早川書房の本

リモートワークの達人

リモートワークの達人 デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン/ジェイソン・フリード

6年も前に書かれていた「テレワークのすすめ」本。 今こそ出すべきだろ!って事で文庫化されたようです。 単行本時の元タイトルは『強いチームはオフィスを捨てる』 まさか自分のテレワーク生活が半年を超えるとは思わなかったので、感慨深く読みました。 テレワークの長所も短所も、経験してみないと、なかなか実感出来ませんが、確かに可能性は感じますね。 コロナ禍で一気に進んだ日本のテレワークがこれからどうなっていくのかが気になります。

メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち

メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち シオドラ・ゴス/鈴木 潤

スティーヴンソン『ジキル博士とハイド氏』 ホーソン『ラパチーニの娘』 ウェルズ『モロー博士の島』 メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』 これらの作品に登場するマッドサイエンティストらに娘がいたら?という前提で書かれた作品。 主人公はジキル博士の娘メアリ。 舞台はヴィクトリア朝のロンドン。 娼婦ばかりを狙った連続猟奇殺人事件の謎。 暗躍する錬金術師協会。 お馴染みの「あの名探偵」も登場して、 最後まで楽しく読める一作。

楽園とは探偵の不在なり

楽園とは探偵の不在なり 斜線堂有紀

天使が顕現する世界。二人殺せば地獄に堕ちる。この制約下でいかにして連続殺人を実現させるか。 世の不条理の象徴としての天使が気持ち悪い(褒めてる)。 探偵と犯人を祝福するため、装置としての常世島だったのかな。と、思える。 みんな大好き青岸くん。以前の話も読みたくなる。

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死亡通知書 暗黒者

死亡通知書 暗黒者 周 浩暉/稲村 文吾

中国でシリーズ累計120万部突破、ドラマ版は24億回再生という超人気の華文ミステリ。 1人の刑事が予告殺人鬼<エウメニデス>に殺された…そこから始まる連続殺人事件。 <エウメニデス>はネットで次の犠牲者の候補を募り、衆人監視の中、驚くべき手口で次々に予告通り彼らを殺害する。 挑戦を受けた警察は、精鋭たちによるチームを作り<エウメニデス>を捕らえようとするのだが…。 現代物の華文ミステリは初めてだけど、欧米ミステリより人情の機微や組織の在り方に親和性がありストーリーに没入しやすい。 どこまでリアリティがあるのかは分からないけど、中国警察のワイルドでちょっと大雑把な感じがこの小説をよりドラマチックにしている。 最近の日本の警察小説ではとてもこんな全力で振り切れないだろうから。 主人公は、マッチョなんだか頭脳派なんだかロマンチストなんだか分からない無茶苦茶詰め込まれたはぐれ刑事。 彼を含め、登場人物全員が予想外な行動を取るので最後まで展開が読めず、まんまと<エウメニデス>にラストまで力いっぱい引っ張られてしまった!まいったなあ。

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闇中の星

闇中の星 五代 ゆう/天狼プロダクション

これまでは年に二回は出ていたけど、今年一冊目がこのタイミングでは、年内はこれが最後かも。 「あのお方」が表紙を飾るのは何巻ぶりだろうか?少し人相悪くなってるような。さて、どんな謎が隠されているのやら。

探偵は絵にならない

探偵は絵にならない 森晶麿

エピソードに繋がりがあったりしたら良い読後感があったんじゃないかなとか。 ただそういうのが多いだけで、普通こんなもんだよね。 出てくるキャラは各々アロマを漂わせていたんじゃないかな。※(アロマ使いたくなった) わかってるのに止められない、もしくは 止めないで人を傷付ける言葉を放ってしまい 後悔するとかあったなとか過去を振り返ってみたり。 浜松市の人はより多くを得られるのではと思う。 鰻、食べたい。

