筑摩書房の本

ソーシャルワーカーという仕事

ソーシャルワーカーという仕事 宮本節子

著者の経験を踏まえてソーシャルワークとは何なのかを教えてくれる。著者も迷いながら自分なりの答えを見つけ、それが信念になっていったのだと感じる。 世の中の矛盾や自分の感じたことのない苦しみを抱える人と向き合い判断に迷う時、どうしたら良いのか。著者なりの答えが一貫して示されているように思う。その答えを限りなく正解にする為にも、毎日自分の気持ちと照らし合わせ考えながら、丁寧に行動して行かなければならないと思わされました。

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身近な虫たちの華麗な生きかた

身近な虫たちの華麗な生きかた 稲垣栄洋

雑草版に惚れ込んでしまって、うっかり買った「身近な」シリーズ。 昆虫なんて別に好きではなかったんだけれど、そんな事を忘れさせる面白さ。 みんなの嫌われ者は能力だけ見るとやたら強いとか、毎年6月に我が家に出る大量の羽アリは、どうやら子孫大繁栄の結果らしいとか。 昆虫は好きじゃないけど、でもなんか観察したくなる、なんだかそんな本。

戦闘破壊学園ダンゲロス

戦闘破壊学園ダンゲロス 架神恭介

フラグとかバキバキに折って、いい具合にスカしてくれた印象。最初は誰が勝つんだろーとか楽しく妄想していたところに予想外の結末。登場人物全員根が悪い奴じゃない。だから予想外の展開になっても気分は悪くならなかった。

おかしな男 渥美清

おかしな男 渥美清 小林信彦

子供の頃は、近所のおばさんに映画館で任侠映画ばかり見せられていた。したがい昭和48年の正月、中一の時に立川で見た「男はつらいよ 寅次郎夢枕」(第10作)と同時上映のドリフターズの映画は良く覚えている。映画館は大爆笑の渦。今、思えば大したギャグではない。「おい、さくら、そこのミドリ取ってくれ」。これだけでも場内大爆笑である。日本人が車寅次郎に洗脳されていたのかもしれない。 で、本書は渥美清という人間を描いたノンフィクションの傑作。作家の小林信彦さんは20代の頃から渥美清と親交があった。「夢で会いましょい」の頃だ。初めて渥美清が小林さんに挨拶した言葉が「金が欲しいねぇ」。そして「アベベは純情な青年なんだねぇ」「戦争は起こるかねぇ」と続く。このつかみの良さからハマってしまい、ほぼ一気読みだった。 「彼は複雑な人物で、さまざまな矛盾を抱え込んでいた。無邪気さと計算高さ。強烈な上昇志向と自信。人間に対して幻想を持たない諦めと、にもかかわらず、人生にある種の夢を持つこと。肉体への暗い不安と猜疑心。非情なまでの現実主義。極端な秘密主義と、誰かに本音を熱く語りたい気持ち。ストイシズム、独特の繊細さ、神経質さをも含めて、この本の中には、ぼくが記憶する彼のほぼ全てを書いたつもりだ」。車寅次郎とは全く違う渥美清が450ページの厚めの文庫本に描かれる。 本書で「男はつらいよ」が登場するのは、後半以降。前半はテレビ創成期の頃の作家と渥美清との交流、当時の俳優やコメディアンと渥美清の関係が中心に描かれる。小林さん自身が「記憶力には自信がある」と書かれている通り、その描写には真実味がある。伴淳三郎、植木等、フランキー堺、ハナ肇、などなど、昭和のコメディアンが続々と登場する。 中盤に「男はつらいよ」の詳細な評論があるが、これも楽しい。ただ、渥美清が45作目以降、病魔におかされながら寅さんを演じる様子は痛々しい。個人的には初期の方が好きだ。 個人的ベスト3は「第1作」、長山藍子がマドンナの「望郷篇」、榊原るみの「奮闘篇」。渥美清ファンは必読の★★★★★。

ユーラシア帝国の興亡: 世界史四〇〇〇年の震源地

ユーラシア帝国の興亡: 世界史四〇〇〇年の震源地 クリストファー・ベックウィズ

はるか昔はタタール人やフン族のアッチラ、匈奴からチンギス・ハーンなど、中央アジアの部族はユーラシアを席巻してきた。フン族はゲルマン民族の大移動の原因となり、万里の長城は匈奴を防ぐために作られたという話は普通に聞いてきた。要は周囲を武力で制圧する、騎馬を中心とした好戦的な戦闘民族というわけだけれど、実はそうではなかったというのが本書の眼目。彼らは交易を求めていたのである。その原因は、指導者と深い絆で結ばれたコミタートゥスの維持であった。深い絆というと誤解を招きそうだが、要は命がけで支配者を守る代わりに気前の良い見返りを受け取る親衛隊のようなもの。コミタートゥスはユーラシア全体に広がったが、維持は大変だ。それゆえ、交易が必要になる。侵略ばかりではコミタートゥスの維持費を賄えないからだ。 シルクロードはそうした交易の一大ルートであった。ただし、交易ルートにとどまらず、多様な文化を伝えた巨大な民族交流システムであったという。 しかし、現在、中央ユーラシアは文化的にも経済的にも立ち遅れている。大陸ルートに対して海洋交易のルートが沿岸部で発展してきたからだ。近年はますます海洋ルートが発達しており、中央ユーラシアの再興は歴史的に見ればなかなか難しいようだ。 最後に、やや唐突ながら、モダニズム批判が繰り広げられる。そのモダニズム批判は建築やら芸術におけるモダニズム運動を多少学んでいれば頷けるところも多いはず。たしかにモダニズムは世界を均質的に見る価値観に基づくものであるがゆえに、バナキュラーな文化を駆逐しがちであることは事実だろう。多数の資料に基づいて丁寧すぎるほど丁寧にまとめられているので退屈なところもあるが(なのにこの本は専門書ではなく一般書として書かれたものだそうだ)、これまで聞いてきた常識を覆すにはいい本。

