東京創元社の本

許されざる者

許されざる者 レイフ・GW・ペーション

スウェーデン・ミステリ界の重鎮の代表作で、CWA賞、ガラスの鍵賞など五冠に輝いたというのもむべなるかな。 主人公は、物語の冒頭で突然脳梗塞で倒れた元国家警察庁長官ラーシュ・マッティン・ヨハンソン。 命拾いをしてゆっくりリハビリに励むはずが、思いがけない主治医からの頼みで、迷宮入りとなった25年前の少女殺人事件の真犯人を探すことになる。 北欧ミステリらしい硬質な文章が、人間味にあふれた主人公、心配する妻やかつての相棒、破天荒な兄や捜査を手伝う義弟と謎めいた青年などの登場人物たちを軽快なテンポで生き生きと描写する。 死を間近に感じるヨハンソンが、一刻も早い事件の解決を願いつつ、一方で曲げてはならない刑事としての信念や正義のあり方を再確認していく過程が胸に響く。 また若い頃なら読み飛ばしていたような、さりげないシーンに表れる夫婦の心の機微や家族の温かさにも涙腺が刺激された。 最近読んだ本の中ではピカ一の面白さで、本邦初と聞き、出来ればシリーズ最初から読みたかったかなあとも思う。

夜届く

夜届く 倉知淳

日常に起こる事件というほどではないけどなんだか気になるモヤモヤを猫みたいな先輩が謎解きする短編6編。 どれもとても奇妙な出来事が、ほんとか嘘かはわからないけど聞いてみれば「なーんだ」という結論を猫丸先輩が導きだします。 読んでみれば面白いけれど身近にはいて欲しくないタイプの先輩ですね(笑)

穢れた風

穢れた風 ネレ・ノイハウス

貴族階級出身の警部と相棒の女性警部を主人公にしたドイツの警察小説のシリーズ邦訳最新。この前週に読んだ「冷酷な丘」とたまたま同じく風力発電がテーマの話。代替エネルギー先進国のドイツでも風力発電ってあまり良く思われていないのかな。本作でも風力発電建設会社内で起きた殺人から反対運動との対立や学者や政治家を巻き込んだ汚い動きが描かれている。本作は、主人公が父である伯爵が反対運動に関わっていることや、自身も長年連れ添った妻が男を作って出て行ってしまった直後ということもありボロボロでまともに機能しないところが新鮮。ストーリー自体は登場人物を増やしすぎた感があり広げたストーリーを畳むのにちょっと苦労したような印象を受けた。

少女〈上〉

少女〈上〉 M・ヨート

スェーデンの人気ミステリシリーズ邦訳最新。主人公はエリート部隊である国家刑事警察殺人捜査特別班に雇われている心理学者。これが曲者で仕事は優秀なのだが周囲と軋轢を生むことなどなんとも思っておらず、さらにセックス依存症で手当たり次第に女性に手を出す要注意人物、捜査チームに加わっているのも邪な動機から、という設定。本作では子供を含む一家皆殺し事件が発生、解決を急ぎたい地元の警察の要請でチームが乗り出しやがて事件現場から逃げ出すことができた少女がいたことが分かって、という話。単独のストーリーとしても面白いのだがもチームの面々の私生活や人間関係もサイドストーリーとして上手く設定されていてシリーズとしても飽きさせない。早くも次作が楽しみ。

帝都大捜査網

帝都大捜査網 岡田秀文

いい感じのミステリーでした。個人的にはなかり好きな設定です。 最後の最後でまさかそんなことがわかるなんて!

玉妖綺譚3

玉妖綺譚3 真園めぐみ

シリーズの最終巻。 ついに謎の人 俊之 が戻り、くろがねが返ってくる。 初めてのくろがねの郷はとても美しく、きっとこの郷のように、くろがねは情のあつい玉妖なのだろう、と思った。それは多分、彩音に対してくろがねがかけた言葉にも現れているのだと思う。 様々な人が様々な思惑をもって巡らす謀を、彩音なりのやり方で解きほぐしていく(というか、突っ込んでいくというか…)姿が、あまりにもまっすぐで、でも、前のような危なっかしさはなくて。常に誠実であろうとする彩音が、瑞々しく描かれてる。

