早川書房の本

夢幻諸島から

夢幻諸島から クリストファー・プリースト

時空の歪みのせいで地図が作成できない多島海。そこに混在する数千の島々のガイドブック、という体の本書。 何々島の風土はどうで、通貨はこうで、と、初めは不思議な島のるるぶ(笑)を読んでいるような感覚が心地よい眠気を誘いますが、1/3程読み進めると、ある一つの事件と、その真相が浮かび上がるという作りになっています。 大枠としてはSFですが、難解な科学用語はなく、むしろミステリに近いかと。

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ポクスル・ウェスト最後の飛行

ポクスル・ウェスト最後の飛行 ダニエル・トーデイ

どこかで書評を見かけて興味を持ったので手にとってみた。主人公はユダヤ人の少年と家族の知り合いであるおじさんの二人。ナチの迫害から逃れて紆余曲折を経てイギリス空軍で爆撃機のパイロットとして活躍していたというおじさん。少年はおじさんのことが誇らしく彼の武勇伝を聞くのが楽しみだった。作家を志すおじさんがノンフィクションに見切りをつけて自伝を書き、それが話題となったことからますます少年の自慢になったのだが、なぜかおじさんは姿を消してしまい...更に醜い話が聞こえてきて、という話。少年の語りとおじさんの著作の二本立てで進んでいく物語。おじさんの話がなぜそこまでうけたのかというと、迫害されていただけという印象のあるユダヤ人が実際に爆撃機に乗り組んで一矢を報いたという話だったからで、なるほどそういう目線もあるんだなと思った。おじさんの自伝から読み取れる東欧のユダヤ人が辿ったあまりにも過酷な運命と、それを踏まえた現代の物語の絶妙なからみあいがなんとも素晴らしい。戦争の酷さをこういう形で上手く描く方法もあるのだな、と思った。素晴らしかったです。

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冬の炎

冬の炎 グレン・エリック・ハミルトン

前作が面白かったので手にとってみた。泥棒の祖父に育てられ早くから仕込まれていたのだがいろいろあって陸軍に入っていた主人公。エリートのレンジャー部隊員としてイラクやアフガニスタンに派遣されていたという設定。前作で祖父に呼び戻された主人公、その祖父も亡くし、本作では軍を辞めて新たな生活を始めようとしている。そんな中で祖父の犯罪仲間から金持ちの息子と付き合って家に帰ってこない姪を探し出して欲しいとの依頼を受ける。新たな生活の元手を稼ぎたい気持ちもあって軽く引き受けたのだが、二人を追って行った山荘で悲惨な状態になった死体を発見してしまい…という話。けっこう入り組んだ設定になっているのだが混乱することなく最後まで楽しめたのは作家の力量だと思う。脇役含めた登場人物の設定や描写も良くて早くも自作が楽しみなシリーズになった。

エヴァンズ家の娘

エヴァンズ家の娘 ヘザー・ヤング

同居中の男性から度を過ぎた束縛を受けるシングルマザーのジャスティーン。 亡き大叔母が自分に遺した古いロッジに二人の娘とともに逃げ込んだ彼女は、その場所でかつて大叔母の幼い妹エミリーが行方不明になったことを知る。 本書は過去パートである姉リリスとエミリーとの日々を描いた大叔母ルーシーの手記と、現在パートであるジャスティーンと娘たちの経済的、精神的苦境やストーカーに怯える日々が交互に描かれる。 ジャスティーンの母モリーも含め、代々のエヴァンズ家の娘たちが底なし沼みたいな男性関係の不幸の中にズブズブとはまり込んで行く恐ろしさ。 彼女たちは、みな互いへの愛ゆえに行動しているのに、いつもすれ違い傷つけあう。 登場人物の一人が『自分がまったくちがう人間だったらよかった。勇気ある人間。もしそうだったらたくさんの人生が今とはちがっていただろう』と過ぎた日を悔いる。 ラストでジャスティーンが見せた勇気を彼女たちが見ていてくれたら、と思う。 MWA賞など各新人賞の候補作になった著者のデビュー作。

第六大陸〈2〉

第六大陸〈2〉 小川一水

なるほどー。うまく纏めてる作品です!ただ、5巻くらいまで続篇が書けそうなくらいの魅力ある作品です!そりゃ、『プラネテス』の作者の幸村さんがイラスト描くよね。ぴったりです。

トッカン 徴収ロワイヤル

トッカン 徴収ロワイヤル 高殿円

あまりの面白さに、あっと言う間に読んでしまいました。読みながら思わず場面を想像してしまい一人ニヤニヤした場面多数有りです。早く、続きがでないかなぁ?

