紀伊國屋書店の本

思想の黄昏

思想の黄昏 シオラン

私が20代半ばの頃、新宿紀伊國屋書店で彼の事を全く知らず立ち読みで、この本と処女作、絶望のきわみで、の二冊を買いました。仕事はあるしお金もそれに見合った生活は出来ても何時も時間に管理されることは拭いきれない毎日で、私は狂人願望にずっと憧れたところがあったのでしよう。買った当初 若くて買った動機が掴めませんでしたが?今日の現代社会が彼を呼び戻したのです。フェイスブックで彼の言葉を引用して投稿すると至る所からフォローが舞い込んだ、シオランの偽りのない人間態度にカウンターとボディーブローを喰わされたのはどうも全人類の人、全ての様でした。彼は死を前提に生きるから気迫が半端じゃない!倒れそうな毎日に一ページ目を通して私は毎日、笑ってやりますよ。

台湾少女、洋裁に出会う――母とミシンの60年

台湾少女、洋裁に出会う――母とミシンの60年 鄭鴻生

NHK朝ドラ「カーネーション」が好きだった人は、楽しめると思います。台湾版「カーネーション」ですね。 あと、台南という街の路地の移り変わりを余すところなく伝えているので、 それはそれですごいなーと思う反面(下手な戦前の在台の日本人が描く台湾小説よりよっぽどよく書けている!)、 個人的に台南という街に行きまくっているので、 路地の詳細な説明をたやすく理解できるけども、 例えば台南に行ったことのない人が、 その箇所を見て、どこまで想像できるのだろうか……。 そんなところが、気になりました。 ただ装丁が素晴らしく、文字のインクまでセピア色にしていて、 デザイナーさんのセンスの良さを感じました。

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プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年 アン・ウォームズリー

まず、一人ひとりの描写が細かくて飽きない。受刑者の特徴や仕草が本当に目の前にいるかのように書き出されていて、顔の輪郭まで想像できる。 タイトル通り登場人物の8割が服役中の男性なんだけれど、彼らの過去やどうして犯罪に手を染めてしまったのかが毎章にあげられる小説とうまくシンクロしているところがこの本の見どころ。 誰しもが抱える闇も彼らと一緒に共有できているみたいで、励まされ、励ましている感覚に感動する。

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女ぎらい――ニッポンのミソジニー

女ぎらい――ニッポンのミソジニー 上野千鶴子

男と女の人とで感想はかなり異なると思うが、僕には非常に勉強になった。男である=内面化されたミソジニーがあるのに気づく。ミソジニーの解毒剤というか。社会の見方が変わる。

龍の起源

龍の起源 荒川紘

世界各地の龍、ドラゴンを集めて意味や象徴などを調査。東洋と西洋では形や意味もかなり違う。 ドラゴンの象徴調査のため通読。

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ラカンはこう読め!

ラカンはこう読め! スラヴォイ・ジジェク

斎藤環関連の書籍からこじらせてラカンに。頭に残らない難解さ。こう読めとあるがどう読めと。速読せず熟読してラカンワールドに入るべき本。 言葉の中身だけでなく発話行為そのもの、社会生活を営む為の仮面が欲する欲望、などジジェクが優しく解釈してくれた切り口でも、そう簡単には理解できない。何度も挑む必要がある。

悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験

悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験 リチャード・スティーヴンズ

セックスに酒に悪態、スピード狂などなど、お行儀よろしくない行動は人生を狂わせるとされているが、実はそうでもないのかも。はたまた恋は本当に心の底から生まれてくるのか? 退屈することは悪いことなのか? 心理学者がさまざまな実験を通して探る、ちょっとおかしな人間心理の世界。 著者は悪態の鎮痛効果でイグ・ノーベル賞を受賞したイギリスの心理学者。気楽に読めるわりに身も蓋もない事実が書かれてあったりなかなかに毒というかアクが強い。 さまざまな悪癖の面白さもそうだが、それに対して心理学者がひねり出すひねくれた実験も読んでて単純に面白い。