嘘の木

嘘の木 フランシス・ハーディング

おもしろかった!! ダーウィンが「種の起源」発表後のイギリス、科学と宗教が入り乱れている世界。高名な博物学者サンダーズ師の娘フェイスは、父の世紀の発見が捏造だという噂が流れ、家族でヴェイン島へ移住。 嘘を養分として実を成す「嘘の木」を隠す父の秘密を知り、父の死の真相を探るフェイス。 女の人が抑圧されているヴィクトリア朝時代、自分らしい生き方を探る少女の話!おすすめです。

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サーチライトと誘蛾灯

サーチライトと誘蛾灯 櫻田智也

5話からなる連作短編集 ホームレスを強制退去させた公園で起きた変死事件、観光地化に失敗した高原での密かな計画、街はずれにあるバーでの何気ないやりとりが引金となった悲劇、写真家志望の青年が起こした事件、隠された牧師の遺体が見つかった事件 それらを解決したのが 昆虫好きのとぼけた青年 エリサワ 人は見かけによらないなぁ バカっぽい人が実は賢いというか鋭いのはアリですね

シャーロック・ホームズの復活 シャーロック・ホームズ・シリーズ

シャーロック・ホームズの復活 シャーロック・ホームズ・シリーズ アーサー・コナン・ドイル

ホームズ正典、中断して時間が経ってシリーズ何冊目か忘れてしまった。復活は! ワトソン先生のホームズへの崇拝と愛情が迸っていた。グラナダ版を始めたばかりでそろそろジェレミー・ブレットで再生されるようになってきました。グラナダ版いいねぇ。正典で読むよりホームズが「変わり者」であるとイメージしやすくなりました。ただし同時進行すると話が混ざる

二度のお別れ

二度のお別れ 黒川博行

著者の作家デビュー作。 大阪府警捜査一課で勤務する「黒さん」こと黒田憲造と、 「マメちゃん」こと亀田淳也の黒マメコンビシリーズ第1弾。 話す内容も雰囲気も、 日常で聴くのと遜色ない 自然で軽妙な大阪弁のセリフと精緻な地理描写で、 読む人を一緒に捜査する刑事にしてくれる。 地名は半分フィクションだが、 職場や新居近辺が舞台として登場し、 個人的には没入感高く読むことができた。

屍人荘の殺人

屍人荘の殺人 今村昌弘

「え?なんで!!」「ええーーこの展開って!!」と、一人で奇声を発してました。トリックとは別に驚いてしまった。トリックも綺麗に回収してありました。 犯人探しより、○○○の方が衝撃的で!!こんな合わせ技、狡いです。シリーズになって欲しいですが、今回の状況を越える密室環境は無いだろうから、難しいかなあ。

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白骨〈上〉

白骨〈上〉 M・ヨート

スェーデンのミステリシリーズの三作目。前二作が凄く面白かったので。主人公は凄腕の犯罪心理学者だが女たらしで協調性ゼロ、チームの嫌われ者、という設定。動機もいちいち不純で今回も一回寝たら家に居座ってしまった女から逃れるために捜査に参加する。 事件は人気のハイキングコースで偶然見つかった六体の白骨死体。四人は家族で身元が分からなくしてあり二人は着衣のまんまという複雑なもの。少ない手がかりから精鋭チームが核心に迫っていく過程がなかなか見事。このシリーズは二人のシナリオライターの合作ということもあってスピーディかつ分かりやすい展開が特徴でさらっと読めてしまう。そしてチームの人間関係も変化していくところが特徴。本作では主人公は殆ど捜査に参加しておらずチームの人間関係を複雑にしてるだけの役回りなのだがそれでもじゅうぶん楽しめた。終わり方がいろいろ含みを持っていて次作が早くも待ち遠しい

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月明かりの男

月明かりの男 ヘレン・マクロイ

ウィリング博士シリーズは刊行されたものをずっと追っているので、今回も散りばめられた伏線が収束していくラストは「待ってました!」といった所感で満足。ただ、犯人の言動で個人的に気になったところが謎解き段階で触れられなかったこと(私が見落としている情報があっただけか?)と、最後のウィリング博士の台詞にある言葉。ウィリング博士がそういう言葉選びをするだろうか?原著の言い回しを見てみたい……。

エクソダス症候群

エクソダス症候群 宮内悠介

宮内悠介の初の長編。火星を舞台にした精神病院のお話。宮内さんの作品は、自分の読書リズムと合っていて、スラスラ読めて心地良い。ストーリー自体は深くて重いのに、不思議です。これからも、追い続ける作家のひとりですね。

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