夏の王国で目覚めない

夏の王国で目覚めない 彩坂美月

あらすじ難しいなー。確かにミステリーだけど、青春感を味わえる珍しい作品でした。ちょっとスッキリする感じですね。ツッコミしたいところも、たくさんあるけどね。

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永訣の波濤

永訣の波濤 五代ゆう

栗本薫亡き後、ケイロニアパートの宵野ゆめと、その他パートの五代ゆうの二人体制で、刊行が再開されていた本シリーズも、宵野ゆめが病気?のため脱落し、五代ゆうの一人体制に。去年は一冊しか出なかった。このペースで終われるのだろうか、、激しく不安になってくる。 お話そのものの展開もスローペースで、ヤガの話いつまで引っ張るのという感じ、ずっと読んでる読者はもう若い層でもアラフィフ。そろそろ鬼籍に入り始めてる人もいるくらいだから、ホントにキチンと「完結」させる事を視野に話を進めて欲しいところ。

アガサ・クリスティー完全攻略

アガサ・クリスティー完全攻略 霜月蒼

ハヤカワポケミスのアガサ・クリスティを収集するのに参考にさせて貰っています。 知らなかった作品に星5が付いていたりするので、改めてワクワクしながら購入し、読んでいます。

IQ

IQ ジョー・イデ

欧米の有力なミステリ新人賞を総ナメにしたということですごく楽しみにしていた作品。舞台はロサンゼルス南部。主人公はイニシャルと頭の良さから「IQ」と呼ばれている黒人青年。唯一の保護者である兄を亡くしてからその才覚で一人生き抜いてきた無免許探偵という設定。本作では腐れ縁の元ギャングで現胡散臭い実業家から持ち込まれた「有名ラッパーを狙っている殺し屋を探せ」という事案に挑む。正直なところミステリとしてはかなり荒削りだけども、エキセントリックというかサイコパスというか…のかなりいかれてる殺し屋とか、売れ過ぎておかしくなってしまったラッパーなど、登場人物の設定や描写がかなり面白く、細部の描き方やちょっとした挿話も上手い。BGMとしてケンドリック・ラマーなどかけながら読んでみたらかなりハマった。これは楽しみな作家に出会えた。あとがき読んでびっくりしたのはこの作者、黒人ではなくて家が貧しくて黒人街で育った日系人で50過ぎてからデビューした遅咲きの新人なんだそうだ。早くも次作が楽しみ。

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新薬の狩人たち――成功率0.1%の探求

新薬の狩人たち――成功率0.1%の探求 ドナルド R キルシュ

ドラッグハンターたちの格闘の記録。彼らの着想と執念と奇蹟のおかげで今の私達の健康がなされていると思うと感動すら覚える。中でも登場人物が目まぐるしくリレーで繋がれるピルの話と、真の開発者がナチス権力のために黙殺されたアスピリンの話は秀逸。

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伊藤計劃記録:第弐位相

伊藤計劃記録:第弐位相 伊藤計劃

伊藤さんにシン・ゴジラを観てほしかったし、ブレードランナー2049を観てほしかったし、震災後の日本を見てほしかったし、スマホがこんなに普及した世界を見てほしかった。 私は伊藤さんにはなれないけど、私の中の伊藤さんを生かし続けるために、何度も大切に読み返そうと思います。

コールド・コールド・グラウンド

コールド・コールド・グラウンド エイドリアン・マッキンティ

出版社が推してたのと舞台設定が面白そうだったので手にとってみた。舞台は80年代の内紛に明け暮れる北アイルランド。主人公はカトリックの警官。北アイルランドのカトリックはテロ組織IRAに代表されるように少数派で警官になっている主人公は体制側についた裏切り者として懸賞金をかけられてるような存在。しかも当時の北アイルランドの警察には珍しい大卒。刑事としてちょっと安全な地域の警察署に配属されたばかり、という設定。片手が切り落とされた死体が発見され、当初はテロ組織が裏切り者を処刑しただけの事件として処理されそうになったのだが死体から楽譜が発見され、更に切り落とされていた片手が別人のものと判明し…という話。暴徒に襲われるので家宅捜索にも完全武装で行かなければならない地域がある殺伐とした社会、なにかというと仕事中でも大酒飲む警察官たち…などなど、雰囲気も脇役に至る人物描写も素晴らしい。ミステリとしてはかなり粗削りで強引なところもあったけどじゅうぶん楽しめた。シリーズ化されているようなので早く次作が読みたい。面白かった。

プラネタリウムの外側

プラネタリウムの外側 早瀬耕

SFは苦手です。そして、現実かプログラムなのか微妙な感じに鳥肌が立ちました。それに、ほのかな恋愛がからんでくると。それはそれで至極受け入れやすくなってしまうのが不思議ですね。いやぁ。私の判断は、私が本当にしたのかな?なんだか不安になる。

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