筑摩書房の本

おにいちゃん―回想の澁澤龍彦

おにいちゃん―回想の澁澤龍彦 矢川澄子

澁澤龍彦の最初の妻だった矢川さんによる回顧録。澁澤の死後に書かれています。書くことを躊躇したというフレーズが何回も出てきます。しかし矢川さんは書いてしまった。しかも澁澤の仕事に自分が関与していたこと、澁澤との性交渉などについて克明に書き綴ってしまった。相手は故人で最早なにも弁明出来ないのに。そのくせ延々おにいちゃんと呼び続ける。これは個人的なノートかなにかに書いて秘しておくべきだった文章だと感じました。そんな矢川さんも自ら命を絶ち、みんな《彼(THEY)等》となった。もう、それでいいのではないでしょうか。

電遊奇譚

電遊奇譚 藤田祥平

「どうしてこのゲームがあんたにそこまでの影響を与えたのかはわからない。たぶん、あんた自身にもわからないだろう」 ゲームと、それにまつわる人々についての奇なる譚。ある種の人間、もちろん私にとってもだが、ゲームというものは不思議な郷愁を呼び起こす。それは常に人生に寄り添ってきたものであり、誰かの手によってそれが創造されたこと自体が、ひとつの救いである。

B.C.1177

B.C.1177 エリック・H. クライン

今のギリシャ、トルコ、シリアからパレスチナ辺り、イラン、イラク、エジプト、当時の国名だとミノア・ミュケナイ、ヒッタイト、ミタンニ、カッシート朝バビロニア、エジプトといった辺りは紀元前1300年頃をおそらくピークとしてかなり高度な文明がありグローバル文明としか言いようのない交流と繁栄をしていたのだという。これが紀元前1177年辺りに一気に崩壊し、エジプトを除く国々は滅んでしまいギリシャに改めて文明が興るまでに数百年を要した、そしてこれら文明の消滅は「海の民」による侵略と破壊が原因と言い伝えられているのだという。本作はその滅亡の原因が本当に侵略によるものなのか、を検証しようという試み。前半では滅ぶ前の繁栄が描かれているのだがこれが想像を超えて素晴らしく、沈没船や粘土板に彫られた文書から多くのことが分かっているのだが、当時の大国同士は縁戚や貿易で頻繁にやり取りしあっており貿易の量も銅が10トンとかそういうレベルでやり取りがされていたのだそうだ。文書も大量に発見され解読されており例えばパビロニアの王がエジプトのファラオに「金を贈ってくれたら娘を一人差し上げます」みたいなものまで発見されているのだという。後半ではそれらがいかに滅んでしまったか、の検証が行われるのだがこちらもかなり説得力のある論旨展開がされており興味深かった。かなりの面白さ。図版の類がもっとあるとより良かったと思う。おすすめです。

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鉄を削る―町工場の技術

鉄を削る―町工場の技術 小関智弘

・・・いったん機械に押し込められたノウハウは、孤立したものとなり、やがては陳腐化するものです。誰が、次のノウハウを育てますか?・・・

ロボッチイヌ: 獅子文六短篇集 モダンボーイ篇

ロボッチイヌ: 獅子文六短篇集 モダンボーイ篇 獅子文六

思った通り短篇もよかった 千野帽子さんのチョイスが作品の魅力を倍増させています 登場人物の洒落た会話や、呆気ないけど印象的な終わり方 私小説風な作品も新鮮で大満足な一冊でした 他の作品も刊行されますようにー

魔術的リアリズム―メランコリーの芸術

魔術的リアリズム―メランコリーの芸術 種村季弘

1920年代、ヴァイマール共和国にて表現主義への反対命題として登場し、ナチス成立によりあっけなく終わった美術界の現象について書かれています。8名の画家については代表的作品の解題が行われます。静かで美しい作品群です。特に表紙を飾るエレボー『隠者』、草創期の飛行機へのこだわりが足穂を思わせるラジヴィルの『ストライキ』、シュリンプフ『窓辺の少女』が印象的です。後半ではオランダやアメリカへの影響にも触れられます。2004年にキールで回顧展が行われたと解説にあり、地図検索しました。遠いな・・。

人生居候日記

人生居候日記 種村季弘

数年に一度読み返すエッセイ集。読み返すたびに印象に残る文章が変わる。初読時に強烈だったのは、タライを酒で満たした中に男性が2人あぐらをかき、互いのタライの酒をひたすら柄杓ですくい飲み比べという『酒の上で死ぬ』。おしゃれなエッセイと程遠い、尿臭と便臭漂う文章にたじろぎページを閉じたが、この方の発する猥雑さには惹きつけられた。それから二十数年。団体旅行の群れに脅かされながら一人裏町を歩く『あまのじゃく旅行術』、居酒屋で飯食うなという『酒場ぎらい』に今回は惹きつけられました。人生居候っていう佇まいがいいですね。

雲と鉛筆

雲と鉛筆 吉田篤弘

新書の形をしていますが、物語です。 作者がクラフト・エヴィング商會名義で作った『クラウド・コレクター』はお気に入りの一冊で、なんとなく繋がりを感じて購入。そのことについては、あとがきに色々書いてありました。 物語です。たくさんのエッセンスが散りばめられた寓話のようなファンタジーです。ありそうで実在しない街に住む、いそうでいない一風変わった男が主人公です。シンプルすぎるほどにシンプルな暮らしは、どこかに寂しさを感じます。その寂しさは馴染みのある寂しさというか…なんというか愛おしい寂しさです。たぶんそれは、物語の風景がシンプルで丁寧で、しかし一瞬のものであるという切なさに寄るのではないかと思っています。 私はこういう物語がとても好きです。 読み終わった後の静けさが好きです。

