東京創元社の本

ミステリを書く! 10のステップ

ミステリを書く! 10のステップ 野崎六助

小説の書き方と言うか、その前段階の練習についても書かれている親切な本。ジャンルに限らず小説全般に通じる考え方な気もする。個人的には、また読本にお決まりの古典ミステリのネタバレに当たり、打ちひしがれるなどした。自業自得なので、いい加減に学習すべき。

魔術師ペンリック

魔術師ペンリック ロイス・マクマスター・ビジョルド

ビジョルドの新作は五神教シリーズの新作。 なんと本シリーズは2018年のヒューゴー賞最優秀シリーズ賞を受賞したとのこと。 今回の主人公は、田舎貴族の三男坊でお人好し美男子のペンリック。 本書は彼が偶然にも、あれよあれよと言う間に10人の女性と2匹の動物を宿した「魔」を受け継ぎ、彼女らの助けを借りながらやがて一人前の魔術師へと成長していく姿を描く3つの中編が収められている。 魔を管轄するのは曲者、庶子神であるから、当然ペンリックたちが遭遇するのも、ひねくれた変わった事件ばかり。 その度に彼とデズデモーナ(10人の女性たちの総称というか…)の名コンビが難事件を推理し解決する、というミステリー要素と、さらに過去のシリーズよりコメディ色が強い作品になっているので読みやすさはピカイチだと思う。 末っ子らしい愛嬌と素直さ、けれど意外と芯の強いペンリックは、老獪な女性(たちの集合体)デスデモーナも心を許し、厳格な王女からも信頼を得る、と熟女たちを陥落させるツボをしっかり押さえている。 そして複雑な設定と奇抜な登場人物たちを、自然にしかも無類の面白さで描くビジョルドの「読ませる力」に惚れ惚れする。 未訳作品もあるようなので、続編に期待。

夏を取り戻す

夏を取り戻す 岡崎琢磨

小学4年生の団地に住む仲良し5人組 1人ずつ失踪するという事件(?)を起こし親達に心配をかけている 記事にするべく乗り出した2人の記者 調べていくうちに 過去の事件との関わりに気付く 最初はちょっとした理由のために事を起こした子供達だったけど だんだん目的が変わってきて 話が大きくなってしまった 子供たちならではのトリックは 柔軟な頭で考えられてて よく出来てたけど やっぱりまだ子供だから 先の先まで考えられてないかなと思う やり方をちょっと間違えてる感はあるかな

ローマ帽子の謎

ローマ帽子の謎 エラリー・クイーン

新作劇“ピストル騒動”上演中のローマ劇場の客席で、弁護士のフィールド氏が毒殺された。現場から被害者のシルクハットが消えていたことを手がかりに、ニューヨーク市警きっての腕ききリチャード警視と、推理小説作家エラリーのクイーン父子が難事件に挑む!巨匠クイーンのデビュー作にして、“読者への挑戦状”を掲げた“国名シリーズ”第一弾の傑作長編。

ヨーゼフ・メンゲレの逃亡

ヨーゼフ・メンゲレの逃亡 オリヴィエ・ゲーズ

アウシュビッツの医者でガス室送りの選別をし、囚人達を生体実験でいわば拷問して殺したナチスの医者ヨーゼフ・メンゲレ。敗戦と共に親ナチスだったペロンのアルゼンチンに逃亡した彼がブラジルの海岸で心臓発作で亡くなるまで、をあくまで小説として描いた作品。同じ南米に逃げた戦犯でもイスラエルに拉致され処刑されたアイヒマンと違って最後まで逃げおおせた逃亡生活が追う者達の立場も押さえながらリアルに描かれていてさながらノンフィクションのようでもある。道を踏み外した医者の生家が今では消滅してしまったものの世界的な農機具メーカーであり比較的潤沢な資金援助が得られたこと、また追う側の中心であったイスラエルも中東戦争などより優先度が高い事案が生じたことなどもありあと一歩まで迫られながらも逃げおおせた逃亡生活は追手に怯えながらの惨めなものであったと描かれているのだけども果たしてそのようないわば同情的な筆致が必要だったのか、ベートーベンを口ずさみながら人の生き死にを決めていたという純然たる悪に対してはもっと過酷な運命があっても良かったのでは、などなど考えさせられる作品でした。読み物としてはかなり面白かった。

魔術師

魔術師 江戸川乱歩

とある一家を執拗に狙う犯人。その家の娘と滞在先で仲良くなった明智は、事件に巻き込まれていく。悲劇へのカウントダウン。悲しい笛の音。名探偵も先手を取られてしまう。これでもかと派手な事件が畳み掛けられ、真相もかなり扇情的。読者の心を惹き付け走り切る、大衆作家の本領発揮か。