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按針

按針 仁志耕一郎

三浦按針。 個人的に三浦半島と縁があり、年々その縁が深くなってゆく個人的事情から(出身ではないし住んでいるとかでもない)この本を手に取る。 京急に乗るとアンジンヅカという駅があるというか通過する。 普段ならば電車の中でアナウンスを気にもとめず本を読んでいるものの、ある時「ヅカってなによ。アンジンってなによ」なんて思ってしまい、路線図を目を細めて見上げると「安針塚」とある。 はぁ、人の名前みたいだなぁ(安 針塚さん?)とまったく無教養なことをポケッと考えつつ、個人名がそのまま駅名になる訳がないなぁと、しらべると、三浦按針という人物に行き当たる。 驚くべきことに彼は大航海時代に流れ着いたイングランド人であり、しかも徳川家康に重用されたとある。 そんなことがあるのかね、と思っていた矢先、『按針』なる歴史小説が発売された。 歴史モノはあまり好まない。 なぜなら歴史的登場人物が過剰に人間臭く描かれていたり、或いは、偉人と偉人との関係性がこれもまた過剰に親密・信頼しあっているような描写がこそばゆい場合が多々あるからでもある。 そして、この『按針』もそのきらいがある。 けども、物語としてとても面白い。 大航海時代のイングランド人がそんな訳ないだろ!とかいちいちツッコミを入れてはならない。 日本の歴史の中でも驚嘆すべき戦国時代とその終焉、江戸幕府のはじまりである。 物語はまるでSFのようだ。 恒星間航行中にワープシステムが故障して見知らぬ惑星に不時着、戦争に巻き込まれる。 現代の?感覚ではそのくらい奇想天外な人生だったのではないか。 そして、これも驚いたが「八重洲」はこの三浦按針と共に漂着したオランダ人「ヤン・ヨーステン」の名から取られていたという。 知らなかったぞ。 この物語では三浦按針とその周囲の人たちは魅力的で暖かく、ユーモアに満ちて熱心な人たちび描かれている。 ほっこりなんて言葉は使いたくないがほっこりする。 エンターテインメントとしては楽しめる。 P.245に誤植?DTPのミスなのか構成ヌケなのかがあるのはいまどき珍しいご愛敬。

月の光 現代中国SFアンソロジー

月の光 現代中国SFアンソロジー ケン・リュウ

中国SFの傑作アンソロジーとのこと。『三体』や『荒潮』の作者の短編が収録されています。私見としては、華文ミステリーほど、華文SFの衝撃は無かったかな。 ※『三体』は未読です。

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特捜部Q-アサドの祈りー

特捜部Q-アサドの祈りー ユッシ・エーズラ・オールスン/吉田 奈保子

邦訳が出る度に読んでいるデンマークのミステリシリーズ。これで8作目。優秀だが社交性に乏しい主人公の左遷先として設立された未解決事件対応部署である特捜部Q。主人公にアシスタントとして素性が知れない自称シリア人がつけられた二人だけの窓際部署のはずだったのだが目立つ実績を上げてしまったことから存続し、癖のある奴ばかりだがメンバーも総勢4名となっている。本作ではついに謎のシリア人が主人公でその素性が明らかになる。スペインのかなり食い詰めたジャーナリストが報道したキプロスの海岸に打ち上げられた難民の女性と何人かの生存者の写真。その報道写真はジャーナリスト自身、アシスタントの自称シリア人、そして引きこもりでゲームに没頭している青年、の3人に大きな影響を与える。過去との繋がりから難民グループを追いかけるアシスタントと主人公、いっぽうで引きこもりの青年からの殺害予告を追いかける残りのメンバー、そして難民グループ、の主に三者の動きから構成されるストーリーが相互に干渉しあいスリルのある展開となっている。アシスタントの素性とその壮絶な過去の物語は果たして今後どうなっていくのか心配になるほど。適度にアクションやテクノロジーも盛り込まれていて破綻もなくまとまっているところが見事で中だるみとも無縁。早く次作が読みたい素晴らしいシリーズだ。

もし今夜ぼくが死んだら、

もし今夜ぼくが死んだら、 アリソン・ゲイリン/奥村 章子

舞台はニューヨーク郊外の小さな街、高校生と中学生の二人の男の子を育てるシングルマザーが主人公。この街でスクールカーストの上位にいる人気者がひき逃げで亡くなってしまう。このひき逃げが普通ではなく落ちぶれたポップスターの車が強奪された時に起こった事件という設定。SNSの投稿などから主人公の長男が犯人とみなされ、この長男が芸術家肌でちょっと変わってることもあっていわばネットリンチのような状態になり一家も村八分になっていく。親として息子を信じたいのだが確かに怪しい言動が多くて…。一方で警察側にはやはりトラウマを抱える女性警官がいて、ということでちょっと登場人物を盛りすぎかな、という印象。警官側のトラウマはストーリーにそんなに関係ないし。あと真相の判明に至るところが安易というかちょっと都合よすぎかな、という気もした。という欠点があるけれどもそれら置いといて読ませる魅力がある。SNSとかネットの怖さであるとか、地域で孤立していく恐怖感であるとか、落ちぶれたポップスターの造形とか、そして一番は弟の描かれ方が良くて結果としては良い作品だと思いました。面白かった。

