河出書房新社の本

三日月少年の秘密

三日月少年の秘密 長野まゆみ

2019/2/10読了 大好きな「天体議会」「三日月少年漂流記」と同じシリーズではなかった。初期の長野まゆみの文体を期待して読むと、やっぱり違うなという感想。 書き下ろしと文藝に掲載された二つの中編で構成されているけれど、後半の「鞄の秘密篇」が特にわかりにくい。

すみれノオト ---松田瓊子コレクション

すみれノオト ---松田瓊子コレクション 松田瓊子

日本にも、戦前まではこんな「良識ある両親に育まれ、クリスチャンとしての信仰を守り、純粋で無垢で可憐なお嬢さん」が本当にいたんだなぁ… 今はもう、絶滅してしまった、そんな「お嬢さん」の描く、可憐で繊細で美しい物語。 美智子妃殿下が作者の愛読者だったのも頷ける。 ただ、作中で、19歳の自分を「こども」と自称するのはどうなんだろ?昔はもっと早熟だったのでは(女学校卒業してすぐ嫁ぐとかありふれた話だったみたいだし)?今の19歳の女の子でも自分を「こども」とは言わない気がする…ちょっと違和感。

見ていないことにして

見ていないことにして 似鳥鶏

違う題名で出る。「見ていないことにして」って。 「そこにいるのに」「見ていないことにして」ってことぉ? ホラー小説で、こういうのはやめてほしい。怖いです。見ていないことにします。。。 怖かったです。昼間読みました。 似鳥さんの短編ホラー13編。初ホラー挑戦だそうです。常時出てくる「クママリ」キャラクターが怖い。

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旅する温泉漫画 かけ湯くん

旅する温泉漫画 かけ湯くん 松本英子

松本英子先生といえば、エッセイマンガの人。 私はそんなイメージです。 このマンガでは、ネコに扮した作者が全国津々浦々の温泉を巡り、そこで感じた事を数ページのカラーにまとめています。 豪華な温泉というよりは、大衆浴場を好んでいるらしく、身近に感じます。 例えば、観光地を紹介するガイドブックだと有名処をこぞって紹介したがりますが、このマンガは“その場所で感じた本人の気持ち”を大事に描かれていて、温泉だけじゃなく、松本英子先生の人柄も見えてきます。 そういった所が、エッセイマンガの魅力の一つだと思います。

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IKEAマニアック

IKEAマニアック 森井ユカ

日本のイケアストアの裏側から、スウェーデンのIKEA museumまで出かけて、イケアデザインや会社の倫理などを体験されている、まさしくIKEAをまず知るにはもってこいかな。 IKEAを深く知りたい方向けの本も紹介されている(IKEAストア限定本から本屋に流通されてる本も含む)。

グレースの履歴

グレースの履歴 源孝志

男女の関係という視点から、人生の生き方について書かれた作品。 どこか淡白で、慈愛に満ちた登場人物達が面白く、ストーリーもすらすらと頭に入ってきました。

11 eleven

11 eleven 津原泰水

近藤ようこさんの『五色の舟』が、とても良かったので原作を読みたくなり、初津原泰水氏作品。

クイーン

クイーン 

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観て、久しぶりに本棚から引っ張り出して再読。 もうすぐ自分もフレディが亡くなったのと同じ歳になるのかと思うと、未来に何かを遺す仕事をしなくては、と焦りを感じます。

総特集 森見登美彦

総特集 森見登美彦 河出書房新社編集部

『熱帯』を読み終わった時確信した。 これはモリミーの集大成だと。全部入りだと。 そして時を同じくして15年を振り返るこの本が出た。 あまりの充実さ、内容の濃さに カルピスの原液かと思った。 ロングインタビュー、全著作解説エッセイ、 単行本未収録小説などなど。 何より最高だったのが盟友明石氏との対談。 夢かよ!と。リアル『太陽の塔』じゃねぇか!と。 『熱帯』は「読み終わるのか?」と思ったが、 この本は「読み終わりたくない!」と心底思った。 ともあれこれより森見登美彦は、 フェーズ2に移行する!

俺のオーディオ

俺のオーディオ 寺島靖国

インシュレータの置く位置や個数、ケーブルで一喜一憂。最高の音に出会えてもしばらくすると次を探す。仲間のいい音を聴いて打ちのめされる。とても楽しそうである。何より「いい」ではなく「俺の」音を探しているのが格好いい。ところで塩梅って音楽好きの口癖でしょうか。再読。

神田松之丞 講談入門

神田松之丞 講談入門 神田松之丞

ほんとチケットがとれない神田松之丞の高座、それでもフジ系「白昼夢」(いとうせいこう・NGT48中井りか出演のさまざまな師匠にあって話を伺うドキュメント。まもなく「カメラを止めるな!」監督も登場予定のようなので気になる人は今からチェックしておきましょう)で二週に渡って登場では「天保水滸伝」の一部平手造酒の講釈を少しだけれど見ることができた。新刊が出ているのは紀伊国屋新宿店で確認、図書館ですぐに借りられるのはありがたい。ホンモノの講談のその表現の数々はつかまえることはできないが「物語を伝播する」芸の面白さに想像を逞しくする。元々、講談のそれは山田風太郎の忍法帖明治ものの下敷きにもなったり、紙芝居からくる和製テレビアニメの初期中期の骨格にもなっているため、五十男には講談のそれを体験してなくても楽しみたいと思う素地は存在してるんだよね。 「江戸の闇に惹かれる現代人」に言及する松之丞、それは「平和な現代」だからこそと言うが階級制貧富の差、それを飛び越える悪のヒーローへの憧憬は今の世相と合致すること故ではないのかな、と自分は思う。

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相 ドニー・アイカー

冷戦時代のソ連であった謎の遭難事故にとりつかれたアメリカの映像作家がその謎に迫った作品。冬のウラル山脈にトレッキングに出かけた大学生達9名。彼らは切り裂かれたテントから1キロほど離れたところで氷点下の雪山なのにろくに服も着ておらず靴も履いていない状態で、しかも何人かは大怪我しており一人は舌がなくなって発見された。しかも一部の遺体からは放射能が検出され、という事件で今に至るまで真相は明らかになっていない。冷戦時代の事件ということもあって西側にはあまり伝わっていなかったのだが、偶然の経緯でこの事件のことを知ったアメリカの映像作家は生まれてから一度も雪山に近づいたこともないのに真相に近づくためにロシアに渡り、事件の調査とともに雪のウラル山脈にも入る。そうした努力の甲斐もあって真相に近づくのだが…という作品。よくまとまっていて読みやすく彼が突き止めた「真相」もそれなりに説得力もあるのだけどちょっとあっさりしてるかな、というところと、もう少し検証できたのではないかな、と。コンピュータシュミレーションとかで検証できるのでは、という気もするのででこの説、きちんと検証してもらいたい。それにしても最終章はジャック・ロンドンっぽくてなかなか身に迫る怖さがあった。読物としてはかなり面白かった。

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