早川書房の本

裏世界ピクニック 6

裏世界ピクニック 6 宮澤伊織

シリーズ初の長編作品(作者的には劇場版的な感覚なのだとか)。 主人公(空魚)がいきなり記憶喪失に。毒気の薄れて、ふつうの女子大生になった空魚のキャラクター性が新鮮。 寺生まれのTさんの能力がなかなかにユニークで、使い所は難しいけど、今後のお話を盛り上げる意味では良いキャラ?かもしれない。また、出てくるよね。

そいねドリーマー

そいねドリーマー 宮澤伊織

夢で見た人って現実ですごい好感持つ時ありませんか? もしくは、好感を持っていたから夢に出るのか。 よくわからないけど、夢で会った人が、起きた時側にいたら、どう思うのでしょうか。

裏世界ピクニック7

裏世界ピクニック7 宮澤伊織

大切な存在が暗黒面に堕ちて、もう取り戻せないと知った時にどうするのか。 それぞれの訣別の形と、情け容赦無い空魚(笑) 人間に興味がないくせに、結構押しに弱い空魚のキャラクター、わりと好きだったりします。 いざとなると手段を選ばないところもイイ。

人之彼岸

人之彼岸 郝景芳

人工知能を知るには人間の脳を知らなければならない。読んでいる時、ピクサーのインサイド・ヘッドは本当によく出来た映画だと感心しました。 体の全てのパーツが取り替えられても、同一人物と呼べるか? 『不死病院』は読んで欲しい。何も言えないが読んで欲しい。 『チェンクンとヤーリー』はほっこりして人工知能について柔らかく知ることが出来て好き。

最後の決闘裁判

最後の決闘裁判 エリック・ジェイガー/栗木 さつき

上司である伯爵の寵愛を巡り激しく火花を散らす騎士と従騎士、そして裏切り者の一族という烙印を背負う若く美しい妻、そんな彼らに起こった強姦事件。 騎士夫妻は従騎士が犯人だと主張し、従騎士は無罪を主張する。 結局どちらが正しいかは、衆人環視のもと、命を賭けた決闘裁判によって決着がつけられた。 ところがこの事件、裁判を経た今も、真犯人は誰か、そしてその意図はなんだったのかというミステリーに議論が百出しているのである。 リドリー・スコット監督による映画も公開されているが、まずは本書で予習することにした。 研究者である著者は当時の資料を駆使し、騎士たちの日々の暮らしやその政治的な背景、土地と金を巡る人間関係のもつれを丁寧に解説、最終的にこの事件の真相にも結論を導き出す。 英国推理作家協会のノンフィクション・ゴールドダガー賞にノミネートされただけあって、その推論の過程は小説にも負けないほどドラマチックで、かつ一般人である読者にも分かりやすい。 本書を貫く緊張感は、度重なる戦さや怪我、病で、生命というものが現代よりもはるかに軽く失われる時代であることと無関係ではないだろう。 男たちは家門や自身の面子にがんじからめになっており、気まぐれな上司の言動や、その地位の不確かさに右往左往させられている。 その中で、被害者となった若き妻はどのような思いを胸に秘めていたのだろうか。 記録に残る男たちの言動と裏腹に、彼女に関する資料は非常に少なく、自身の命を賭けた訴えが人々の命運を一変させたことに、彼女はどのような思いを抱いていたのだろうと読後に考えさせられた。

隷王戦記 2

隷王戦記 2 森山光太郎

全3巻構成が最初から提示されている、異世界戦記モノの第2巻。最近、こういう骨太の作品は貴重。 展開早っ! この世界観だと10冊くらいは、必要なのでは?と思ったけど、サクサクお話が進むのは、慌ただしくはあるけど楽しい。 その分、設定の盛り込み不足や、キャラクターの薄さが気になるけど、仕方ないところかな。要素を削ぎ落として書いてる分、本当に大事な部分が、しっかり目立つ。 さて、ラスト一冊でしっかり終われるかな?

続・用心棒

続・用心棒 デイヴィッド・ゴードン/青木 千鶴

一作目が面白かったので二作目も読んでみた。前作で結果的にテロリストの野望を打ち砕いたため闇の世界の保安官に任命された主人公…というところで既に本作もかなり荒唐無稽な設定な訳だが本作では中東のテロリストが合衆国にヘロインを持ち込もうとしておりニューヨークの主だった犯罪組織が主人公にその対応を一任する、という話。そのために主人公は 1) 取引に必要となったダイヤモンドを調達する 2) 取引を行いヘロインを入手する 3) その上でテロリスト組織からダイヤを奪回しテロリストに打撃を与える という一連の難題に挑まざるを得なくなる…という前作にも増しての荒唐無稽さというかほぼコミックの世界。あとがきで指摘があったけど確かにルパン三世というよりウェストレイクのドートマンダーシリーズに少し似ていてとても無理と思われる犯罪計画にいろんな才能を持ったメンバー達が取り組んでなんとか成功させるのだけど…みたいな展開だがこちらの方が少し真面目な感じではあるかな。主人公もそうだけどそのまんま漫画にできそうな登場人物達の造形も相変わらず上手い。荒唐無稽なのもここまで振り切っていると面白くて次作も楽しみ。