100文字SF

100文字SF 北野勇作

2020年95冊目。流行ってるなあこういうの、くらいに何気なく手にとってみたらすごかった。p59がよかった〜と思ったけど、100文字しかないから記録しとこ。「自分よりも自分が書いた小説のほうが賢いらしい、ということに気がついて、わからないことや困ったことをすべて小説にすれば、自分で考えるより賢い答えが得られるのでは、と思いついたのは、自分なのか小説なのか。」20200615

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ホット・ゾーン

ホット・ゾーン リチャード・プレストン/高見 浩

捕食者だ。 生き物が病気になり、それを治癒させるのは薬や外科的手術ではない。 病気を治すのは元々ヒトに備わっている様々な免疫系ないしは生の本能、すなわち自己治癒力であって、医療者はそれを促進させる存在に過ぎない。 医療者が自己の万能感や無力感に飲み込まれないために、そして実際、疾病の治療機序はこの自己治癒力に拠るところが大きい。 しかし、このエボラウィルス(フィロウィルスというべきだろうか)はヒトの免疫系を瞬く間に喰い尽くし、「崩壊」させ、さらに感染を拡げるために大量出血という手段で「爆発」させる。 気付かないうちに、或いはほんの少しの油断という間隙を突いて、襲いかかってくる。 そのありようは効率的に、より多く少ない手間で喰いつくしてやろうという意志をもった捕食者のようだ。 この恐るべき捕食者を電子顕微鏡で捉えた写真が挿入されている。p.139/424-425 これらは印刷されたただの写真に過ぎない。 それでも触れたくない。 これに触れれば、爪の間から、目から入り込み、身体の内側からじっくりと、しかしあっという間に喰い尽くされてしまうのではないかと心気的不安に襲われてしまう。 そして、感染症の恐ろしさは気付かぬうちに、市中の汚染は爆発的に拡大し、知人・友人も感染しているのではないか、という心気的な、或いはパラノイアを助長する。 『その顔は能面のように硬直し、体中の孔から血が流れていた。血は檻の下の金属の受け皿にも落下していた・・・・・・ポタッ、ポタッ、ポタッ。』P.359 恐るべきことにこのエボラウィルスとCovid-19には類似点もあるようだ。 もちろん、エボラとコロナでは系統が異なるだろうがしかし、免疫系を深く傷付けるという点では似ているだろう。 だからこそ、HIVやエボラに用いられた薬をCovid-19にも治療薬として類推適用しているのかもしれない。 Covid-19がどこまで予見可能だったのかはわからない。しかし、既にエボラ出血熱の危機に見舞われた際、備えを万全にしておくという知見は得られていたはずだ。 これは欧州のみならず、毎年新しい感染症の流行に見舞われるアジアでは尚更、準備と迅速な対応が必要だったのは間違いない。 『”チャンスは日頃準備を怠らない人間に訪れる”』P.176 残念なことに日本を含めた多くの国でこの準備は不十分だった。 そこで黒死病、天然痘流行の頃と同じ原始的手法をとった。 「逃げる」ことだ。 都市を封鎖し徹底的に接触を避けることで捕食者から逃れようとして、それは成功と失敗と一進一退の戦況だ。 日本の場合、縦割り行政、政策立案者たちの忖度や事なかれ主義、文書の隠蔽といったこの社会の悪しき面が表出してしまった。 米国型のCDCを設立すべき、といった議論もかつて、そして現在唱えられてはいる。 しかし、行政は社会を映す鏡でもあり、形だけ日本版CDCをこしらえてもうまく機能するとは思えない。 特に、平時・危機対応時問わず最前線に赴く高度な教育と訓練を受けた学位取得者、専門職の地位が極めて低いこの社会では尚更だ。 米国でさえ、CDCとUSAMRIIDとの縄張り争い(迅速に妥協できるのが米国)、戦闘行為ではないので消毒作業に危険手当は付かない云々があるのだ。 米国でさえ、だ。 従って、ただこしらえを作るだけでなく、この国の行政から考え直す必要があり、これは20年は必要だし、その間にこの国は衰退しているだろう。 この本でも、新しい感染症の発生と爆発的な拡大に至る原因は地球環境・気候変動、未開地の開拓など、ヒトの生存圏の拡大であるとしている。 グローバルサプライチェーン。 00〜10年代にかけて拡大され、整備されたこの鎖から解き放たれた生産、物流、購買、そして生活を送ることは不可能だった。 しかし、空路・海路・陸路と道を作ったおかげで、ウィルスの移動も容易となった。 それだけでなく、より安価な人件費、より安価な原材料を求め、開発が行われる。 ソフトな帝国主義・重商主義だ。 特に、10年代から中国はとてつもない勢いで交易圏を広げ、特にアフリカの開発は猛烈だ。 そして、世界経済が滞った時、最初に犠牲になるのはアフリカ諸国だ。 80年代から90年代にかけてエボラ出血熱の流行時に村落が消滅したように、現在も生活を失う最初の人はアフリカの人たちだ。 やがて、新興国からOECD加盟国へ伝播して、日本も同じ道を辿る筈だ。 各国で経済水準に違いはあれど、最初に苦しむのは貧困層、社会的弱者になるだろう。 従って、危機にあって連鎖を止めるには、下支えこそが川の上流となるはずだが・・どうだろうか。 エボラはどうやらエボラ川流域、エルゴン山のキタム洞窟まで遡る事ができるようだ。(マールブルクウィルス) Covid-19は武漢が最初のホットゾーンとなった。 しかし、このウィルスが本当に、真にどこからきたのかはわからない。(2020年6月2日) 動物、哺乳類なのか爬虫類なのか、昆虫だろうか。それとも研究所やマッドサイエンティストからのリークなのだろうか。 根源を辿るハンティングは憶測の域になり、陰謀論にまで逸脱している。 Covid-19がもたらしたのは感染症そのものの症状と死だけでなく分断やパラノイア、心気不安までをもたらしている。 生体の破壊だけでなく、経済や文化芸術、良心といった生活まで破壊されつつある。 相互不信感は人種差別を助長し、行政の横暴とデモ、暴動と略奪に至っている。 この本はSF小説のような物語としての面白さがあるノンフィクションだ。 綿密な取材と科学的裏付けに基づいて書かれている。 だからこそ、もう一度読んで理解する事もできる。 即ち、文化芸術活動としての読書を通じて、書店業・物流業の収入となって、店舗を維持し労働者を幸福にさせる。 もう一度読み、理解を深め、次の準備とするためには生データを収集し、保存し、研究者らが自由に用いる事ができるようにしなければならない。 残念なことに、このCovid-19にあってエビデンスは恣意的に操作され、貴重な生データは破棄されているのかもしれない。 果たしてその行為は国民・人類を守れるのだろうか。 敵は批判者や特定の人種、ましてや己の自己愛を刺激する情報ではない。 捕食者だ。

