新潮社の本

草薙の剣

草薙の剣 橋本治

昭和〜平成の中で生きる人たちの人生が描かれた小説 登場人物は交わらないし、ものすごい大事件は起きないけど、社会情勢やニュースの影響が平凡な人生に、影響を与えていく様がリアルで読んでいて苦しくなる 登場人物に近い自分も出てききそう とにかく苦しくなる 自分は幸せな人生を送ってきたのか とか考えてしまう

冬の朝、そっと担任を突き落とす

冬の朝、そっと担任を突き落とす 白河三兎

飛び降り自殺をした教師。 学校側は自殺の理由をひた隠しにするが、クラスの誰もがそれを知っている。 暗黙の了解で、かろうじてまとまっていた教室が、一人の転校生の登場で破綻をきたしていく。 各章ごとに主人公が変わり、複数の視点から事件を多面的に描いていく構成。 カバー絵が好みで読んでみたものの、内容はかなりエグい。

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とわの庭

とわの庭 小川糸

自分ちの庭が嫌いだ。 とわと庭の共生にふれてちょっと真似したくなる。 黄色い表紙を春に開くのがいいお話しでした。

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くまちゃん

くまちゃん 角田光代

明確な好きや愛してるでなくても人は付き合い生活を送っていくもの。毎章、一人称が入れ替わり、ふった人、ふられた人。

ふたりぐらし

ふたりぐらし 桜木紫乃

看護師の紗弓35歳と映写技師の伸好40歳は子供のいない夫婦で生活費の大半は紗弓が稼ぐ。住まいは札幌市内「職場から徒歩三分の地下鉄円山公園駅から東西線に乗り白石駅下車。駅から紗弓の足で十三分のところに今のアパートがある。」p.45そんな地方でも車生活ではなく地下鉄で生活できるほどの大都市での生活を描く視点に興味がわく。 東京でも大阪でもないけど地下鉄需要もある大都市で暮らす人々の生活。 それにしても不惑を過ぎても煮え切らない伸好。定職に就くわけでもなくたまにある映写技師とイベントでの受付及び採用されることのない脚本書き。実質趣味の範囲。義父とのサシ呑み(もっぱら話を振るのは義父で失礼極まりない)で紹介された映画評論家の秘書仕事も「今のところパソコンの入力と本棚や郵便物の整理がほとんどだけどね」p.202といったぬるま湯っぷり。伸好は優しいけどそれは自分も優しくして欲しいことの裏返し。紗弓もそんな夫はとっとと捨てて一人で来たほうがいいんじゃないかなと思ったりするけど世の中のうまいところもしくは不思議なところはこうゆう組み合わせがかえってうまくいくことだ。男と女のナニカは文中から伺えるけど。 伸好は人に頭を下げる、なにかあったら矢面に立つ覚悟を持つ仕事をすればいいんじゃないかな40代だし。ユニットバスくらい自分の才覚でなんとかせいよ。 「ごめん、好き」の長期にわたる付き合いのあった同僚のアパートと覚悟を決めた姿勢がたまらなく愛おしい。 

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正欲

正欲 朝井リョウ

現代ではもはやトレンド以上のものとなっている『多様性』とか、『平等』って誰のための言葉なんだろう? そう問われているような感覚になる。 僕は恐らく「レールから外れずに生きてきた人間」なので、登場人物たちの抱える悩みに対して共感であったり、同情は全く感じない。 でも一方で、飲み会でプライベートや過去の恋愛をガツガツ聞いてきて、はぐらかすといかにも「コイツつまんねぇな」って顔をする人達に同じく嫌悪感を抱くのは事実で。 マジョリティ=正義、圧倒的なマイノリティ=異常者と捉えられる世界で、マジョリティに属しているように振る舞うことは生きる上ではもちろん必要。 でもその中で、内なるマイノリティな部分、核となる部分を誰かと共有出来ないと、いつか崩れてしまう。

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八月の銀の雪

八月の銀の雪 伊与原新

何気ない出会いを描いた五つのストーリー。 どの話も大きな波があるわけではなく、淡々と始まる。薄暗く靄がかかったような中を歩いているような不安な気持ちにさせる。ただ読み進めるにつれ、靄が晴れるわけではないけれど、薄らとあたりが明るくなり、あたたかな希望を感じさせる。淡々としていながらも、読み終わった後に「うん。いい本だった」と余韻が残る作品だった。

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