東京創元社の本

穢れた風

穢れた風 ネレ・ノイハウス

貴族階級出身の警部と相棒の女性警部を主人公にしたドイツの警察小説のシリーズ邦訳最新。この前週に読んだ「冷酷な丘」とたまたま同じく風力発電がテーマの話。代替エネルギー先進国のドイツでも風力発電ってあまり良く思われていないのかな。本作でも風力発電建設会社内で起きた殺人から反対運動との対立や学者や政治家を巻き込んだ汚い動きが描かれている。本作は、主人公が父である伯爵が反対運動に関わっていることや、自身も長年連れ添った妻が男を作って出て行ってしまった直後ということもありボロボロでまともに機能しないところが新鮮。ストーリー自体は登場人物を増やしすぎた感があり広げたストーリーを畳むのにちょっと苦労したような印象を受けた。

二度のお別れ

二度のお別れ 黒川博行

著者の作家デビュー作。 大阪府警捜査一課で勤務する「黒さん」こと黒田憲造と、 「マメちゃん」こと亀田淳也の黒マメコンビシリーズ第1弾。 話す内容も雰囲気も、 日常で聴くのと遜色ない 自然で軽妙な大阪弁のセリフと精緻な地理描写で、 読む人を一緒に捜査する刑事にしてくれる。 地名は半分フィクションだが、 職場や新居近辺が舞台として登場し、 個人的には没入感高く読むことができた。

帝都大捜査網

帝都大捜査網 岡田秀文

いい感じのミステリーでした。個人的にはなかり好きな設定です。 最後の最後でまさかそんなことがわかるなんて!

開化鐵道探偵

開化鐵道探偵 山本巧次

現場では、次々と不審な事件がおこりエスカレートしていく。鐵道トンネルは完成するのか。 草壁は、淡々と事件を探っていく。 王道推理ものです。設定が珍しいですね。

湖の男

湖の男 アーナルデュル・インドリダソン

アイスランドから質の高い作品を出し続けている作家の最新作。「池の水全部抜く」じゃないけれど…干上がった湖の底からソビエトの暗号機をくくりつけられた白骨死体が出てきて個人的な事情から失踪事件に深い関心を持つ警官が地道に捜査していく、という物語。捜査と戦後すぐの東ドイツに留学した社会主義の学生たちのエピソードが交互に語られやがて両者が合わさって、という形態。母国アイスランドのみならず北欧全域での人気と評価を誇る作者だけに話が一本化しても単純には流れない。主人公の崩壊しきった家庭など暗澹たる物語だが読後感は悪くない。このシリーズはおすすめ。本書が2004年とかなり前の刊行で本国ではこの後も十数冊続いているシリーズとのことでまだまだ楽しみ。

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約束

約束 ロバート・クレイス

警察犬とその相方の警官を主人公にした前作が非常に良かったので手に取った二作目。これがちょっとびっくりしたのんだけど主人公は警察犬チームともう一組の私立探偵チーム。ん?と思ってあとがきを読んだらこの作者は元軍人の私立探偵シリーズを書いててこれは私立探偵シリーズとしては16作目になるらしい。私立探偵が頼まれた人探しに訪れた家に警察犬チームも手入れに行って偶然に出会う。その家に異常な量の爆発物があって…という話。一筋縄ではいかない悪役の設定が後半のドタバタ感につながっていてちょっと残念だったかな。主人公の視点が警察官、探偵、犬、に変わるところはなかなかいい感じの書き分けで犬のパートが特に良い。探偵のシリーズは元軍人チームということもあってちょっと能力が高すぎて感情移入がし難いからもういいけど警察犬のシリーズは次が楽しみ。できたら単独のシリーズで出してほしい。

シャーロック・ホームズの復活 シャーロック・ホームズ・シリーズ

シャーロック・ホームズの復活 シャーロック・ホームズ・シリーズ アーサー・コナン・ドイル

ホームズ正典、中断して時間が経ってシリーズ何冊目か忘れてしまった。復活は! ワトソン先生のホームズへの崇拝と愛情が迸っていた。グラナダ版を始めたばかりでそろそろジェレミー・ブレットで再生されるようになってきました。グラナダ版いいねぇ。正典で読むよりホームズが「変わり者」であるとイメージしやすくなりました。ただし同時進行すると話が混ざる

白骨〈上〉

白骨〈上〉 M・ヨート

スェーデンのミステリシリーズの三作目。前二作が凄く面白かったので。主人公は凄腕の犯罪心理学者だが女たらしで協調性ゼロ、チームの嫌われ者、という設定。動機もいちいち不純で今回も一回寝たら家に居座ってしまった女から逃れるために捜査に参加する。 事件は人気のハイキングコースで偶然見つかった六体の白骨死体。四人は家族で身元が分からなくしてあり二人は着衣のまんまという複雑なもの。少ない手がかりから精鋭チームが核心に迫っていく過程がなかなか見事。このシリーズは二人のシナリオライターの合作ということもあってスピーディかつ分かりやすい展開が特徴でさらっと読めてしまう。そしてチームの人間関係も変化していくところが特徴。本作では主人公は殆ど捜査に参加しておらずチームの人間関係を複雑にしてるだけの役回りなのだがそれでもじゅうぶん楽しめた。終わり方がいろいろ含みを持っていて次作が早くも待ち遠しい

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月明かりの男

月明かりの男 ヘレン・マクロイ

ウィリング博士シリーズは刊行されたものをずっと追っているので、今回も散りばめられた伏線が収束していくラストは「待ってました!」といった所感で満足。ただ、犯人の言動で個人的に気になったところが謎解き段階で触れられなかったこと(私が見落としている情報があっただけか?)と、最後のウィリング博士の台詞にある言葉。ウィリング博士がそういう言葉選びをするだろうか?原著の言い回しを見てみたい……。

エクソダス症候群

エクソダス症候群 宮内悠介

宮内悠介の初の長編。火星を舞台にした精神病院のお話。宮内さんの作品は、自分の読書リズムと合っていて、スラスラ読めて心地良い。ストーリー自体は深くて重いのに、不思議です。これからも、追い続ける作家のひとりですね。

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行き先は特異点

行き先は特異点 大森望

日本SF傑作選の10作目です。今作はもともと好きな作家の作品が、やっぱり面白いという感想でした。藤井太洋、宮内悠介、上田早夕里ですね。7作目が販売好調だったため、まだ続けられるようです。SF好きな方は、良質なSFをこれからも楽しめるように、この傑作選の購入をお願いします!

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冬雷

冬雷 遠田潤子

因習に縛られた古い港町。名家に後継として引きとられた少年代助。義弟の失踪事件の犯人に疑われ、人生は狂っていく。 弟の遺体が発見されたという報せをうけ12年ぶりに町に帰った代助は、真相を求め過去と対峙する。 閉塞感のある町って本当に、怖い。辛い悲しい事も代助が誠実に生きようと頑張る人なので、前向きに読み進められました。真琴との恋愛もロミオとジュリエットのようです。