働くことの哲学

働くことの哲学 ラース・スヴェンセン

帯コメントが國分功一郎さんだったので読んだ。 今の仕事があんまり好きじゃなくて、ここ2年ぐらい何度か逃げ出せないかと転職活動を試みながら失敗を繰り返していたところであった本。 だらだらいろんなのに浮気しながら読んでしまったし、買ってから読了まで半年近くかかってしまった。 「私の印象では、こんにち私たちは概して仕事に過度の期待をかけており、とりわけ仕事は、私たちが生きて行く上で、必要とする意義をもっとたくさん提供できるはずのものだと思い込んでいるようだ。」 「過度の期待」持ちすぎていたかも。小さい頃から大きくなったらなにになりたいか聞かれ、それがその人そのものであるようにみられ、就活のエントリーシートなどでは自分の人生とその仕事を結びつけるような感動的なエピソードを求められ…仕事ってそういうもんだと思い込んで来たけど、読んだお陰で少し肩の力が抜けた。今の時代が仕事についてかなり贅沢な考えをできるようになっただけ。でも仕事中毒になって仕事以外にもっと大事なものを見失ってしまっては意味がない。 とりあえず、今の仕事は、仕事以外も大事にする時間をそれなりにくれるので、それだけでもありがたいと思っておこう。 だらだら読んだので途中頭に入ってないところもあるけど、すごくスマートに仕事についてまとめられていた印象。それについて論文とか書くならまた読みたい。いつだよ、書かねーけど。

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1493――世界を変えた大陸間の「交換」

1493――世界を変えた大陸間の「交換」 チャールズ・C. マン

コロンブスがアメリカに到着したことで、さまざまな「交換」が始まり、地球は生態系が均質化する「均質新世」を迎えた。使役、食用となる以外にも多数の動物や植物、バクテリアなどの生物に、金銀などの経済的基礎を築くための資源などなど、世界各地それぞれに土着していたものたちがグローバルに移動しそれぞれに影響を与え合うことになった。タバコにマラリア、銀と絹、サツマイモやジャガイモの伝搬、天然ゴムを巡る熾烈な競争など、コロンブス交換の影響はすさまじい。そして、自分たちの地域に古くから伝わる独特な伝統だと思っていたことが、実は1493年という昔から始まっていグローバリゼーションの結果に他ならなかったりするのだ。グローバリゼーションは破壊的な結果をもたらしてきたけれど、同時に計り知れない恩恵をも与えてきた。伝統主義者もグローバリストも、ともにこの事実を見なくちゃならんのだろうな。

意識と脳――思考はいかにコード化されるか

意識と脳――思考はいかにコード化されるか スタニスラス・ドゥアンヌ

かつてデカルトが二元論的に語った「意識」を最新研究から解き明かす、フランスの認知神経科学者の探求。コンシャスアクセスなど、初めて出会う概念が登場するが、意識の要件がいかにして満たされていけばよいのか、最新研究ではどれくらい意識が解明されているのかがとてもよくわかる。 クリントン(旦那の方だけど)の顔だけに特異的に反応するニューロンがあるとか(被験者はモニカ・ルインスキーではない!)の面白エピソードや、正確な定義ではないがほぼ植物状態とされている人に意識はあるのかを測定する実験など、最新研究が実地に応用されつつあることもわかって面白い(と言っては不謹慎か)。 自由意志や意識についての類書は多いが、哲学者であるデネットなんかの議論が、この本を読んでるとあーあのことか!なんて風にいまさら思い返せたり、ある種のハブとなる本ともいえるだろう。 あと、個人的にはクオリアやらハードプロブレムなんかをばっさりやるあたりも読んでて楽しい。その意味ではそういう界隈の人にとっては苦々しい本なのかも。 紀伊國屋の出版部はこういう関係、目の付け所がいいんだよなー。目利きの人がいるんだろうか。