早川書房の本

三つ編み

三つ編み レティシア・コロンバニ/齋藤 可津子

異なる境遇にいる3つの国の3人の女性の話。それぞれの人生を通して、女性や、様々なマイノリティが社会でどのような生きづらさを感じながら生きているのかを物語る。後進国、先進国に関わらず女性は様々な形態で差別を受けていることが分かる

拳銃使いの娘

拳銃使いの娘 ジョーダン・ハーパー

映画「レオン」っぽい、というのが素直な感想。アウトローな男が幼い少女を連れてやむを得ず戦う、というところが近く感じた。 といっても「レオン」のただの模倣とは違い、アメリカとメキシコの麻薬マフィアの抗争など、ハードボイルドな闇社会を描写していてなかなか面白かった。 やっぱり悪徳警官はあかんなぁ。

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ブルーバード、ブルーバード

ブルーバード、ブルーバード アッティカ・ロック

実は全くの勘違いから手にとった(昔すごく好きだったグレッグ・ルッカという作家の久々の新作だと思っていた...。なぜ間違えたのか…と思って調べたらルッカの作品の主人公がこの作者の名前に似ていたのだ。読みはじめてしばらくわからずずいぶん作風変わったなと思っていた。)のだけど...アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞、英国推理作家協会スティール・ダガー賞、アンソニー賞最優秀長篇賞の三冠を取った作品は伊達では無かった。主人公はテキサス・レンジャーの黒人捜査官。身内の犯罪に巻き込まれて休職中のところを旧友のFBI捜査官に頼まれてテキサスの田舎町で相次いで起きた殺人の周辺捜査に加わる。一件はシカゴから来た黒人弁護士の殺人、もう一件は田舎町のバーの白人ウエイトレスの殺人。テキサスの田舎町の黒人女性が営むカフェと貧乏白人のたまり場のようなバーの二箇所を中心として人種の対立や主人公と田舎町の人々、それぞれの過去やしがらみが徐々に暴かれていく。ミステリとしての謎解きも素晴らしいのだけどむせ返るような湿気というかアメリカ南部の雰囲気、そしてタイトルもジョン・リー・フッカーの曲から取られているのだが全場面に低く静かに流れているようなブルースの感触が素晴らしい。本国では続編も出てるみたいでそれも楽しみ。面白かった。

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宿命の宝冠

宿命の宝冠 宵野ゆめ/天狼プロダクション

レンティア第一王女アウロラの初登場巻。 時期的にはグインが黒竜将軍になったあたり、アルミナの嫁入り前とも書かれているから、正伝の40巻ちょいくらいの頃かな。 沿海州会議の際にアンダヌスとセットでヨオ・イロナが出てきたくらいで、正伝ではまともに描かれたことがなかったレンティア本国が今回の舞台。 外伝作品かつ、新人のデビュー作と考えれば、こういう「空白地帯」のお話の方が書きやすいのかもしれないね。 本作は、宵野ゆめにとってデビュー作。最初の作品ということもあってか、相当にぎごちない。描写がまわりくどく、話が分かりにくいのは難点かな。 逆に考えると正伝132巻の『サイロンの挽歌』はそれほど違和感を覚えなかったので、この間に相当な研鑽をつまれたであろうことは想像に難くない。 最近は、病気療養モードに入ってしまっているけど、復活を待ちたいところ。

アイル・ビー・ゴーン

アイル・ビー・ゴーン エイドリアン・マッキンティ/武藤 陽生

テロが一番激しかった頃の北アイルランドを舞台にした警察小説の第三弾。かなり面白いシリーズと思っていたけども立て続けに邦訳が出るということはけっこう売れたんだな。良いことだ。本作だけども前作でやり過ぎた結果、刑事から制服警官に降格されて一番厳しいアイルランドとの国境警備に回された主人公。しかも物語の早い段階で警察を辞めさせられてしまう。そんな主人公の元にイギリスの諜報機関MI5がやってくる。脱獄したIRAの大物テロリストの捜査に加わるのであれば警察に暫定的に復帰させる、というのだ。大物テロリストとは幼馴染であった主人公はその機会を逃さず警察に復帰し幼馴染の行方を追う。その過程で別の密室殺人をどうしても解決する必要に迫られ…という話。荒々しい舞台設定の物語だし主人公も時にやり過ぎるけども諦めない地道な捜査が特徴、みたいなこのシリーズに上手く本格推理の密室殺人の謎解きが盛り込まれていて感心した。これはかなり完成度が高く面白い作品だった。

夜のアポロン

夜のアポロン 皆川博子

死や退廃、耽美さを感じさせるような、妖しい短編集。 著者の初期の作品も含まれるという事で、戦中の描写やヒッピーなど、時代を映した作品もちらほら。 1930年に生まれ、激動の時代を生きてきた著者だからこそ描ける作品達に魅了された。

