医学書院の本

居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書

居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 東畑開人

『居るのはつらいよ』、思った以上につらかったよお。 いつも街中にある数々の"資本"に中指立てながら生きているのに、それなしでは耐えられないんでしょうね(私は)。 自身の脆さを感じる貴重な本だった。 今私が「いる」を肯定できるのは、「する」を懸命にしているからで、「する」をしないで「いる」を肯定できるのか……全然自信がなくなってしまった。 別に働かなくても、誰かに認められなくても、自分にとって大切なことがわかっていればいいじゃないかという考えだったけど、それがどんなに難しいことか。 「いる」を受け止められない人間(相対的にかなり苦手な人間)が自分であることに、傷ついてしまった。 それはまたセラピーのはじまりなのだ。

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どもる体

どもる体 伊藤亜紗

0149 2019/10/09読了 少し吃音がある気がするなと思って読む。あと表紙の絵に惹かれて。 読んだ結果、私はそうでもないのかもと思ったが、世の中にはこういう人もいるという知識を持ててよかった。 吃音といえば連発と言われる症状だが、難発という喋れなくなる症状があることも知った。 会話には瞬発力やリズムも大事ということも知った。キャッチボールがどれだけうまくいくか? リズムをつけたり言葉の言い換えでスムーズに話せるようになるけど、それは自分らしさが無い、乗っ取られたような感覚と悩む人もいる。逆にどもりを回避することが習慣化されすぎて何とも思わない人もいる。当事者が気にしすぎて周りはそんなに気にしてないこともあるとは思う。 これからは会話を大事にしたい。

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「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室

「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室 春日武彦

かなり好きな考え方をされる精神科医春日 武彦さんの研修医に向けた哲学的問いかけに対する模範解答です。何しろ副題が「~カスガ先生の答えのない悩み相談室~」ですから。しかも「お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き」の吉野 朔実さんが絵をつけるという(もちろんお2人は親交あり、この人たちの会話を是非聴いてみたい!!)素晴らしく豪華な本です。 実に明快な答えなど存在しない、哲学的問いかけに対しての春日さんの思考の順序だてや、割り切り、もしくは覚悟や言い回しが、とてもセンスを感じますし、「痒い所に手が届く」感覚の、自分の中での上手く言葉に出来なかった違和感を言葉にしてくれるところがまたタマリマセン。基本的には精神科医の春日先生がいわゆる研修医や若いドクターに対して語る考え方の指南なのですが、医療に携わる人も、そうでない人にもとてもオススメしたくなる本です。 いわゆる紋切り型の、「それをいっちゃあオシマイよ」的根源的な設問に、何故その設問に捉われてしまうのか?、その設問を発することにどんなスタンスが隠されているのか?何故答えにくいのか?明快な答えの出ないその問いにどう答えることが望ましいのか?などが非常に辿りやすく説明してくれます。偏狭な経験主義的問いかけに(例えば「ガンになったことのないお前に俺の苦しみが分かるか!」などの経験主義)対する春日先生の答えにいちいち納得してしまいます。 中でも肝なのが「宙ぶらりん」に耐える話しと「コントロール願望」の話しは為になる話しです。どちらも私の説明ではもったいないのでさわりだけにさせて頂きますが、「宙ぶらりん」は中腰力とも言える、物事を棚上げにし、矛盾に耐え、保留した状態に耐えチカラのことで、「コントロール願望」は自分と他人を綺麗な言葉(例えば、愛、治療)でくるんでいて、実は自分の思い通りに他人を動かしたくなる願望の事です。この2つのお話しもきわめて重要な、それでいて当然の考え方だと思います。はしょって説明しただけでは得られない説得力がありますので、読んでいただくのが1番なのですが。 また、選び取られる言葉に私はセンスを感じます、「謙虚な確信犯、自覚ある鈍感さ」だの「マゾヒスティックなダンディズム」だの、「患者さんが救われれば、結果オーライ」だの、「心身症ぎみの患者さんに『リラックスが肝心です』などと正論を言っても、それが出来ないから医療機関にきている訳で、空疎な助言でしかないただの阿呆です」だの、「コントロール願望と愛情はグラデーションになっている」だの、いちいち鋭くも考え抜かれた(もちろんしがない私のレベルでは、です)言葉のセンスに惹かれます。 もし本書を書店で見かけられることがあるのなら、せめて「まえがき」だけでも読まれると、興味のある方なら買わずにはいられなくなりますでしょうし、興味の無い方には「まえがき」をすべて読み終えることが出来ないでしょう。「なぜ人を殺してはいけないのか」に対する私が読んだ1番のソリッドな答えは宮台 真司さんの答えだったのですが、1番納得して実践できる答えは春日先生の回答です。 この春日先生の一見矛盾していそうで矛盾でない、奥域のある思考がとても重くて重要だと思います、文系ペシミスティックであり続ける事のダメさと、マッチョなオプティミストでいることの心地よさには相通じるものがある事を、ペシミスティックを通り抜けたオプティミストになれる重要性が私の中でなかなか言葉に出来なかった事を説明してもらったようでいてとても心地良かったです。 でも、だからこそ気持ち良過ぎて客観的になれなかった部分もあったかも知れません(その程度ぐらいしか冷静に読めなかった)。 また、最後に対談されている「内田 樹」さんの著作を読んだ事がないのでちょっと興味湧きました。 思考の単純さから逃れたい人に、ささやかなことに気付くレベルを上げたい方に、医療従事者の方に、オススメ致します。 春日先生が産婦人科医を辞めるキッカケになった「自分に寛容さが足りない」と感じた根拠に激しく同意してしまう私は大丈夫なのかちょっと心配。心配だけれど、今はそれを中腰で維持していきたいです。 2008年 7月