算法少女

算法少女 遠藤寛子

安永4(1775)年に刊行された「算法少女」という実在の和算書をもとに書かれた少年少女向け歴史小説。 240年以上も前の江戸時代に本を出版するほど算学(数学)に優れた少女がいたという事が驚きである。著者の少女の事は詳しく歴史には残っていないらしいが、当時の若い女性が学をしかも当時はまだ見下されがちだった算学を極めるというのはどんなに大変だっただろうか、と思う。 しかしこの物語は爽やかに晴れ晴れとしている。 文中に出てくる問題も学生時代を思い出して懐かしかった。

まんが 人体の不思議

まんが 人体の不思議 茨木保

独特な味のある漫画。特に看護師のウニちゃんが独特で、癖になる。 系統発生学から考えたり、解剖学の側面から考えたり、様々な臓器や仕組みをわかりやすく、しっかり書いてある。中学理科や高校生物より発展的で、教科書より断然面白くてわかりやすい。 何より、医学は膨大な実験の成果である点を隠さないところがいい。「すごいなー面白いなー」だけじゃ済まされない凄みを、さらりと示してくれる点も良かった。

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リアル人生ゲーム完全攻略本

リアル人生ゲーム完全攻略本 架神恭介

設定はなかなか面白かったのだが攻略本がどっかで見た経済の新書そのものだったのが残念。もっと現実をデフォルメした内容に振ってくれたらよかった。ああ、だから新書なのか。

アレント入門

アレント入門 中山元

『人間の条件』を読む、ために読んだ。 労働・仕事・活動という人間の行為の分類(pp.77-89)や、市民と住民の違い(pp.92-93)、〈見えざる手〉と支配の問題(pp.96-97)、権力の三つの特徴(pp.111-115)など、ハッとさせられるアレントの思考がコンパクトにまとめられている。 なかでも面白かったのは、アレントの世界の説明の仕方。世界とは「事柄が公的になる空間として、人間が生きる空間、それにふさわしく見えなければならない空間」のことである(p.17)。とても独特だと思う。そしてこれを実現するためには次の2つのことが重要だという。 ①話すことを含めて、公的な場で発言し、みずからの思考を明らかにすること。 ②人々の間に人間関係の網の目としてのネットワークを作り出し、そこで行為すること。 これらを支える空間・領域をどう実現していくか、思考し活動へとつなげていきたい、、

現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護

現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 岩田正美

仕事で貧困層と関わることが多く、彼らの不利な状況を目の当たりにしてその原因と解決策を知りたくなった。この本には、今まで知らなかった貧困となりやすい職種や生き方、また社会的背景と今後の対策のあり方が書かれている。新書なので初心者向け。私にはちょうど良かったが、さらに学びたいとも思わせてくれる一冊だった。

カニバリズム論

カニバリズム論 中野美代子

てっきりカニバリズムの歴史などについて語るのかと思ったら、カニバリズムの行為そのものについての論集。筆者の専門は中国文化らしく、「狂人日記」などを用いて「中国における食人文化」について論じている。話自体は面白いな、と思ったけれど、この特異性は中国だけなのかな?

高校図書館デイズ: 生徒と司書の本をめぐる語らい

高校図書館デイズ: 生徒と司書の本をめぐる語らい 成田康子

自分が高校の時、これ程深く本について考えた事があっただろうか?今も無いな。。大人になってもちゃらんぽらんに読んでます。笑 未来の大人達の言葉に、ちゃらんぽらんな大人はちょっと感動。 本を読む時は孤独「暖かい孤独」いい言葉です。 本への向き合い方が、登場する高校生となんら変わらない自分にびっくり。そして、同志だ!と勝手にほくそ笑んでいます。

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12歳からの現代思想

12歳からの現代思想 岡本裕一朗

現代思想を学ぶ入り口として最適。わかりやすいし、比較的現代思想の中でも常識的なモノを選んで解説してくれているのだろう、どのテーマももっとよく知りたくなってくる。現代思想ってモノの見方や考え方を学ぶ学問なんだろうな。ただ、興味は出たけど一貫したテーマが一冊を通してあるわけでないので、とっちらかってしまっている印象。

僕らの社会主義

僕らの社会主義 國分功一郎

社会主義に対する印象が大きく変わった。社会主義の基本はみんなで分け合うこと、そして楽しむこと。どちらも今の社会で必要とされていることだと感じた。 また、社会主義で一番大切なのは教育だと感じた。持っている知識をみんなで楽しむために惜しみなく人に与える。それが社会主義の一番ベースとなる形なんじゃないかと思った。 二人とも実際に地域の活動に参加している人たちなので、言葉に説得力というか現実味がある。理想を語るだけでなく、それをどう実現すべきかを常に考えている印象を受けた。