柏書房の本

港の底

港の底 ジョセフ・ミッチェル

雑誌ニューヨーカーの伝説的なライターの作品集。前作が良かったので手に取ってみた。本作はタイトル作に代表されているようにニューヨーク周辺の水辺で生きる人達のことを描いた作品集。読んでる間は忘れているのだけれど既に半世紀前の作品でまだマンハッタン周辺で牡蠣やロブスターが取れた時代。有名では全くない漁師やレストラン経営者などの話が生き生きと描かれている。優れたノンフィクションはどれもそうだけどこの作者もエピソードのチョイスが素晴らしい。ヘミングウェイやフィッツジェラルドに勝るとも劣らない短編作家だと思う。寡作ということなんだけど他の作品も読んでみたいと切に願う。面白かった。

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林檎の木から、遠くはなれて

林檎の木から、遠くはなれて トレイシー・シュヴァリエ

19世紀、アメリカ。コネチカットからオハイオのブラックスワンプなる沼沢地で新生活を始めた家族、グッディナフ一家。毎年マラリアで苦しめられ、10人生まれた子ども達も次々に死んでいくほどに環境はとても過酷で容赦がない。語られる時点で生きているのは、優しいが林檎のことになると譲らぬ父ジェームズ、強い林檎酒であるアップルジャックに溺れる母サディに3人の息子、2人の娘。 その中で家族のきずなをつなぐのはコネチカットから持ってきた林檎である。他の作物も育ててはいるが、林檎こそがグッディナフ一家をつなぐものであった。その関わりは家族によって異なるとしても。やがて末っ子のロバートは家族から離れて放浪へと向かう。 グッディナフ一家のドラマに、プラントハンターのウィリアム・ロブや林檎をアメリカに広めたジョニー・アップルシードことジョン・チャップマンなど実在の人物を絡めながら、ゴールドラッシュのアメリカの風景がまざまざと見えてくるような物語。 流されまくりのロバートに、弱々しい姉マーサ(彼女は最後まで不幸なんだよなあ)、そして明るく必死なのにいつしか大きなモリー、謎の存在感をしめすビーネンストック夫人。とにかく人物がいい。ストーリーもいいんだけど、この小説は人と木だ全てだ。

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ライト式建築

ライト式建築 井上祐一

写真がいい、有名どころから殆ど無名の名作が収録されている、歴史観も記述も確かで基本も押さえという、戦前「ライト式」建築入門の決定版。現存建築だけで構成しており、実際に見に出かけられるのもよい。一方で著者らは、日本全国に当時、スクラッチタイルと大谷石でうわべ(だけ)を飾った多数の「なんちゃって」ライト式建築の存在もよく知っているはず。著者の関心ではないかもしれないが、次はこうした「庶民の野のライト式」の発掘と突っ込んだ議論を読みたい。

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死海文書の謎

死海文書の謎 マイケル・ベイジェント

聖書の記実は、後に書き足されたところがある、という話を聞いて、原聖書ともいうべき死海文書とはなんぞや?と思って買った本。なんか発見されてから45年も放置されてたとか、「不都合な真実」だったんですかね。

パリのすてきなおじさん

パリのすてきなおじさん 金井真紀

おじさん好きを自称する金井さんとパリ在住の案内人広岡さんのパリ、おじさんを訪ねる旅。 一見軽い調子に見えるが、実際にはテロや移民問題で揺れるフランス、パリの現在が垣間見える貴重なレポートで、一人一人のおじさんとの触れ合いに「多様性」という言葉が何度も頭に浮かぶ。 みんな同じフランスという国に住んではいるけれど、人種も宗教も職業も年齢もばらばらなおじさんたち。 どの人にも語るに足る物語があり、どの人も自分らしく生きるという気概を持ち、どの人も人に優しくすることの大切さを知っている。 もちろん人選の妙はあるとは思うけれど、あとがきにあった案内人である広岡さんの 「この旅は、人間というもの、生きるということの破片を集める旅だった。」 という言葉が本書の本質を表しているような気がする。

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歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる

歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる 遠藤雅司

読むとワクワク、作ってみたくなります。写真も美味しそうだし。天才や英雄、女王、芸術家、みんな美味しいものを食べてがんばってたんだな〜と思えます。今日自分が食べるものも大事にしよう。(後世レシピ集が出たらどんな感じになるかな?と思うと。)

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マクソーリーの素敵な酒場

マクソーリーの素敵な酒場 ジョセフ・ミッチェル

ジャーナリストから雑誌ニューヨーカーのコラムニストに転進した作者の作品集。年代的には第二次大戦前くらいが中心で主に大都会の安酒場やその周辺で生活する人たちのことを描いたもの。ジャーナリスティックな内容かと思っていたらあとがきにあくまでフィクションだと。しかし作品はどれもリアルな感じで引き込まれてしまう。冒頭の安酒場年代記と最後に収録されているひたすらビーフステーキを食べまくる人達を描いた作品がとくに秀逸。名文家として知られた人らしいが納得の内容。面白かった。

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図書館のプロが伝える調査のツボ

図書館のプロが伝える調査のツボ 高田高史

架空の図書館を舞台にして、依頼されるレファレンス(調べ物)を図書館司書がどのような調べるかを物語にした本。個性豊かな図書館司書が、それぞれのアプローチで調べ物にあたるのが読み物として面白かった。図書館で調べ物をしたい人も、レファレンスを依頼したい人も参考になる一冊。たいへん興味深い本だったので、このシリーズを他にも読みたくなった。