介護するからだ

介護するからだ 細馬宏通

人間行動学者の著書が介護の現場をじっと「観察」した本 介護は、介護職員と認知症高齢者の相互行為によって成り立つ 介護職員のプロフェッショナルな関わり方が、やはりすごい ある意味、介護を通して見たコミュニケーション論

逝かない身体―ALS的日常を生きる

逝かない身体―ALS的日常を生きる 川口有美子

身体と心が切り離されるALSに遭遇したとき、患者本人は、その家族はどうなるのか。 人工呼吸器装着の選択の時、文字盤でのやり取り、体位変換の難しさなど、当事者でなければわからない苦しさ、悲しさ、そして愛情が伝わってきます。

漢方水先案内: 医学の東へ

漢方水先案内: 医学の東へ 津田篤太郎

キュアなのか、ケアなのかではなく、共にあるべきもの。アプローチは常にひとつとは限らない。わかりやすく漢方以外のこともいろいろと参考になる一冊だった。

ナースのためのコーチング活用術

ナースのためのコーチング活用術 日野原万記

ナースじゃないけど、読んでみた。 ナースに限らず、さまざまな職種にコーチングは活かせそう。 仕事だけでなく、日常生活にも。 知っておくだけで、対人関係の問題の解決のヒントになると思う。 勉強になった。

死にゆく患者と、どう話すか

死にゆく患者と、どう話すか 國頭英夫

本書は、日本赤十字看護大学一年生後期の基礎ゼミ「コミュニケーション論」において、進行がんの治療を専門とする國頭英夫医師によって行われた講義の記録である。 「医者には三つの武器がある。第一に言葉、第二に薬草、第三にメスである」 このヒポクラテスの言葉の通り、医療者として臨床現場で死を前にした患者に何をどのように語るのか、そのコミュニケーション・スキルを学ぶことが本書のテーマである。 國頭先生が監修を務めたTVドラマ(「白い巨塔」「コード・ブルー」など)を参考に手探りで講義は進むのだが、よりよいコミュニケーションとは何か、ということを先生と学生たちが答えを探す過程で見えてくるのは、医療者と患者、患者の家族とのコミュニケーションギャップである。 バッドニュースを患者に知らせる時の心構え、見捨てないということを伝えるための言葉、表情、態度、部屋や椅子の位置、タイミング…。 ひとつ間違うと患者を絶望の淵に立たせることになる、医療者が背負うものの重さにきりきりと胃が痛む。 本書は医学系の出版社から発行され、読者も医療に携わる人を対象にしていると思うが、大学生への講義なので難しい医学用語も少ない上、丁寧な解説があるので不自由な思いはしないと思う。 むしろ、我が国における終末医療について、安楽死と法制度について、がん告知について、また自分はどのような死を迎えたいのか、家族の死にどのように対応すべきなのか、真剣に考えるための素晴らしい教材になっている。

ユマニチュード入門

ユマニチュード入門 本田美和子

「ユニマチュード」のようなケアの方法を早期に取り入れてください。 認知症の治療法や、認知力の低下を抑える方法の他に、心筋梗塞や虚血性疾患を減らすために大々的にとられた政策が、イギリスで行われ、高齢者7500人を対象にした調査で、増える一方と思われていた認知患者数が、1990年代より比べ2010年代では、明らかに減少。脳にも良い影響を及ぼしたそうです。 音楽、絵画、温泉、風通し良くなっていくと良いですね。

タッチ

タッチ 岩村吉晃

アクティブタッチ さわる さわられるはちがう。 患者さんにどういう活動、練習をもとめるか、考えさせられる。

病を引き受けられない人々のケア: 「聴く力」「続ける力」「待つ力」

病を引き受けられない人々のケア: 「聴く力」「続ける力」「待つ力」 石井均

一番大切なことは、「よほどのことがあっても希望を失わない人間にならねばならない」こと。 本書は、糖尿病治療を専門とする医師である著者が9人の糖尿病外の専門家と行う対談集。 河合隼雄、養老孟司、北山 修、中井久夫、中村桂子、門脇 孝、鷲田清一、西村周三、皆藤 章といずれも各界のベテランの先生方たち。 読み進むにつれ、いつしか対談者の言葉は、病気だけではなく、自分の人生を引き受けることこそを説いているようにも思う。

坂口恭平 躁鬱日記

坂口恭平 躁鬱日記 坂口恭平

躁のときは、あふれんばかりのアイディアとエネルギーで創作活動に打ち込み、鬱のときは部屋に閉じこもり死にたくなる。そんな波を肯定し、家族で飛行機に乗るようにして操縦する日々であり、幸せの記録。

ソローニュの森

ソローニュの森 田村尚子

視察が跡を絶えない精神科の病院。そこで唯一日本人で撮影を許された写真家。その病院は緑ゆたかなごくふつうの家で患者は自由だ。よそものの視点を徹底せざるを得なかったのが功を奏した美しい作品集。シリーズケアをひらくは名著が多い。2015.11.23 BUKATUDO文化祭一箱古本市にて売れた本