河出書房新社の本

ギケイキ2 奈落への飛翔

ギケイキ2 奈落への飛翔 町田康

待ってました。第2巻! 実兄の頼朝との再会から話は始まる。 現代のヤンキー言葉で語られる『ギケイキ』だが、当時の人間模様が活き活きと伝わる。 早く次巻が読みたい!

けちゃっぷ

けちゃっぷ 喜多ふあり

物語全編、ブログにアップされた口語の文章で書かれているのが、おもしろい設定だった。 意味はないよ 希望もないよ 恐怖もないよ 空っぽだよ みたいな、彼女が感じてる感触は、なんとなくわかる気もする。なんとなく 。 まともっていうのは誰基準かわからないものだ。 登場人物みんな、まともじゃないように見えて、でもこういう人たちっているのかもしれないなと思ったら、彼ら案外リアルだなぁって思ったり。 そもそもわたしだって、世の中の誰かからは、まともじゃないように思われてるだろうし、、 だから、みんなリアルなんだ。 世の中は、へんてこりんの集まり。 へんてこりんながらも、誰基準かわからないまともを、どうにかこうにかキープして生きてるっていうことか、、

はい、チーズ

はい、チーズ カート・ヴォネガット

「耳の中の親友」-心の内なる声と会話をすることができる補聴器型の新製品「コンファイドー」を作った男は一攫千金の夢を見る… 「FUBAR」-重病の母親の医療費を稼ぐために閑職をやめられず、拗ねたように生きていたファズの元にある日、美人の新入社員が部下として配属されて… 「エド・ルーピーの会員制クラブ」-結婚式記念日に予約したレストランで街の有力者と喧嘩になり、殺人犯の罪を着せられ収監されてしまう夫婦の一夜の物語… などの短編が14編収録されている。去年、カート・ヴォネガットの、スローターハウス5、猫のゆりかご、タイタンの妖女(これは訳が合わなくて挫折…)などを読んで、普通ではない物語構成とアンチクライマックス的な展開に驚いたけれど、この短編集は、どれもちょっと不思議なアイディアと、技巧的なストーリーテリングに、素直にわくわくさせられる感じでどれも上手い。 喩えるなら、奇怪な絵を描くピカソのデッサンは驚くほど上手い、というあの逸話のよう。 どの短編も満足感があるし、なにしろ彼の引き出しの多さに驚かされた。

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出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと 花田菜々子

作者の花田さんをとても他人とは思えず読んでいた。出会い系サイトで本を勧めるという健全ではないけれど健全な、さまざまな人との交流記録。浮世離れしていなくてドラマチック。実体験だからこその文章の演出、実際に出会い系サイトで知り合った人と会うときの空気感、雰囲気など文章が苦しくなくて巧妙で読みやすい。わたしもこんなふうに生きたい、いや、わたしはこんなふうに生きなければいけない、と思った。自分の培った読書体験はいつか生きる。そう願って。いつか大根仁あたりが映画化してくれるんじゃないかな、と思う。あとそのうち花田さんはセブンルールに出演する気がします。個人的観測ですが。

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「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝

「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 荒川佳洋

昭和四十年代に絶大な人気を得、その後「あの人は、わたしたちを騙していたんです」と当時少女だった人達から言われてしまうようになった作家の評伝。ジュニア小説から官能小説に転向したと思われがちだが、実際は発表舞台を選ばず常に自分の書きたいものを書き続けた作家だった。朝鮮で生まれ引き揚げ船で福岡に渡った少年時代。苦学生だった早稲田時代。大江健三郎や小田実などの観念的で群れる作家らを軽蔑し文壇から距離を置いた生き方。富島の作品にはストイックに生きる少年少女の生と性が凛々しく描かれます。その源泉がわかる一冊。

選んだ孤独はよい孤独

選んだ孤独はよい孤独 山内マリコ

すごい面白いわけじゃないんだけど、話がうまい仲の良い友達にみんなの近況とか思い出話を聞かせてもらってるような良さがある

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さざなみのよる

さざなみのよる 木皿泉

『だからぁ死ぬのも生きるのも、いうほどたいしたことないんだって』 『人生に取り返しのつかないことってないのね』 水面に落ちたひとしずくが波紋を広げるように、心にじわじわ残りました。 装画は荒井良二。

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楽園への道

楽園への道 マリオ バルガス=リョサ

ペルーの大統領選挙にも出たことがあるノーベル賞作家バルガス=リョサが描くゴーギャンとその祖母の物語。血縁以外に直接の接触がないこの祖母と孫の物語が交互に進んで行く形式。何故、ペルーの作家がフランスの画家を取り上げるのか、と思ったらゴーギャンの祖母はペルー人がフランスで産ませた私生児なんだそうだ。金融業界で成功していたのに絵にハマり、同居していたゴッホが自分の耳を切り落とした現場にも居合わせた上、最後はタヒチに渡ったダイナミックな画家の生涯はそれだけでじゅうぶん物語になると思うが祖母はそれに輪をかけて凄い人だった。私生児として産まれ、勤めた工場の主に見染められて結婚するもどうしてもその男に耐えられず当時の女性にしては考えられない行動〜家庭からの脱走〜にでて、夫から逃げる過程で自らのルーツを知ってペルーに単身渡航、そして再びフランスに戻り、女性の地位向上と労働者の地位向上の活動家となってイギリスやフランス各地で労働組合を作る活動をしていたのだそうだ。マルクスよりも前に労働者の団結を訴えていたこの女傑の話と、芸術に導かれて「真っ当な」人生からどんどん足を踏み外していくその孫の話が交互に。これが面白くならないわけがない。南米文学によくあるマジックリアリズムとは違い硬質だけど人称の混在と使い分けによって読むものを幻惑するような独特の感じも良くて素晴らしかった。

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