講談社の本

高架線

高架線 滝口悠生

西武池袋線東長崎駅にある築50年家賃三万円のアパート「かたばみ荘」では住人は引っ越しの際に、自分の住んでいた部屋の次の住人を探してきて大宅に斡旋する変わった習わしがある。この物語はそんなアパートでの終末期の16年を過ごした住人達によって紡がれていく。 「上り線で所沢を出て、まだところどころ畑や雑木林のある東京の市部から、列車はやがて住宅の立て込んだ練馬区に入る。窓外の景色が家々の高さを超え、線路が高架となるのは練馬駅の手前あたりで、やがて戸建の家と、低層のマンションがほとんど隙間なく並ぶ景色が遠くまで抜けて、その奥というか途中に、としまえんのバイキングやタワー状の乗り物が小さく見えた。」P3 いや、高架になっているのはもっと手前からなのでは?と思いきや物語は16年前の2001年から始まる。(西武池袋線高架複々線化は2015年に完了これにより桜台から大泉学園までが高架となった。) 冒頭「線路が高架となるのは練馬駅の手前あたり」だが16年を過ぎた物語後半では練馬駅から一駅前の中村橋を過ぎても「また電車が駅を出て、高い眺めが窓の外に見えた」となっている。しかし視点は変われど「敷き詰めたみたいに戸建の屋根が奥まで続いていた。あの全部の屋根の下に人が住んでいると思うと、気が遠くなるほどたくさんの生活だ。遠くに、遊園地が見えた。あれはとしまえんです、と歩さんが教えてくれた。」P230と車窓から眺める風景は変わらない。 繰り返しになるが西武池袋線上りの練馬付近の車窓風景は北西から秩父連山、谷原付近のガスタンク、光が丘の団地群と清掃工場の煙突、としまえん、遠くにさいたま新都心、更に遠くに日光連山、そして北東に筑波山を望むあきれるほど広大な関東平野に連なる家々とその生活は「かたばみ荘」の住人の様に続いたり途切れたりまた繋がっていくのと重なっていく。 補足 「高架線」では中村橋に住居を構える場面も出てくるのだけど、「プレーンソング」保坂和志著も中村橋が舞台だった。中村橋書店、練馬美術館、貫井図書館、やきとり川名、パン工房YOU、プロスペール、センプリチェ、西友(線路横からガード下)までとても暮らしやすい。各駅停車ならではの長閑さも。 2017年に現れた西武池袋線沿線小説。

伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~

伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ 周木律

堂シリーズの4作目。あとがきにて、全7作と発表されました。シリーズも中盤に差し掛かり、まさかの展開です。まさに起承転結の転です!賛否両論ありそうな転ですが、どんでん返しもあるかもしれないので、あと3作を見届けようと思います!

らもチチわたしの半生 青春篇

らもチチわたしの半生 青春篇 中島らも

音楽家のチチ松村さんと小説家の中島らもさんが自分の子ども時代から20代前半の青年代まで話し、相手の話を聴いてコメントする対談の本。らもさんが小さい頃初恋の子をウチでパンツをかぶって待っていたこと。チチさんがリボンの騎士のサファイアにはまり、学校の女の子が髪を切ったらサファイアにそっくりに見えてやられてしまった話。らもさんの高校時代、火薬の取扱に長けた男が高校の石垣を火薬で爆破してしまった(らしい。かなり危ないが僕は好きなエピソード)話など。緩い、切ない、どうしようもない話の数々と、お互いがお互いのことをいい具合に知っている感じがします。読んでいて心地よい対談の本。

波よ聞いてくれ(4)

波よ聞いてくれ(4) 沙村広明

相変わらずの画力と、凄まじい会話のグルーヴ感。酔った女の説教で1話持たせるのはこの漫画くらいであろう。私もどうしようもなく他愛のない人間なので、ミナレの破天荒さはあまりにも眩しい。「これはちょっと…ならないですよねぇ…聞き捨てが」

