河出書房新社の本

俺のオーディオ

俺のオーディオ 寺島靖国

インシュレータの置く位置や個数、ケーブルで一喜一憂。最高の音に出会えてもしばらくすると次を探す。仲間のいい音を聴いて打ちのめされる。とても楽しそうである。何より「いい」ではなく「俺の」音を探しているのが格好いい。ところで塩梅って音楽好きの口癖でしょうか。再読。

神田松之丞 講談入門

神田松之丞 講談入門 神田松之丞

ほんとチケットがとれない神田松之丞の高座、それでもフジ系「白昼夢」(いとうせいこう・NGT48中井りか出演のさまざまな師匠にあって話を伺うドキュメント。まもなく「カメラを止めるな!」監督も登場予定のようなので気になる人は今からチェックしておきましょう)で二週に渡って登場では「天保水滸伝」の一部平手造酒の講釈を少しだけれど見ることができた。新刊が出ているのは紀伊国屋新宿店で確認、図書館ですぐに借りられるのはありがたい。ホンモノの講談のその表現の数々はつかまえることはできないが「物語を伝播する」芸の面白さに想像を逞しくする。元々、講談のそれは山田風太郎の忍法帖明治ものの下敷きにもなったり、紙芝居からくる和製テレビアニメの初期中期の骨格にもなっているため、五十男には講談のそれを体験してなくても楽しみたいと思う素地は存在してるんだよね。 「江戸の闇に惹かれる現代人」に言及する松之丞、それは「平和な現代」だからこそと言うが階級制貧富の差、それを飛び越える悪のヒーローへの憧憬は今の世相と合致すること故ではないのかな、と自分は思う。

11 eleven

11 eleven 津原泰水

近藤ようこさんの『五色の舟』が、とても良かったので原作を読みたくなり、初津原泰水氏作品。

ギケイキ2 奈落への飛翔

ギケイキ2 奈落への飛翔 町田康

『義経記』を現代の若者っぽいノリノリな文体でアレンジした『ギケイキ』の第二巻。頼朝との対面の場面から始まり、頼朝から狙われて吉野に向かう場面までが描かれる。 まず、平家に反旗を翻そうとする場面から、わずか1ページほどで平家が滅亡してしまう超スピードな展開に驚いた(どうやら義経記もそんな感じらしいが)。 古典では服装がやたら詳細に描写されるが、その辺りのアレンジが絶妙。 「インナーは真っ白な直垂。ホワイトをベースにイエローの文様を染め出したレザーでステッチした鎧。兜はあえてかぶらずハットをかぶって、弓も塗っていないホワイトの弓。それは佐藤のような単にシンプルで簡略なコーデではなく、計算され尽くした引き算の美学だった」 相変わらず楽しく読めたが、第三巻はいつ出るのだろうか。

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けちゃっぷ

けちゃっぷ 喜多ふあり

物語全編、ブログにアップされた口語の文章で書かれているのが、おもしろい設定だった。 意味はないよ 希望もないよ 恐怖もないよ 空っぽだよ みたいな、彼女が感じてる感触は、なんとなくわかる気もする。なんとなく 。 まともっていうのは誰基準かわからないものだ。 登場人物みんな、まともじゃないように見えて、でもこういう人たちっているのかもしれないなと思ったら、彼ら案外リアルだなぁって思ったり。 そもそもわたしだって、世の中の誰かからは、まともじゃないように思われてるだろうし、、 だから、みんなリアルなんだ。 世の中は、へんてこりんの集まり。 へんてこりんながらも、誰基準かわからないまともを、どうにかこうにかキープして生きてるっていうことか、、

選んだ孤独はよい孤独

選んだ孤独はよい孤独 山内マリコ

すごい面白いわけじゃないんだけど、話がうまい仲の良い友達にみんなの近況とか思い出話を聞かせてもらってるような良さがある

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旅する温泉漫画 かけ湯くん

旅する温泉漫画 かけ湯くん 松本英子

かけ湯くんという猫(たぶん著者の分身)が色んなところの温泉に入りに行くという漫画。温泉に行く道中、入っているときの出来事、温泉がある街の光景など色んなことの描写、説明がまあ細かい。温泉や宿、食べものやアルコールなど、色んなものへの執着心が著者の松本さん強いなあーと思ってしまうぐらい細かいです。お風呂に入って絶景見たりいい気分になったなどの良いことも、浴場内でのいざこざに巻き込まれてしまうなど良くないことも両方描いてあるのが特徴的です。でもやはりいい湯、いい光景のページ。見ているとここに行きたいなー、温泉浸かりたいなーという気分になりますね。

グレースの履歴

グレースの履歴 源孝志

男女の関係という視点から、人生の生き方について書かれた作品。 どこか淡白で、慈愛に満ちた登場人物達が面白く、ストーリーもすらすらと頭に入ってきました。

きょうのできごと、十年後

きょうのできごと、十年後 柴崎友香

きょうのできごと、の十年後。私の好きな女の子二人に、優しい中沢くん、顔がかっこいいかわちくん、十年後も頑張ってる正道くん、顔が似ている男の子二人。いい意味で、"彼らの十年後だけ"を見れて本当に嬉しい。それはこの日が来るまでの日常を知ってしまうよりずっと意味のあることで(もちろん日常を知れるなら膨大な量でも読みたいですが)、こうして生きてて、ままならなくて、そんな一夜は十年前のあの晩を思い出すにはぴったりの日で、この日がずっと続けばいいのにな、なんて思いながら読んだ一冊でした。

「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝

「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 荒川佳洋

昭和四十年代に絶大な人気を得、その後「あの人は、わたしたちを騙していたんです」と当時少女だった人達から言われてしまうようになった作家の評伝。ジュニア小説から官能小説に転向したと思われがちだが、実際は発表舞台を選ばず常に自分の書きたいものを書き続けた作家だった。朝鮮で生まれ引き揚げ船で福岡に渡った少年時代。苦学生だった早稲田時代。大江健三郎や小田実などの観念的で群れる作家らを軽蔑し文壇から距離を置いた生き方。富島の作品にはストイックに生きる少年少女の生と性が凛々しく描かれます。その源泉がわかる一冊。