河出書房新社の本

総特集 森見登美彦

総特集 森見登美彦 河出書房新社編集部

『熱帯』を読み終わった時確信した。 これはモリミーの集大成だと。全部入りだと。 そして時を同じくして15年を振り返るこの本が出た。 あまりの充実さ、内容の濃さに カルピスの原液かと思った。 ロングインタビュー、全著作解説エッセイ、 単行本未収録小説などなど。 何より最高だったのが盟友明石氏との対談。 夢かよ!と。リアル『太陽の塔』じゃねぇか!と。 『熱帯』は「読み終わるのか?」と思ったが、 この本は「読み終わりたくない!」と心底思った。 ともあれこれより森見登美彦は、 フェーズ2に移行する!

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見ていないことにして

見ていないことにして 似鳥鶏

怖っ!タイトル違うやん怖っ!! ミステリ作家(かな?)似鳥鶏の書くホラー短編集。 『100億人のヨリコさん』でなかなかのホラー描写を見せつけた作者が、再び読者を追い詰める。 13の短編はどれもなかなかの作品だけど、特に怖かったのは『痛い』という作品。最後の『視えないのにそこにいる』も怖いけど面白くて好き。 何事もなく過ごしていた登場人物たちに、理不尽に襲いかかるホラー的存在。ホラーとは、日常の連続にできた見てはいけない裂け目なのかもしれない。 余談だけど、この本が気に入った人は「SCP」という単語で検索するといいかもしれない。本じゃないけど、怪奇な話に色々接することが出来るかと。

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俺のオーディオ

俺のオーディオ 寺島靖国

インシュレータの置く位置や個数、ケーブルで一喜一憂。最高の音に出会えてもしばらくすると次を探す。仲間のいい音を聴いて打ちのめされる。とても楽しそうである。何より「いい」ではなく「俺の」音を探しているのが格好いい。ところで塩梅って音楽好きの口癖でしょうか。再読。

旅する温泉漫画 かけ湯くん

旅する温泉漫画 かけ湯くん 松本英子

松本英子先生といえば、エッセイマンガの人。 私はそんなイメージです。 このマンガでは、ネコに扮した作者が全国津々浦々の温泉を巡り、そこで感じた事を数ページのカラーにまとめています。 豪華な温泉というよりは、大衆浴場を好んでいるらしく、身近に感じます。 例えば、観光地を紹介するガイドブックだと有名処をこぞって紹介したがりますが、このマンガは“その場所で感じた本人の気持ち”を大事に描かれていて、温泉だけじゃなく、松本英子先生の人柄も見えてきます。 そういった所が、エッセイマンガの魅力の一つだと思います。

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クイーン

クイーン 

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観て、久しぶりに本棚から引っ張り出して再読。 もうすぐ自分もフレディが亡くなったのと同じ歳になるのかと思うと、未来に何かを遺す仕事をしなくては、と焦りを感じます。

すみれノオト ---松田瓊子コレクション

すみれノオト ---松田瓊子コレクション 松田瓊子

日本にも、戦前まではこんな「良識ある両親に育まれ、クリスチャンとしての信仰を守り、純粋で無垢で可憐なお嬢さん」が本当にいたんだなぁ… 今はもう、絶滅してしまった、そんな「お嬢さん」の描く、可憐で繊細で美しい物語。 美智子妃殿下が作者の愛読者だったのも頷ける。 ただ、作中で、19歳の自分を「こども」と自称するのはどうなんだろ?昔はもっと早熟だったのでは(女学校卒業してすぐ嫁ぐとかありふれた話だったみたいだし)?今の19歳の女の子でも自分を「こども」とは言わない気がする…ちょっと違和感。

アメリカ死にかけ物語

アメリカ死にかけ物語 リン・ディン

著者はアメリカ各地の場末バーや高速バスで現地に生きる地べたの人びとの声を丁寧に拾い上げていく。そしてそのまなざしは突き放しているようでやさしい。彼らの姿は著者のブログで見ることができる。地名をクリックlinhdinhphotos.blogspot.com 長距離バスの銀色に輝く車体はガンズアンドローゼスの1987年のヒット曲「welcome to the jungle」PV、冒頭でアクセルローズが下車する時に一瞬映ったイメージが強烈に焼き付いている。そういえばアクセルの30年後の成れの果てのようなゴツいターコイズブルーの指輪をはめた男も本文中にいた。

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マルセル・デュシャンとは何か

マルセル・デュシャンとは何か 平芳幸浩

『《大ガラス》がウェットなのは、作品をただ鑑賞するだけでなく、デュシャンの思考を探索すればするほど、より「深く」理解できるような仕組みになっているからである。この「深み」にハマる楽しみがたまらないと感じる人も多くいたのだ。』 長い引用ですが。

ジャック・オブ・スペード

ジャック・オブ・スペード ジョイス・キャロル・オーツ

優れたサスペンスの書き手であり毎年ノーベル賞候補とも呼ばれている作者の比較的長い作品があったので手に取ってみた。主人公は作者と同じくサスペンス作家。それなりに売れっ子で割と上品な作風が特徴なののだが実は家族にも出版社にも内緒で別名でハードで下品なサスペンスも出している、という設定。それがある日、地元の老婦人から盗作で訴えられてしまう。訴訟そのものは根拠もなくまた、資産家の末裔である老婦人がなかば趣味のように訴訟を起こしている人物であることからあっさりと片がつくのだがそれをきっかけに作者の上品で地元の名士という顔の下から狂気が芽生えてきて…という話。なんとなくいけ好かない奴だなという出だしから主人公の嫌な部分がどんどん露わになってきたかと思うと最後は一気に狂気が噴き出して、という流れが怖い。実力者だけに読み応えのある作品でした。

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