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無敗の王者 評伝ロッキー・マルシアノ

無敗の王者 評伝ロッキー・マルシアノ マイク・スタントン/樋口 武志

名前だけはなんとなく知っていたヘビー級チャンピオンの生涯をジャーナリストが綿密に調査しまとめ上げた評伝。1947から1955にかけてプロボクサーとして活動する中で49戦無敗という未だ破られていない偉大な記録を持つボクサーは名前で分かる通りイタリア系移民としてマサチューセッツの工業地帯の産まれ。ボクシングをまともに始めたのは兵役に就いていた24の時、ということに驚かされた。180cm、85Kg前後という現在ならクルーザー級で当時としてもあまり恵まれていない体格、しかも足も遅く到底プロボクサーとして大成しないと誰もが思っていた男は凄まじい破壊力を持った右フックと打たれ強さを持っていた。ボクシングというスポーツは本来は相手のパンチを巧くかわし、適度に有効打を入れれば勝てるはずなのだがそれでは人気が出ず、足を止めての殴り合いが好まれる。いかに巧くても人気が出なければ良い対戦が組まれず上位も狙えない。その意味ではまさにこのスポーツにうってつけの素質を持っていたことが分かる。作者はジャーナリストらしくかなり綿密な調査を行なって偉大なチャンピオンの人生とそれを取り巻く人たちを丹念に描いている。ただの礼賛本ではなく暗い側面のこともあからさまににしており迫力があった。チャンピオンと母親の関係など泣かせる要素もふんだんにあって今のところ本年読んだ中では最高の作品だった。非常に面白かった。

浮世の画家

浮世の画家 カズオ・イシグロ

私の読解力が足りないのか、訳者が違うせいなのか、画家な話なのに絵が見られないからか、日の名残りに比べるともう一つよく小説の世界を楽しめませんでした。

テロル

テロル ヤスミナ・カドラ

主人公はイスラエルに住むアラブ人。イスラムの信仰も薄く、イスラエルの国民であることを選択し外科医として成功してテルアビブの高級住宅街で妻と暮らしている。ある日、自爆テロの被害者の手当てに追われ疲れ果てて帰宅した彼は自爆テロの実行者が自分の妻だと告げられる。全くなんの兆候も感じられなかったことにショックを受け自爆に至る理由を探るのだが…という話。こんなに救いのない話も珍しい。作者は自爆テロに批判的でこういう作品を書いたのだろうけそれが故に生まれ育ったアルジェリアに住めなくなったのだとしたらやはり問題は根深いな、と思った。アラブ特有なのか時折入る美文調は鼻につくものの良い作品でした。

黄金の盾

黄金の盾 円城寺忍

栗本薫の死後に刊行された四作の外伝。その最後の一作。 クム出身の踊り子という程度にしかなかったヴァルーサの設定を大胆に膨らませて、正伝の隙間を綺麗に埋めてみせた。 クムの大闘王ガンダルの物語と絡ませることで、いい感じにヴァルーサのキャラがハマった印象。 ガンダルにグインのキャラクターを被せてくる仕掛けも、最後にシッカリ機能して、上手く書いたなと感心。これ一作しか書いてないのはもったいないないなあ。

クリエイティブ・スイッチ:企画力を解き放つ天才の習慣

クリエイティブ・スイッチ:企画力を解き放つ天才の習慣 アレン・ガネット

羨望で見つめ、嘆息とともに自分を見つめてしまう「天才のひらめき」が意識して呼び込める、を解説し、実践するフローを紹介。クリエイターのためだけでなく、「愛される」原動力となるアイデアやひらめきはさまざまな場面で実践可能。眠っていた自分の「大量消費」を猿真似でも意識して外に出す、そしてコミュニティに飛び込む。何かを生み出したい人たちに。

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サイレンズ・イン・ザ・ストリート

サイレンズ・イン・ザ・ストリート エイドリアン・マッキンティ

前作が荒削りながらもかなり面白かったので手にとってみたテロが最も激しかった頃の北アイルランドを舞台にした警察小説の邦訳二作目。本作から登場人物紹介の他に登場組織一覧が付録されるようになった。北アイルランドはプロテスタントの住民が多く、独立したアイルランドとは別にイギリスの一部となっている。本作の舞台となっている時代はカトリックの独立派テロ組織IRAを始めとして複数のテロ組織と国家権力が入り乱れて争う一番荒れていた時代。大学で心理学を学んだけども警察官を志した主人公はカトリックでIRAからは裏切者として命を狙われている。住民は警察車両にも平気で投石や発砲をしてくるし車に乗る前には爆弾の有無をいちいちチェックしなければならない。前作で逸脱しながらも大活躍した主人公は勲章を貰い昇進を果たしている。本作ではスーツケースに詰め込まれて捨てられていた首なし死体が地道な捜査から米国人のものだとわかり周辺捜査から別の殺人が浮かび上がり…という話。一作目よりかなり洗練された印象。謎解きにも無理がなく娯楽作品としても優れている。このシリーズはしばらく追いかけてみようと思っています。