新潮社の本

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迷宮 中村文則

最後の命と終わり方は似てるのかもしれない 中村文則作品の中では明るいハッピーエンドで終わる小説

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沈める滝 三島由紀夫

血統の良いモテモテの男が俗世間と隔絶した場所にいく、というのは源氏物語みたいだと思った。三島由紀夫は綺麗だけどくどくない。

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漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え 藤沢周平

元凄腕の岡っ引きで現在は暗い影を背負った版木彫師の伊之助大江戸ハードボイルド第2弾は前作を動とすれば今作は静の印象が強い、裏店から裏店へ江戸の町を歩き回り、すかしたりなだめたり数々のテクニックを使った粘り強い聞き込みから事件の全容を明らかにしていく。 『「しかし、ああいうときの男ってのは、みじめなんだよね」 言いさして、おつねは自分も笑いの発作に襲われたらしく、 肉の厚い頬をぴくぴくさせた。 「ほんとに、みじめ。あたしも気になるからさ。ウチのを誘ってあとで様子を見に行ったわけ。そしたら家ん中ほんとに何もないじゃない。そりゃそうだよ、引越しちゃったんだから。その何も ない家の中に、あぐらをかいたご亭主だけがいるわけ」 女たちは、またけたたましく笑った。おつねも腰を二つに折って 笑っている。女たちは、内心そのみじめな男に、七之助ではなく自分の亭主でもあてはめておかしがっているのかも知れなかった。』P129 裏店のおかみたちの生の躍動感が目に浮かぶこの場面いいなあ

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オークブリッジ邸の笑わない貴婦人3: 奥様と最後のダンス 太田紫織

サブタイトルで、奥様が亡くなるだとうことも、たぶん最後まで「奥様」を貫き通すこともなんとなく了解していたのに、やっぱり寂しくて泣けてしまった。 死を目の前にしたときに急に見えてくるたくさんの問題を、一つずつ丁寧に描き、奥様らしい最後を描いてくれた作者さんに感謝。それでこその奥様。 最後に出てくるエドへの贈り物にもう一度ほろり。 最高に笑えたのは、ユーリさんの全力交渉です。 ありがとうとおめでとうの最終巻でした。

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カンパニー 伊吹有喜

リストラ候補となった総務課長と 選手に電撃引退された若手トレーナー 2人に下された業務命令は カンパニー(バレエ団)の年末公演を成功させること バレエの事はあまり詳しくなかったので バレエ団のことを カンパニーというのをこの本で知りました バレエを見てみたくなりました

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不信のとき 有吉佐和子

妻や子供を自分の所有物であるという古臭い思想を引き摺る男と彼らを密かに操り利用するしたたかな女との醜い争いを描いた作品 めまぐるしく変わる社会と共に男女の力関係も変わっていった時代、今まで見下してきた女達の復讐によって全てを失った男の悲哀に満ちた姿はステレオタイプの男尊女卑思想の末路なのか… とにかく浮気はするもんじゃない…

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一人っ子同盟 重松清

重松清の本は大体好きなんですが、読んだ後数日経っても余韻が残る類のお話です。感動もさることながら(例によって最後は泣きながら読みました)、物語のテーマについてふとした瞬間に考えてしまいます。あと、ドラマ化しても面白そうだなと思いました。

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サキ短篇集 サキ

『オー・ヘンリーと並ぶ短篇の名手』と、サキはしばしばそのように紹介される。読んでみると合点がいく。 ユーモアで上手に包んであるけれども、根底に鎮座するのはニヒリズムに似た禍々しい何か。なるほどこれがブラックユーモア。 秀逸な短篇集ゆえ、一読の価値ありかと。

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ある奴隷少女に起こった出来事 ハリエット・アン ジェイコブズ

本当に衝撃な物語(ほぼノン・フィクション)。本当にこんなに屈辱的で愚かしいことがまかり通っていたということが、その境遇に負けずに、勇気を持って生きた女性がいたことが驚きであり、多くの人に読んでほしい。 まだ根強く残る差別意識は今でも問題であって、時々ニュースになって目にするけれど、早くそういった諸問題が解決しますように。

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おみそれ社会 星新一

昭和45年刊行だけど、内容は今でも通ずるものがあるというか、まさに今これなのではという感じ。 短編はどれも面白かったけど、今の世の中に置き換えるとまったく笑えない。

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ルビンの壺が割れた 宿野かほる

フェイスブックのメッセンジャーを使って交わされる感情を抑えたオトナのやり取り。かつての恋人同士が当時を振り返りながら、その時話せなかったことを綴ります。互いの体調を気遣い、パソコンを使うようになるなんて意外!なんて、たわいのない話もありながら、そこはかとなく漂う不穏な空気。 最後のページをめくると、そこには一行だけ文章が。そしてそれを読んだとたん、「うぎゃあぁぁぁ」と叫んでしまう。叫ばずにはいられない。 友人に本を貸す時は、最後のページをテープで留めてからにしました。 今年一番の衝撃でした。

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運のつき 養老孟司

養老孟司がどんな人かも知らずに読んだ。独特な視点で説いていく。”死”に関する考え方や向き合い方が変わる。生=死 をわかりやすく。

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飛ぶ夢をしばらく見ない 山田太一

孤独を知り尽くした中年男・田浦と、会う度に若返っていく老婆・睦子との激しくも切ない愛の物語。 「歳を重ねる」という当たり前の事がいかに幸せであるかを考えさせられました。

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薬屋のタバサ 東直子

何もかもが曖昧模糊としているような、それでいてはっきりとした夢のような。現実なのか夢なのか、何が本当で、何が本当ではないのか。そんなことは瑣末なことでしかないような、不思議な感触の物語だった。 何とも比べることのできない雰囲気を持つタバサ。街。街の人たち。なんてことない日常の一場面、一感情を鋭く切りとって増幅器にかけたような描き方は、作品全体の彩度は鈍く、しかし何かが突き刺さるよう。 研ぎ澄まされた部分と鈍く光る部分とが混ざり合って、読了後、これは読んだ時々で違う感じ方ができそうだと思った。

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神は背番号に宿る 佐々木健一

数字には魔法があり、それによって喚起されるドラマがある。 本書はさまざまな野球選手の現役時代やその後を、背番号という数字を手がかりに語る、まるで「読むノンフィクション」とでも言いたくなる作品だ。 実はそれも当然で、本書はNHKーBS1の特別番組「背番号クロニクル プロ野球80年秘話」の放送で取り上げきれなかった逸話をとりまとめたもの。 不運とか甘えとか自己責任という言葉でくくると見えてこないドラマが、「神」と「数字」の組み合わせを加味することで生き生きと、そして切なく浮かび上がってくる。 できればハッピーエンドで終わって欲しい、そう願いながらも、なぜか本書の逸話はハッピーエンドよりも報われない結末の方が余計に心に残る。 悲劇のヒーローになんて、誰もなりたくないし、なろうと思ってなれるものじゃない。 ましてや、人から愛され、惜しまれ、記憶に残る悲劇のヒーローになんて。 だけど、不運や不幸に襲われ才能を十分に発揮できなかった野球人生は、その人もまた神の前では私たちと同じ小さな存在なのだと気づかせてくれる。 日の当たる場所に咲く花ばかりではなく日陰にひっそり咲く花を愛するのは、多くの人が報われない努力や虚しい希望を胸に毎日を懸命に生きている証かもしれない。 そして理解する人を得られないまま、どうしようもない寂しさを抱えて、独り生きているからかもしれない、そう思った。