中央公論新社の本

REVERSE―リバース

REVERSE―リバース 石田衣良

折りしも、ネット犯罪の報道が大々的になされたばかりだが、このような負のイメージによりネットの可能性が摘み取られないことを願う。その功罪を今云々することはおくとして、この『リバース』という作品について、複雑な思いでコメントしたい。 ネット上で、心を通い合わせる恋愛小説、一言で言えばそうなるが、主人公の2人は互いに性別を偽ってメール・チャットを続ける。ところが、互いの存在が大きくなりすぎて、現実の世界で会いたいという欲求を抑えられなくなる。果たして、2人のとった行動は……。 「魂の双子」とか「ソウルメイト」とか、そんな言葉で説明されなくても、人はどこかでかつてなくした片割れの相手を求めていることを実感として納得できる。だから、プラトンのアンドロギュヌスの話にも得心してしまう。 ユング心理学の「アニマ(男性の中の女性)」「アニムス(女性の中の男性)」とかの言葉で説得されなくても、自分の中の異性的な存在は感じている。その上で、年齢とか性別とか社会的地位とかの枠を超えた関係を築き上げられたらどんなに素晴らしいのだろうと夢想してしまう。 あまりにも、リアルでは浮ついた言葉を交わし、表層的な価値観を弄んでいるのでは?

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千の扉

千の扉 柴崎友香

新宿区にある三千戸の都営団地を舞台に、戦後70年の間に様々な人の生活が重なったりすれ違ったりする。その人々の織り成す生活がどれもが愛おしくなる。もちろんそれだけでなくちょっとした時空の歪みが物語に奥行を与えている。 印象的なベランダ越しの新宿副都心の超高層ビル群P139は「ビリジアン」の通天閣越しの生駒山と風景の捉え方が通じるものがある。この場面は70年代中期と思われるがまだまばらなビル群に子供のころ中野の家の窓から見た風景を思い出した。 ウルトラセブンの話P60はフック星人登場の「あなたはだあれ」86年か87年の深夜?に放送されていた泉麻人の番組を録画して死ぬほど見た。交番の辺りに野次馬が写っているのが印象的。と思ったら柴崎さんと泉さんのトークショーがTitleであったらしい!この話でたかな。 「千の扉」では戦争の記憶もそこかしこに色濃く残っているのだけど場所柄ということもあるけど遠い記憶もしくはなかったことにしている被害も加害もそんなに昔の事ではなく今の私たちの生活に繋がっているのだよね。目を背けたくなるけどしっかり記憶せねば。

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完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ

完本 麿赤兒自伝 - 憂き世 戯れて候ふ 麿赤兒

二十歳の頃の唐十郎との劇的な出会い。魂の赴くままに生きる人同士の化学反応。 ビリビリ痺れるようなエネルギーが伝わってきました。 そういえば、60年代には本の万引きが流行っていたとのこと。色気とフェロモンを出す本が多く出ていた、と麿さん。そういう本を作っていた人たちの恍惚感を想うと、素直に羨ましい。 新しいものを、新しいしかけを、生み出せたらなあ。 麿さんは今日も新しい踊りを踊っている。AIには予測できない踊りを。 突き抜けよう!

建築有情

建築有情 長谷川尭

昭和の懐かしい建築を振り返るエッセイ的なもの。 もっと新しい文庫本もあるが、昭和52年版の文庫本の活字の雰囲気が良くて、あえて購入した。

天盆

天盆 王城夕紀

将棋に似た盤上ゲーム、天盆が話の中心。天盆の才能ある少年の成長と家族の愛と戦火に巻き込まれる国の争いが、とてもうまく描写されています。久しぶりに、1日で読了しました。面白かったです。

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もののふ莫迦

もののふ莫迦 中路啓太

タイトルに惹かれて。作者は最近注目の時代作家とかで確かに骨太な作品。守護大名が衰退して小豪族が小競り合いを繰り返す肥後の地が元々の舞台。自らの信じる武士道に忠実であろうとするあまり偏屈者として零落した強力な武士が主人公。農村の刑死要員にまで落ちぶれた彼がまさに首をはねられようとした瞬間、秀吉の軍勢が城を襲い行きがかり上武器を取って戦った主人公。その戦闘力に魅せられた加藤清正は攻め落とした城の姫の命と引き換えに自分の家来になることを強いる。そして朝鮮半島にまで連れて行くのだが主人公の武士道への拘りが彼に波乱の人生を歩ませて、という話。目の付け所とストーリー展開が見事。面白かったので他の作品も読んでみたいと思いました。

あたまわるいけど学校がすき―こどもの詩

あたまわるいけど学校がすき―こどもの詩 川崎洋

小学生ならではの目線で、子供の頭の柔らかさに驚いた。そしてそれが詩になってるのがより強いパワーを持たせていた。詩の力を感じた。この本を読んで気づいたのは、いつのまにか私も子供の目線ではなく子供を見下ろす目線になってしまっているということ。世の中を見る目が少し変わった気がします。

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政令指定都市 - 100万都市から都構想へ

政令指定都市 - 100万都市から都構想へ 北村亘

題名通り、政令指定都市という行政区分についての新書。 身近かつ重要、しかも、あまり解説書もなく、大阪都構想などにより近年再考されるべきものになっているため、テーマ設定としては素晴らしい。 内容としても、政令指定都市についての理解が深まり、それこそ公務員を目指す人などにも有効な本だとは思う。 インタビューなどもしており、論文上だけでない実際の在りように迫ろうとしている。 加えて、2013年時点ではあるが、大阪都構想の流れについても面白い。 一方で、新書の割には著者の文章の整理がうまく出来ていないように感じる。 繰り返しの表現や、(特に三章の「権能と組織」の部分など)話が散らかっている印象を受ける。 終章「政令指定都市を超えて」というありがちな章題が示すように、どのように政令指定都市の問題点の解決策も具体性を欠いてしまっている。 テーマ時代が面白かっただけに、そうした点が残念だった。

ヴィクトリア女王―大英帝国の“戦う女王”

ヴィクトリア女王―大英帝国の“戦う女王” 君塚直隆

ドラマ女王ヴィクトリアをきっかけに購入。本人の日記が残され公開されていることを知らなかった。人物の好き嫌いをはっきり書いているようで本人は公開されることを知っていたのだろうか。政治にも積極的で議会との微妙な関係も興味深い。

ことば汁

ことば汁 小池昌代

前回読んだ小池昌代さんの内容とは打って変わって 少し怖さ(恐怖とは違う)と激しさ、そして空を見つめる様な悲しさに似た気持ちを感じられる短編集でした。 ホッコリするような内容では無いけど何かココロに引っかかる事を刻んでくれる本でした。