河出書房新社の本

クイーン

クイーン 

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観て、久しぶりに本棚から引っ張り出して再読。 もうすぐ自分もフレディが亡くなったのと同じ歳になるのかと思うと、未来に何かを遺す仕事をしなくては、と焦りを感じます。

すみれノオト ---松田瓊子コレクション

すみれノオト ---松田瓊子コレクション 松田瓊子

日本にも、戦前まではこんな「良識ある両親に育まれ、クリスチャンとしての信仰を守り、純粋で無垢で可憐なお嬢さん」が本当にいたんだなぁ… 今はもう、絶滅してしまった、そんな「お嬢さん」の描く、可憐で繊細で美しい物語。 美智子妃殿下が作者の愛読者だったのも頷ける。 ただ、作中で、19歳の自分を「こども」と自称するのはどうなんだろ?昔はもっと早熟だったのでは(女学校卒業してすぐ嫁ぐとかありふれた話だったみたいだし)?今の19歳の女の子でも自分を「こども」とは言わない気がする…ちょっと違和感。

旅する温泉漫画 かけ湯くん

旅する温泉漫画 かけ湯くん 松本英子

かけ湯くんという猫(たぶん著者の分身)が色んなところの温泉に入りに行くという漫画。温泉に行く道中、入っているときの出来事、温泉がある街の光景など色んなことの描写、説明がまあ細かい。温泉や宿、食べものやアルコールなど、色んなものへの執着心が著者の松本さん強いなあーと思ってしまうぐらい細かいです。お風呂に入って絶景見たりいい気分になったなどの良いことも、浴場内でのいざこざに巻き込まれてしまうなど良くないことも両方描いてあるのが特徴的です。でもやはりいい湯、いい光景のページ。見ているとここに行きたいなー、温泉浸かりたいなーという気分になりますね。

グレースの履歴

グレースの履歴 源孝志

男女の関係という視点から、人生の生き方について書かれた作品。 どこか淡白で、慈愛に満ちた登場人物達が面白く、ストーリーもすらすらと頭に入ってきました。

11 eleven

11 eleven 津原泰水

近藤ようこさんの『五色の舟』が、とても良かったので原作を読みたくなり、初津原泰水氏作品。

きょうのできごと、十年後

きょうのできごと、十年後 柴崎友香

きょうのできごと、の十年後。私の好きな女の子二人に、優しい中沢くん、顔がかっこいいかわちくん、十年後も頑張ってる正道くん、顔が似ている男の子二人。いい意味で、"彼らの十年後だけ"を見れて本当に嬉しい。それはこの日が来るまでの日常を知ってしまうよりずっと意味のあることで(もちろん日常を知れるなら膨大な量でも読みたいですが)、こうして生きてて、ままならなくて、そんな一夜は十年前のあの晩を思い出すにはぴったりの日で、この日がずっと続けばいいのにな、なんて思いながら読んだ一冊でした。

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舞踏会へ向かう三人の農夫 下

舞踏会へ向かう三人の農夫 下 リチャード・パワーズ

『舞踏会へ向かう三人の農夫』(上・下) R・パワーズ著 柴田元幸訳 河出文庫 戦争、フォード、写真、サラ・ベルナール。20世紀をダイナミックにかつ緻密に描いたポストモダンの傑作であり、R・パワーズのデビュー作。

俺のオーディオ

俺のオーディオ 寺島靖国

インシュレータの置く位置や個数、ケーブルで一喜一憂。最高の音に出会えてもしばらくすると次を探す。仲間のいい音を聴いて打ちのめされる。とても楽しそうである。何より「いい」ではなく「俺の」音を探しているのが格好いい。ところで塩梅って音楽好きの口癖でしょうか。再読。

神田松之丞 講談入門

神田松之丞 講談入門 神田松之丞

ほんとチケットがとれない神田松之丞の高座、それでもフジ系「白昼夢」(いとうせいこう・NGT48中井りか出演のさまざまな師匠にあって話を伺うドキュメント。まもなく「カメラを止めるな!」監督も登場予定のようなので気になる人は今からチェックしておきましょう)で二週に渡って登場では「天保水滸伝」の一部平手造酒の講釈を少しだけれど見ることができた。新刊が出ているのは紀伊国屋新宿店で確認、図書館ですぐに借りられるのはありがたい。ホンモノの講談のその表現の数々はつかまえることはできないが「物語を伝播する」芸の面白さに想像を逞しくする。元々、講談のそれは山田風太郎の忍法帖明治ものの下敷きにもなったり、紙芝居からくる和製テレビアニメの初期中期の骨格にもなっているため、五十男には講談のそれを体験してなくても楽しみたいと思う素地は存在してるんだよね。 「江戸の闇に惹かれる現代人」に言及する松之丞、それは「平和な現代」だからこそと言うが階級制貧富の差、それを飛び越える悪のヒーローへの憧憬は今の世相と合致すること故ではないのかな、と自分は思う。

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相 ドニー・アイカー

冷戦真っ只中のソビエトの山中で、経験豊富な9人の大学生トレッカーたちが不可解な死を遂げた。リーダーの名前をとってディアトロフ峠事件と呼ばれる。 この事件はネットなんかで見るとほんとに謎だらけで、原因も雪崩や強風といった自然現象説から軍の新型兵器の実験に巻き込まれたとかいう陰謀説、さらにはUFOなどのオカルト説まで喧しいけれど、先入観なしに事件の実地に足を運び、生き残り(体調不良で途中で引き返した)に話を聞き、その原因に到達したと思われるのがこの本。 ネットで見てるだけだと不可解でも、専門家に聞いてみればありふれたことというのは多数あるが、この事件で謎とされた部分のうち、ほとんどはそんなことだった。ただ検証が足りなかっただけだったわけだ。そして、最後の最も謎とされる部分にも、科学的に妥当なで多分最終的な結論が与えられる。 アメリカ人の著者は貯金が底をつき、クレジットカードも限度額まで使ったそうで、そこは悲壮感いっぱいながら、ぶっきらぼうながら不思議に優しいロシア人たちとの交流も楽しく、上質なノンフィクション。

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「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝

「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 荒川佳洋

昭和四十年代に絶大な人気を得、その後「あの人は、わたしたちを騙していたんです」と当時少女だった人達から言われてしまうようになった作家の評伝。ジュニア小説から官能小説に転向したと思われがちだが、実際は発表舞台を選ばず常に自分の書きたいものを書き続けた作家だった。朝鮮で生まれ引き揚げ船で福岡に渡った少年時代。苦学生だった早稲田時代。大江健三郎や小田実などの観念的で群れる作家らを軽蔑し文壇から距離を置いた生き方。富島の作品にはストイックに生きる少年少女の生と性が凛々しく描かれます。その源泉がわかる一冊。