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リッチウーマン―人からああしろこうしろと言われるのは大嫌い!という女性のための投資入門

リッチウーマン―人からああしろこうしろと言われるのは大嫌い!という女性のための投資入門 キム・キヨサキ

・投資を「どつしてもやらなければならない理由」 ・経済的に自立した状態 ・「経済的な自立」とは正確には何を意味するか? ・資産からのキャッシュバックが生活費をまかなう ・資産とは、あなたが働くのをやめても、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの ・負債はあなたのポケットからお金をとっていくもの ・お金で困り、豊かな暮らしができない大きな理由は、資産だと思い込まされてきて、本人もそう信じて所有しているものが実は負債だから ・キャピタルゲインは一回限りの収益、キャッシュフローは継続する収益 ・わからない言葉があったら辞書を調べて、意味がわかってから進め ・3つのルール ①毎日語彙を増やす②質問する③そうできる時はいつでも「ばかに見える」ようにする ・痛みには二つある。失敗の痛みと、後悔の痛み。 ・お金を失うことに対する恐怖、間違いを犯すことに対する恐怖。それを減らすには教育と経験を積むこと ・恐怖を感じたときにそれをコントロールすることが大事。何も考えずに進みなさい ・まず、投資先をみつけて、それからお金を作る ・私にはできないというと、頭が自動的に回路を遮断。どうしたら買えるようになるか?自問する。 ・入ってくるお金全てに関して、プラン通りに同じことを繰り返してやる「習慣」。自動的にそれができるようになる。 ・投資、慈善(何かもらうためには与えなくてはいけない)、貯蓄 まず自分に払う=将来ら経済的に自分の面倒を自分でみるためのもの ・ ・女性がまず第一歩を踏み出すこと、つまり主導権を、握ること ・お金は人生で一番大事なものではないが、一番大事なものすべてに、影響を与える ・お金についての話 ①両親はお金についてどのように話してくれたか? ②あなた自身の考えは両親の考えと違っていたか? ③あなたにとってお金はどんな意味があるか? ④とてもお金持ちな人に関して、全般的にどんな印象を持っているか? ⑤とてもお金持ちときうのはどれくらいの金持ちをさすか? ・優秀な投資家を目指す女性にとって有利な8つの点 ①女性は「わかりません」を言うことを恐れない 実に多くの答えを学ぶチャンスが得られる ②助けを求めることをためらわない ③買い物上手 ④宿題をきちんとやる ⑤リスクを嫌う ⑥男性よりずっと自負心が少ない ⑦何かを育てるのが得意 ⑧他の女性からうまく学べる ・自尊心は行動から生まれる ・参加するだけで9割がた成功 ・プロセスをはじめる ①あなた自身の理由 ここにきた理由、経済的に自由になるために必要なことをやろうと決心した理由 ②今どこにいるか 自分の裕福度を知る 1)毎月の支出リストを作り、合計をけいさん 2)貯金やすぐに売却、現金化できゆ株式など、投資からのキャッシュフローの合計を計算 3. 2)÷1)が裕福度 ③どこに行きたいか 1)キャピタルゲインかキャッシュフローか 2)ゴールは何か ④どのようにしてそこまで行きたいか 1)主な投資対象を何にするか? 2)決めた投資対象の中で、どんな商品に焦点を合わせるか? 3)ゴールに到達するまでの時間割は? ・成功する投資家になるための鍵 ①教育を身につける ②小さく始める ③少しだけお金をつぎ込む ④自分の家から遠く離れない ⑤勝つように自分を持っていく ⑥知り合いの輪を選ぶ ⑦投資はプロセス ⑧つねに学び続ける ⑨楽しむこと

本好き女子のお悩み相談室

本好き女子のお悩み相談室 南陀楼綾繁

タイトルに惹かれて。一箱古本市で出会った本好き女子たちの悩みを聞き本を紹介して行くブックガイド的一冊。作者は男性。今まで知らなかった作者や新しい本に出会えた。本を通して読みたい本が増えるのは嬉しい。

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さいごの色街 飛田

さいごの色街 飛田 井上理津子

確かに日本ではもはやここだけ、と思われる特殊な街を描いた作品。特段風俗好きというわけでも無いのだが性風俗ものには何か心惹かれるので手にとってみた。本業は旅行が専門の女性ライターがたまたま宴会で訪れた飛田に興味を持ち12年かけて取材したものらしい。昔からの色街で古い形態のまま商売してるのは確かにもう飛田くらいなのかも知れない。作者のスタンスがこの特殊な街のことを世間に知らしめたいというだけで変に悲惨さを強調したりせず事実を淡々と述べているところが良い。アポなしでヤクザの組事務所にまで取材をかける根性にも驚かされた。読んでて気持ちのいい話では無いが変な偏りがないので読めたのだと思う。興味深い街だし面白いと思ったがおそらく一生行くことはないだろう。本だけでじゅうぶん。