探偵は教室にいない

探偵は教室にいない 川澄浩平

自主登校拒否をしている甘党鳥飼歩は、凄く頭が冴えていて、偏屈者だ。 日常の謎を、嫌々、推理解説してくれる。 人の心にズケズケ物言う酷い奴だが、ワトソン役の海砂真史が相手だと、笑えてくる。 内容はありがちだったけど、14歳っていう設定が中途半端で新鮮。子供に極めて近い青春ゾーンにいて、大人の顔もできる。ワクワクする世代の話です。

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白銀の巫女

白銀の巫女 乾石智子

オーリエラントの魔導師シリーズ【紐結びの魔導師】全3巻のうち2巻 1巻目で集まったキャラクターの姿をすぐに連想出来るまで、少々時間を要してしまったが、ここは押さえどころなのでしっかり頭に叩き込む。前巻での盛り上がりを復活させて、いざ! 余裕のあるリクエンシスもテンパってるお茶目なリクエンシスも大好きだ。 魔導師は闇と共に生きる。辛いです。 縦横無尽にキャラクター達は脳内で活躍しました。 最終ページまで読み進めたにもかかわらず、もう一枚めくってしまった私。そうだよね、3巻が最終巻でした。 早く次が読みたい。 大人ファンタジー渋い。 ああ、他の魔導師も読みたくなってきた。

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魔導の黎明

魔導の黎明 佐藤さくら

著者が巻末に書いたように、登場人物は欠点だらけで、欠点というか致命的な何かを背負っていたりするけれど、そういうものを一切持たない人間がいるだろうか? タイプの違う登場人物たちのそれぞれの悩みに共鳴し、疑問を呈し、呆れながら「私にもこういうところあるな」と思わされる。そこがこの物語の魅力なんだろう。 レオンが禁術の只中で感じた世界が、この物語の全てであるように感じた。

永遠の王〈下〉―アーサーの書

永遠の王〈下〉―アーサーの書 T.H. ホワイト

アーサー王のイングランド統一〜聖杯探し〜滅亡までが書かれています。ただ、完全にアーサー王伝説を知っていることを前提に書かれていて、重要な部分がかなり端折られています。ドラゴンボールで言えば最初の章が人造人間18号と戦ってるところで終わったはずなのに次の章ではもう18号とクリリンが結婚していて、セルを倒した時は〜みたいなことをキャラが言ったりするけどセルは登場せずセル自体の説明も特にないみたいな状態です。 もちろん、アーサー王伝説をちゃんと分かっている人が多い英国圏では問題はないと思うんです。でも日本でのアーサー王って「12人くらいの仲間を連れてイングランド統一した人で子供の頃に伝説の剣抜いた人、最後は悲劇的」くらいのイメージじゃないですか?仲間が誰でどの戦いで仲間の誰が死んだとか、統一後の聖杯探しとか若い王妃と王の右腕の騎士の不倫とかその騎士の子供の活躍とかアーサー王を裏切った騎士は誰かとか知ってる人ほとんどいないと思うんですよね。わたしもそうです。それなのに、そういうことまで知ってる前提で話が進むので、書いてないところで前巻から登場してたマーリンが幽閉状態になってたりイングランドが統一されたりして、読んでても何がなんだか分からないです。アーサー王に仕えた騎士がみんな知ってる前提で出てきて説明もなく喋り出すのも読んでて地味にきつい。いきなり知らない人が出てきて喋ってたと思ったら行の間で死んじゃってたりするし…。 このアーサー王伝説を知らないと読めないっていうのが、この本が日本で流行らない原因だと思います。でも、読んでみると一つ一つのエピソード、例えば聖杯を探す冒険譚とか、そこで語られる騎士のキャラクターとかはちゃんと面白いので、読まない方が良いとは思いません。ウィキぺディアのアーサー王伝説の項を参照しつつ読むのがオススメです。わたしもそれで乗り切りました笑。

内部の真実

内部の真実 日影丈吉

1944年。日本の植民地であった台湾で一人の軍人が死んだ。陸軍曹長と一等兵の間で起きた、色恋沙汰の果ての決闘騒ぎ。その結果としての死で片付けられる単純な出来事のはずだった。が。ありがちな密室殺人もののように幕を開けるが、日影丈吉お得意の民間伝承、純文学ネタがあちこちで暴発。人間関係も物語も錯綜し、あれよあれよというまに、パパイヤの濃厚な香り漂う亜熱帯を我々もさまようことになります。日影作品、ここのところ一年に一冊のペースで再刊されており嬉しい限り。