勁草書房の本

ダメな統計学: 悲惨なほど完全なる手引書

ダメな統計学: 悲惨なほど完全なる手引書 アレックス・ラインハート

読みやすさ★☆☆☆☆ 面白さ☆☆☆☆☆ 感動☆☆☆☆☆ ためになる☆☆☆☆☆ また読みたい☆☆☆☆☆ 統計を継続的に勉強しているので、あまり学ぶべきことはなかったかな?!遺伝的な分野だと最初に一度読んだ方がいいが、統計の学び始めの人が対象だと思う。何年か統計に関わると新たな発見は少なく、また読み物としてもイマイチな気がしました。

ヒトはなぜ笑うのか

ヒトはなぜ笑うのか マシュー・M. ハーレー

ユーモアはなぜ存在するのか。 その役割、効用はなんなのか。 過去の議論も網羅しつつ新たな仮説を展開する。 大部ではあるがその分いろいろと目配りがきいていて理解しやすい。 訳文もやり過ぎ感は多少あるが、こなれてて読みやすい。 ただし校正はもう少ししっかりしてほしいところかな…。

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ろうそくの炎がささやく言葉

ろうそくの炎がささやく言葉 管啓次郎

二度の引っ越しを経て未だ私の本棚に並んでいる本のひとつを、久しぶりに手に取った。柴田元幸が訳したEmily Dickinsonの詩(If I can stop one heart from breaking, ...)、訳も含めて大好きで、あの頃の私の支えだった。

アノスミア わたしが嗅覚を失ってからとり戻すまでの物語

アノスミア わたしが嗅覚を失ってからとり戻すまでの物語 モリー・バーンバウム

交通事故で嗅覚を失った著者の闘病記。私たちが普段どれほど嗅覚に頼って生きているかがわかったし、においが味覚だけではなく恋愛や精神状態、記憶など様々なことと深く結びついているという驚き。自分にあたりまえについているものだからこそ気づけない大切なことをたくさん教えてくれた作品。良い本です。

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シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇 リチャード・H. スミス

同期一番の出世頭が大口顧客を怒らせた! 人気タレントがセクハラ疑惑で降板? ああかわいそうに、でも少しだけ(そう、ほんとにほんの少しだけ!)笑みがこみ上げて来たりはしませんか、よくないことだと知りつつも。自分もそういう感情を抱いたことを白状せざるを得ないけど(それも頻繁にというのがまた救いがない)、そういう感情をドイツ語でシャーデンフロイデという。日本語だとネットでいうメシウマというところ。 人間社会に限らず、競争に満ち満ちているこの世においては、シャーデンフロイデは、競争の中で自分が相対的に優位に立ったことに対して人間が感じる快い感情であるらしい。しかし、そうした快感も、妬みを覆い隠すような形で正当化されてしまえば凄惨な犯罪へと容易に転化するという。例えば、ナチスのユダヤ人虐殺のような。にわかには信じ難いけれど、ユダヤ人は劣った存在などではなく、優秀であるからこそ排斥すべきであるという理屈は明らかに妬みから生まれたものだろう。 明日は我が身と思いながら、自戒の念を抱きながら読む本。

選択しないという選択: ビッグデータで変わる「自由」のかたち

選択しないという選択: ビッグデータで変わる「自由」のかたち キャス・サンスティーン

個別化によるAI(レコメンド)を人間に受け入れてもらうには、選択肢が「個別化したデフォルト・ルール」に適している必要がある。選択する楽しみがあったり、選択に苦痛がない場合は、適さない。また、選択肢が生成されるルールが人間に信頼されることが重要。 行動経済学を深化させていく本書は、営業トーク、商品オプション、政策など様々なところに出現する選択肢を俯瞰して、「デフォルト・ルール」「能動的選択」「個別化したデフォルト・ルール」の3つの特徴と共に人間心理を探る。 選択肢は身近なものであり、特に意識することなく選択したり除外している。例えば、レンタカーを借りる時の保険。会員登録する時の利用規約への同意など。感覚で理解している人も多いだろうが、これらの選択はどう在るべきなのかを、本書は実験と論理で立証していく。

自閉症の現象学

自閉症の現象学 村上靖彦

自閉症ってやっぱり面白いなあ。自分も自閉症スペクトラムの中に入っていると自覚してるが、幼少期を思い返すと特徴が重なるところが散見。今ではトレーニングの成果もあり適応しているように他者から見えているとは思うが。自閉症を学ぶことで定型発達の不思議さも確認でき面白い。想像力で世界を補えるかどうか、なんだなあ。

合意形成学

合意形成学 猪原健弘

みんなやる気があるとは限らない。興味や関心のない人をどうやって話し合いのテーブルにまで引っ張ってくるか。ずっと私の課題です。がんばり損とか、そういうつまらないことを言いたくないのです。 著者のいうところ、それは仲間意識と信頼に基づいていて、話し合いをする前に、そもそもテーブルに着くか、着かないかは、信頼が必要という説が紹介されています。そこで、誰かに親切にしてもらったら、親切にされた方はベネフィットとして2ポイント得る、親切にした方は労力として1ポイント失う、という設定からはじまる仲間意識の拡大を説明するモデルが紹介されていて、もうこれが面白くて最高だった。なんもしないと、親切にするだけ損していくので、ゲームを成り立たせるために、「仲間」「敵」の認識の傾向を6タイプ(誰にでも仲間として親切にする人、仲間に親切にしてる人だったら親切にする人、誰でも敵だと思う人、など)に分けて、1ターン終わるごとに「挫折」「学習」して、その認識傾向を修正する人も出るようにすると、仲間意識は変化拡大していくのです。さらに「認識エラー」もある一定の確率で発生させる。ネーミングもばつぐんです。このモデルを読みながら、まったく共同作業をしたがらない人は、単に人間がキライなだけなんだと、なんかすっきり腑に落ちたところがあり、気分爽快でした。 また、討議型意識調査手法「Deliberative Poll」というのが紹介されてて、これも非常に興味を惹かれた。読書、続く。

文明: 西洋が覇権をとれた6つの真因

文明: 西洋が覇権をとれた6つの真因 ニーアル・ファーガソン

西洋文明はなんで覇権を取れたのか。『銃・病原菌・鉄』のような地理的、自然現象的な説明に加え、西洋だけが持っていた、あるいは発達させた6つの要素(著者はそれをキラーアプリと呼ぶ)から読み解く。 科学、競争、医学、消費、所有、労働なのだそうな。 たしかにそれらは東洋やアラブには揃ってなかったし、芽吹きがあっても何故か早々に摘み取られてしまい、結果覇権を取り損ねたのは西洋中心史観的な見方をしなくても事実だろう。現に今はそれらの力で日本も経済大国になり、かつてはヨーロッパなど歯牙にもかけなかったのに没落した中国は、改めて覇権国家の地位を狙えるようになってきたわけだから。 うん、事実としてはたしかにその通りだろう。博識でいろいろなエピソードも紹介されるが、もう一歩、だから何故なのか?というのが見えてこないのが歯がゆい。まあ大知識人なのだろうし、そんなことは言わずもがな、分からん読者のお前さんに問題があるのさ、というところなのかも知れないが、そこに著者の西洋中心的なメンタリティが見え隠れするような。中国の台頭と入れ替わりに没落しつつある西洋に対する著者の哀惜がそうさせるのだろうか。

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