生

テロが一番激しかった頃の北アイルランドを舞台にした警察小説の第三弾。かなり面白いシリーズと思っていたけども立て続けに邦訳が出るということはけっこう売れたんだな。良いことだ。本作だけども前作でやり過ぎた結果、刑事から制服警官に降格されて一番厳しいアイルランドとの国境警備に回された主人公。しかも物語の早い段階で警察を辞めさせられてしまう。そんな主人公の元にイギリスの諜報機関MI5がやってくる。脱獄したIRAの大物テロリストの捜査に加わるのであれば警察に暫定的に復帰させる、というのだ。大物テロリストとは幼馴染であった主人公はその機会を逃さず警察に復帰し幼馴染の行方を追う。その過程で別の密室殺人をどうしても解決する必要に迫られ…という話。荒々しい舞台設定の物語だし主人公も時にやり過ぎるけども諦めない地道な捜査が特徴、みたいなこのシリーズに上手く本格推理の密室殺人の謎解きが盛り込まれていて感心した。これはかなり完成度が高く面白い作品だった。

夜のアポロン

夜のアポロン 皆川博子

死や退廃、耽美さを感じさせるような、妖しい短編集。 著者の初期の作品も含まれるという事で、戦中の描写やヒッピーなど、時代を映した作品もちらほら。 1930年に生まれ、激動の時代を生きてきた著者だからこそ描ける作品達に魅了された。

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ディオゲネス変奏曲

ディオゲネス変奏曲 陳浩基/稲村 文吾

華文ミステリの第一人者とされる香港の作家の短編集。一時期かなり話題になった連作中篇集『13・67』が非常に面白かったのでこれも手にとってみた。すべてミステリなのかと思ったらいくつかSF…いくつかはディストピア系のものがあったり、完全に純文学のものがあったり、星新一かと見まごうばかりのものがあったり、とバラエティに飛んでいる。正直これはちょっと…という作品もいくつかあったもののトリックや奇想としか言いようのないアイデアを駆使した作品もあって全体としてはかなり良かったと思う。いくつかの作品では普通に日本のポップ・カルチャーが登場したりするところも面白かった。欧米のミステリが完全に成熟期に入っていていろんな作家が試行錯誤を重ねているところにオーソドックスというか衒いのないミステリをポンと出されたようなある種の新鮮さがこの人の作品にはあって楽しい。

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