火星へ 下

火星へ 下 メアリ・ロビネット・コワル/酒井 昭伸

歴史改変系宇宙開発SF。 未だ人類が未だ成し遂げていない、火星への有人飛行を1960年台に成功させようという意欲的な作品。 火星往復にかかる期間は往復で三年。 この時代のコンピュータは真空管とパンチカード。あとは、人間による手計算!数字の天才で、軌道計算すらも暗算で解けちゃうヒロインの異能が際立つ。 女性だから、宇宙船の中でも「女らしい」業務ばかりが割り当てられる。黒人だから重要な作業に選ばれない。1960年台のならではの、ジェンダー観。差別意識が随所に顔を覗かせ、社会派SFとしての側面も持つ。

カラハリが呼んでいる

カラハリが呼んでいる ディーリア・オーエンズ/マーク・オーエンズ

「ザリガニの鳴くところ」の著者が、若き頃砂漠のど真ん中で書き綴ったフィールドノート およそ700ページ! オーエンズ夫婦の忍耐がすごすぎる 最初はスポンサーもなく人脈も手探り状態、砂漠の暑さや水の貴重さ、車のトラブル、テロリスト、、 おもにハイエナ、ライオンの観察記録 ‥自然界に生きる動物に対する人間の力が途方もない

裏世界ピクニック 5

裏世界ピクニック 5 宮澤伊織

ガールミーツガールの異世界探検ホラーシリーズの第五弾。 進展しそうでなかなか先に進まない。ヒロイン二人の関係性を、もどかしく思いながらもニマニマ楽しむ巻。恋愛はこういう時期が、実は一番楽しいのかもしれない。 アニメ放映が、終わってしばらく、続き読めて無かった。続けて6巻も読みます。

獣たちの海

獣たちの海 上田早夕里

紙で購入を続けているシリーズのひとつ。 長編シリーズとはまた違った切り口で、この時代を生き抜く陸上民と海上民が描かれています。良作でした!

花の子ども

花の子ども オイズル・アーヴァ・オウラヴスドッティル/神崎 朗子

久しぶりにこんなにもどかしい本を読む。引き込まれる簡潔な文体でありながら、ファンタジーの作品のように一歩読み進めるごとに理解の深まる描写。家族のあり方の再考、といえば美しいけれど結局どこまで自分がなにものからもとらわれずに、心のままに生きていけるかということかな。まだ幼い子どもを育てる身だからか、1歳の子をおいて研究の道へ進む彼女に対して羨ましささえ感じてしまう。まだまだわたしもとらわれていると思う。

暗殺者の献身 上

暗殺者の献身 上 マーク・グリーニー/伏見 威蕃

出るたびに必ず読んでいる当代最高峰とも呼ばれるアクションシリーズの邦訳最新。主人公はCIAの特殊部隊にもいた凄腕の暗殺者で一時は所属していた組織から命を狙われていたが今は和解して独立したエージェントとしてCIAから仕事を請け負っている。前作で負傷し本作では重い感染症に倒れている。そのため本来は彼が請け負うような仕事を同じ立場のエージェント達が対応し一人はベネズエラで拘束されもう一人はベルリンで窮地に陥ってしまう。愛する女性の危機を救うべく感染症が完治してないにも関わらずベルリンに飛ぶ主人公。ベネズエラでは死んだと思われていたNSAのソフトウェア技術者が生きているらしいといいうことでその真偽を確かめる、という任務、ベルリンでは怪しげな民間軍事情報会社を探る、という任務でそれぞれ異なる話のはずが…という展開。単純な米国対どこかのならずもの国家、という図式ではなく様々な思惑の国家や機関が登場しかなり複雑な設定になっているのだがさすがの手さばきで全く混乱することなく一気に読ませる力量がやはりものすごい。最終的にまた立場が変わってしまった主人公、既に次作が待ち遠しく作者の術中に完全にはまってしまっている…アクションやミステリ好きにはたまらない作品。非常に面白かった。おすすめです。

木曜殺人クラブ

木曜殺人クラブ リチャード・オスマン/羽田 詩津子

富裕な高齢者向けホームで起こった殺人事件。 これを日頃から趣味で犯罪捜査を楽しんでいる入居者たちが解決する、というコメディタッチのミステリー。 趣味で楽しんでいるとは言っても、実は彼らはかつてはそれぞれの分野でプロ中のプロだったメンバーたち。 捜査員を抱き込み、いつの間にやら警察よりも迅速かつ着実に真相に近づいていく。 当然ながら歳を重ねた人にも若者と同じように喜び、怒り、悲しみ、愛がある。 派手なアクションや彼らの活躍は痛快だけど、同時に友人との別れや家族とのすれ違いに揺れる彼らの心の動きも、若者ばかりが主役ではない本書のよみどころだと感じた。

火星へ 上

火星へ 上 メアリ・ロビネット・コワル/酒井 昭伸

歴史改変系の宇宙開発SF。 巨大隕石がアメリカ本土に落下。甚大な被害と共に、地球の急速な温暖化が確定する。 地球脱出のために、宇宙開発をせざるを得なくなった人類は、本来の歴史を大幅に更新。なんと1950年台に月への到達を可能としてしまう(実際は1969年)。 というのが前巻『宇宙へ』のあらすじ。 今回の『火星へ』はその続編。人種差別や、男女差別。1960年台の世界観ならではの問題が、宇宙開発を阻む。 リーダビリティが物凄く良くて、翻訳物とは思えないくらいサクサク読めるのが本作の良いところ。続けて下巻を読みます。