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時が忘れさせるものがあり、そして時が呼び起こすものがあるある夏の日、僕は父親と一緒に猫を海岸に棄てに行った。歴史は過去のものではない。このことはいつか書か... 続き

コメント

父親についてはあまり多くを語らなかった著者の父についてのお話。
読後は透明な気分になった。著者も本著で言っていたが、縦軸で自分の存在を掘り下げていくと、偶然の中で生まれたわたしがとても不思議に思えてくる。だからこそ確固たる個人を重んじることの意義が見えてくる。
また、著者の文章力も滲み出ている。
自我が入りすぎてもおかしくない内容でも落ち着いた筆で、事実を淡々と語るのは想像以上に難しいはず。優しくもあり、力強くもある文章だった。
そして、なんだか身内に優しくなれる気がしてくる。

その他のコメント

著者が自身の父について記憶と下調べをベースに回顧する。著者の父は青年期に戦争を経験し、実際に何度か徴兵、出兵した。戦争について多くを語らなかった父ではあったが、数少ない父からの情報や、在籍していた部隊の史実から想像される情報から父が戦争からどのように影響を受けただろうかを語る。
父にインタビューをしたわけでもなく、多くの情報はないが、著者の美しくスムーズな文章と少ない情報を徹底的に下調べした事実から、戦争の惨さや戦死しなかったとしてもいかに一塊の青年を傷つけただろうかが想像できる。
著者が後段で語る。"我々は、広大な大地に向けて降る膨大な数の雨粒の、名もなき一滴に過ぎない。固有ではあるけれど、交換可能な一滴だ。しかしその一滴の雨水には、一滴の雨水なりの思いがある。一滴の雨水の歴史があり、それを受け継いでいくという一滴の雨水の責務がある"
非常に短い本で、感動する小説でも笑えるエッセイでもないが、パパッと読んで、日本の歴史や、父子の関係、などについてぼんやり考える軽いおやつのような本。

村上春樹がこういう文章を書くのは珍しいと思った。戦争体験を聞き書きすることは、よく中学・高校生に課されるものだと思うが、それを村上春樹がやるとこうなるのか、と思った。なんだかNHKのファミリーヒストリーのようだった。「猫を棄てる」エピソードをふと思い出し、そこから書いたところ、サラサラと書けたとのことは、非常におもしろかった。またレイアウトデザインについて、絵本のようで、フォントサイズも大きく、行間も余裕があったので、小学校高学年であれば読めるのではないだろうか、と感じた。

読者

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村上春樹の本

めくらやなぎと眠る女

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kasa

旅行や食に関する本、 海外文学、…

24の短編。 久しぶりに村上春樹の作品を読んだら思いの外面白くて、連続する不思議な世界にすっかりはまった。   トニー滝谷、ハナレイ・ベイが好き

3日前

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