愛の重さ

愛の重さ アガサ・クリスティ/中村妙子

クリスティがメアリ・ウェストマコット名義で書いた非ミステリ小説。典型的なキャラクターでお話もわりと象徴的なんだけど、スラスラ読ませて常に「次何が起こるのか?」と期待させるクリスティーの腕力がすごいせいですぐ読んでしまった。

ピュア

ピュア 小野美由紀

近未来な設定のSF短編集。進化した女性達は人工衛星に住み、敵と戦い、妊娠を義務付けられていた。妊娠する為には地球に住んでる男達と性行為をし、行為後に男を食べてしまう必要がある…。その他4作。 ダイナミックな設定のSF小説ではあるが、短編であることや、流れる文章で、あっという間に読み終わる。泣きたくなるような綺麗な表現が散りばめられている。 いずれの作品も、男女の性別の枠組みの中で生きなければいけない息苦しさや、性別を超えた人間同士の助け合いについて書かれている。食べてしまわないといけない男性に好意を抱いてしまったら?親友がある日性転換して男になったら今まで築いてきた関係はどうなる? 女だからこうすべき、男だからこんな態度はしたらいけない等、性別の枠組みで苦しめられていないか。背景は違えど、登場人物の苦しさにどこか共感してしまう。コロナパンデミックで行き方、働き方が大きく変わっていく今だからこそ読みたい小説。

コロナの時代の僕ら

コロナの時代の僕ら パオロ・ジョルダーノ/飯田 亮介

物を知らない人は想像力に欠け 想像力が欠けている人は、他人を思いやることなんてできない。 無知であることが恥ずかしくなった。 どの専門家の話を信じるかの道標ができた。 私の思考を変えた本。 自宅に軟禁されてる受刑者という例えが、頭から離れないほど好きです。

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