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緑の窓口 ~樹木トラブル解決します~

緑の窓口 ~樹木トラブル解決します~ 下村敦史

小学生ぐらいの頃、初めて樹木医という職業を知って、すごく憧れた時がありました。この本を見つけた時、その頃がすごく懐かしくなってきて、いつの間にか手に取ってました笑 主人公は区民の植物関連の相談に応対する「緑の窓口」担当の男性区役所員。ある日見かけた美人な樹木医さんに一目惚れし、その人と、職場のモテモテ先輩と一緒に樹木の謎を解決するお話です。 あいにく、私は樹木医さんのような感受性を持ち合わせておらず、あまり感情移入はできなかったんですが。。でも、ストーリー自体はポンポン進んでとても読みやすかったです!それに樹木のトラブルって結構多岐にわたるんだな、と普通に勉強になりました。 お話も面白いですし、植物好きな方には是非読んでいただきたいです( ´ ▽ ` )ノ

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興亡の世界史 オスマン帝国500年の平和

興亡の世界史 オスマン帝国500年の平和 林佳世子

興味あって第一次大戦の本を読んでたら参戦国の中のトルコってオスマン・トルコだったんだ〜世界史取ってなくて知識がまだら(笑)〜と思ったら俄然興味が出てきて。中東はじめ紛争地帯を曲がりなりにも平和に治めてきた帝国とはいかなるものなのか、ということでなんとなく網羅されてそうだったから。500年の歴史をコンパクトにまとめてあって分かりやすい。一番興味深かったのはオスマン帝国とはオスマン・トルコではない、ということ。トルコ系のオスマン家が君主だけどルーツはどちらかというとバルカン半島にあって支配層の半分くらいは非イスラムだったりする「誰のものでもない帝国」だったということかな。確固たる官僚システムと宗教への寛容性があれば頭は腐っても国家は保つ、という貴重な例かも知れない。かなり面白かった。

上を下へのジレッタ(1)

上を下へのジレッタ(1) 手塚治虫

チケット取れず行けなかった舞台の原作。杉並図書館に蔵書。晴海なぎさ(小百合チエ)がギャートルズママかわいい。現在ディズニー初期や手塚治虫の描くキャラクターの動きにとても憧れている。

Ank: a mirroring ape

Ank: a mirroring ape 佐藤究

化学だとか研究だとかそもそも勉強自体とほとんど無縁の生活をしている私にはちょっと難しい内容もあったけど、読み応えがあって面白かった。シャガほどじゃないけれど、ある程度動けるようにしておかなくては!と思ったり。

悪と仮面のルール

悪と仮面のルール 中村文則

悪と仮面のルール 伊藤 親戚 何もかも憂鬱なよるに 病んだ犯罪者 倫理や道徳や常識から遠く離れれば、この世界は、全く違うものとして俺達の前に現れるんだよ。まるで、何かのサービスのように。 遮光でもあったけれど、最初に語った将来の夢を最後にもう一度語るシーンが特に素晴らしかった。

藤原道長の日常生活

藤原道長の日常生活 倉本一宏

当時の日記から道長という人間と、平安貴族の日常を描く。道長の感情の起伏の激しさや自惚れ屋っぷりは他の資料に(主に『小右記』に)たっぷり記されていて、なかなか人間くさい。雅なだけじゃない生活が面白い。 当時の文学が好きな方は、きっと楽しく読める。

「奇跡」は準備されている

「奇跡」は準備されている オレグ・マツェイチュク

フェンシングの選手人口は日本では少ない。少なすぎる。というか、始めたくてもどう始めていいか分からない人がほとんど。それと金がかかる。 東京2020に向けて選手人口を増やすような事業を都が打ってもいい。 コーチや指導者も少ない。 そんな中で日本をメダル獲得に導いた著者はすごい

キング&クイーン

キング&クイーン 柳広司

久々に本棚から引っ張り出し、一気に読了。 本だから出来るトリックに、再びやられました。

百鬼一歌 月下の死美女

百鬼一歌 月下の死美女 瀬川貴次

生粋の歌人が、田舎育ちの宮仕え少女に引っ張られて、事件を解決していくお話。 舞台は平安末期の宮中。謎解きというよりは、人の心がよく描かれています。 事件現場で"空気を読まない"青年も、おてんば娘の前ではしっかりする姿に惹かれます。 結婚において、本人の気持ちよりも家柄が優先される時代。人知れず想い続ける姿が切ない。"袖に蛍をつつみ"たくなるほどの恋の行方が気になります。

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